出版社 : 小学館
天下無双の剣客・宮本武蔵は幼少のころ、その父・無二斎から非情の血をもって厳しく武芸を叩き込まれた。武蔵は父を憎み、無二斎は成長して剣名を轟かせていく息子の才を妬ましく思うようになる。「あやつを生かしておくわけにはいかぬ」。父と子の歪んだ絆はやがて一つの闘いへと向かっていく(「武蔵と無二斎」)。強者を斃すべく山伏の修行に加わった若き日の塚原卜伝(「卜伝峰入り」)、秘技を継承した唯一の男・田丸直昌の生き様(「一の太刀」)、天賦の才を持ちながら一族の系図から抹殺された柳生源之丞(「柳生殺人刀」)など、剣の道に生きる男たちの物語七篇を収録。
ついに映画化決定! 郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、奇妙な取引を持ちかけてくる。 「この世界からひとつ何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得ることができる」 僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計……そして、猫。 僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。 二〇一三年本屋大賞ノミネートの感動作が、待望の文庫化、映画化!
幼い頃のトラウマから男子とつきあえず、年上の人妻に惹かれる女子高生。存在感の薄いチビオタ地味男の身体の悩みを知り、心を寄せていく美少女。援交トラブルを救ってくれた男子クラスメイトの秘密を知ってしまった少女。恋の痛手に苦しみながら、レズビアンであることをカムアウトすべきか悩む生物教師。「好きな人と一緒にいられることより、好きな人に好きって言えるのが幸せ」-神様に祝福されない恋をし、心は揺れ、痛み、傷つきながらも、人を好きにならずにいられないセクシャルマイノリティのそれぞれの思いを描いた、すべての人に刺さる四つの物語。
小さな借家に住み、薬草を売りながらその日暮らしをしている「ぼく」は、期待されると姿をくらましてしまうため「ジョーハツ」と呼ばれている。仕事からも愛する女性からも、逃げ出してしまうのだ。ある日、そんなジョーハツのもとに突然現れたのは、好奇心旺盛でおしゃまなしずくの女の子、ぴしゃんちゃん。「あたしのこと、そんじょそこらの水滴と一緒にしないで」と主張する彼女には、蒸発できない“しずく的事情”があるらしい。似たもの同士の二人は心を通わせていくがー。彼らが過ごした春夏秋冬を著者自ら描き下ろした挿画も収録した、大人のための物語。
就職が決まらず落ち込んでいた阿部まりあは、千堂タマキに誘われ里和市で実施される市長選のボランティアをすることになった。タマキは選挙プランナーで、今回の選挙では、無所属で二度目の挑戦となる鈴木まこと候補からの依頼を受けていた。争点となる財政問題について、タマキは、政策を具体的に指示したり、めざましい働きを見せたが、ここでさまざまな問題が。経理担当の女性が事務所に突如来なくなったり、キャバクラ嬢が立候補して、三つ巴の戦いに。しかも、名前が「鈴木マコト」!?さらには、人気の元総理が対立候補の応援に来る!どうする、タマキ!
北欧発ノンストップSFスリラーの傑作! 爆弾で死亡した娘モナと妻ナディムの復讐を誓う天才コンピュータ技師サミルはイスラエル系テロリスト組織に加わり、強力なコンピュータ・ウィルス「モナ」を開発。イスラエルの金融を混乱に陥れる。 一方、ストックホルムでは科学者エリックが、脳波でコンピュータを操作する「マインドサーフ」を開発。だが、それを試した妻ハンナが危篤状態に。原因は「モナ」にあると確信したエリックは、ウィルスの開発者を追い、南仏、イスラエル、ガザへと歩を進める。そしてついに、エリックとサミルの直接対決の時が……。二人が辿り着いた驚愕の真実とは? 北欧発、欧米で話題騒然、ノンストップSFスリラーの傑作がいよいよ日本上陸!
有名自然食品店で売り出された卵は、極上の味がキャッチフレーズの高級商品『極卵』。安全、安心だったはずなのに、猛毒による食中毒事件が発生する。時間が経つうちに感染者が急増し、次々に死亡。過激化した消費者団体は業者を糾弾し、大手マスメディアは過熱報道を増していく。しかし取材を始めた元新聞記者の瀬島桐子の前に、隠蔽された驚くべき真実が浮かび上がってきた…。医療ミステリーの第一人者が現実の先を描ききった渾身の書き下ろし小説。
鴨川親娘とトラ猫のひるねがお迎えする、看板のない食堂へようこそ!!料理下手な父が毎日作ってくれた海苔弁当、パートに出る母が夕食に用意してくれた焼飯、和菓子屋の息子が大好きだった洋菓子店のクリスマスケーキ。迷わない人生てなもん、どこにもありまへん。
嫉妬と羨望が混じり合う女たちの物語 映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭で受賞した。OLを辞めてまで一緒に映画の脚本を書いてきた志保。柚木の友人の後輩で、当時柚木の彼氏だった男を奪い結婚したさつき。地元のラジオ番組の電話取材を受けることになる、柚木とは年の離れた妹の七恵。柚木が出入りしていた画家の家で、柚木と特別な時間を過ごした亜紀美。息子がどうやら柚木に気があるらしいと気を揉む、柚木が所属する芸能事務所の女社長・登志子。柚木に気に入られ、素人ながらも柚木の映画「アコースティック」で主演を演じた十和。 柚木に翻弄される女性六人の心の揺れから、柚木という一人の女性の生き方が見えてくる連作短編集です。最終話にシナリオを配した構成の実験的小説がついに文庫化。 【編集担当からのおすすめ情報】 「大人女子の恋愛&友情小説」シリーズ『虹色天気雨』『ビターシュガー』が大評判となり、ドラマ化もされた大島真寿美さん。女性の心の機微を丁寧に描く大島さんが、物語の構成にこだわりぬいた極上の小説です。 目 次 転 がる石……007 ト ウベエ……039 チュー リップ・ガーデン……073 光……105 伸 びやかな芽……137 流 れる風……175 リ フレクション……209 解 説 風間志織……253
舞台はブラジル東北部の町エクルウ。この町では、アンドラーデ家とビーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争を繰り返している。ある日、アンドラーデ家の息子・フェルナンとビーステルフェルト家の娘・カロリーナが、駆け落ちする。その捜索を依頼された謎の日本人・山猫。ブラジル版ロミオとジュリエットに端を発した、山猫による血で血を洗う追跡劇が始まる。冷酷非道な山猫の正体と思惑、そして結末に明らかにされる衝撃の事実とは…?冒険小説の第一人者が描く、手に汗握る怒涛のストーリー。究極のエンタテイメント小説が復刊
漫画家・楳図かずお初監督作品のノベライズ 漫画家・楳図かずおのもとに、出版社から彼の生い立ちを本にしたいという企画が持ち込まれる。上司の編集長に連れられてやってきた担当編集者の若草さくらは、かねてから楳図かずおの大ファンで、この企画は彼女自身が熱望するものでもあった。さくらは取材で楳図から話を聞くうちに、楳図かずおの創作の原点にはすでに亡くなっている彼の母・イチエの存在が大きく影を落としていることに気づく。彼の生まれ故郷を訪ね、さらに詳しく楳図の生い立ちを調べるさくらだったが、彼女のまわりで次々と怪異現象が起こる。そして、楳図の母・イチエの葬式の参列者の写真の中に、イチエ自身の姿が写っていることを発見する。楳図の母にまつわる恐ろしい事実、そして死んだはずの彼女の怨念が底知れない恐怖を巻き起こすのだった……。 恐怖漫画の巨匠・楳図かずお氏が77歳にして初めて監督した話題の映画を完全ノベライズ。主人公は「楳図かずお」自身。彼と彼の母をめぐる物語が、すさまじい戦慄と恐怖を巻き起こしながら、胸に迫るせつない結末へと導いてく。 【編集担当からのおすすめ情報】 映画は2014年9月27日(土)全国松竹系でロードショー公開。主役の楳図かずお役に片岡愛之助、楳図の母イチエ役に真行寺君枝。映画の脚本(楳図かずお、継田淳)をもとにさらにブロウアップしてノベライズしました。
”名もなきヒーロー”たちの夢が動き出す! この道25年のベテランスーツアクター・本城渉は、ブルース・リーに憧れる熱血漢。”顔出し”で映画に出演する夢を持ちながらも、新人の人気俳優・一ノ瀬リョウにその座を奪われるなど、度重なる辛酸を舐めてきた。 そんな本城に、ハリウッド映画のアクション大作からオファーがかかる。一世一代のチャンスだが、それは命をも落としかねない危険なスタントだった。 周囲の反対を振り切り、自分の夢のため、そして誰かのヒーローになるために、本城は撮影スタジオへと向かうがーー!? 観客に顔を知られることなく、肉体を酷使して闘うスーツアクター。アクション映画や特撮ものには欠かせない”影の主役”である彼らに日本映画史上初めてスポットを当てた映画『イン・ザ・ヒーロー』を完全ノベライズ!! 【編集担当からのおすすめ情報】 『パッチギ!』『フラガール』のプロデューサー・李鳳宇と共同で脚本を手がけるのは、200万部を超えるベストセラー『夢をかなえるゾウ』の著者・水野敬也。本城が、燃えさかる炎の中で忍者100人斬りに挑むラストシーンは圧巻です。決して表舞台には出ることのないスーツアクターたちの並々ならぬプロ意識、夢と葛藤ーー。目標に向かって、あきらめずに努力を続けるすべての人に贈るエンタテインメント小説です。
時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くにある三好家の屋敷に、その男はいた。得体の知れぬ出自でありながら、茶の湯に通じ、右筆として仕える野心家である。気に食わぬ者は容赦なく首を刎ね、殺害した女を姦通し、権謀術数を駆使して戦国大名へと成り上がっていく。信長ですら畏れた稀代の梟雄・松永弾正久秀を突き動かすものは、野望かそれとも…!?「悪の爽快感」が支配する血涙必至の物語。
「ちょんまげぷりん」作者の書下ろし最新作 ノビ(家宅侵入)専門の泥棒として、その名を轟かせていた吉森和宏は、出所直後に突然、刑事・高山清三に声をかけられる。聞けば、自分を死なせてほしいという話だった。老いさらばえて生き恥をさらしたくないから、もし、自分がそうなってしまったら、頃合いを見計らって命を絶ってほしいという依頼だった。 ええかっこしいの高山らしい内容のものだったと思ったが、当然吉森は取り合わなかった。それから一年半後、思わぬ契機から高山の近況を知ることになった吉森は、愕然とすることになる。しかし、それは以後十年近くに及ぶ長き旅路の発端に過ぎなかった。
被害者は誰?名前がキーワードのミステリー たんぽぽ探偵事務所(略してタンタン)の翔太とマリンは、横浜・馬車道で亡くなった女性の第一発見者となる。女性は全裸のため、身元が判明しなかった。その容疑者とされる女性、娘々(にゃんにゃん)好子から事件の調査を依頼され、知識先生とともに調査を開始する。 好子の証言から、被害者の名前がサイトウさんらしきことがわかる。また好子の、サイトウさんが池袋でキャバクラのホステスをしていたという証言に基づき調べを進めるうちに、彼女を知っている勝山大和から、彼女と親しかったという西東司という人物がいたことが判明。西東は暴力団で麻薬を扱う男だった。翔太がその男に聞き込みをした後、今度は西東が死体で発見された。現場に残された「マサ」の文字は、ダイイングメッセージなのか。 事件の背後には、薬物があるのか。麻薬撲滅担当大臣の吉満大臣に聞き込みにいく翔太だったが…。 翔太とマリンがなぜか鮮やかに事件を解決していく、書き下ろしユーモアミステリー、第3弾!
川上マジックが冴えわたる極上の恋愛小説集 収録作品は次の通りーー [一実ちゃんのこと]一実ちゃんは「私、クローンの生まれだから」と恐ろしいことを言う。ある日、彼女に牛強盗に誘われた。 [ユモレスク] 不思議な女の子ハナは自称・詩人だ。彼女はイイダアユムに恋していて彼の名前を織りこんだ詩を書いている。 [金と銀] 治樹さんに初めて会ったのは私が子どもの頃。再会したのは彼が離婚した二年後だ。ある日、彼は失踪した。 [エイコちゃんのしっぽ] 「短いしっぽがあるんだ、わたし」とエイコちゃんは言った。あたしが男に襲われそうになったのを救ってくれたのは彼女だった。 [壁を登る] あたしの母はときどき妙なものを家に連れてくる。見知らぬおばさんやおじいさん。今は五朗がいる。彼はお天気になると家の壁を登る。 [夜のドライブ] 温泉に連れてきた母が真夜中に言う。「ドライブに行きたいの。好きな人と夜中にドライブしたことがなかったなって、急に思ったの」 [天頂より少し下って] 十一歳年下の涼に、全身全霊をかけて愛されることなんて、あたし、ぜんぜん望んでいない。あたしの方が全身全霊をかけて愛したいのだ。
十万部突破の新感覚ミステリ、涙の完結!? 事件・事故現場を専門とする清掃会社で働き出した桃子は、現場に遺された想いに感応し、手のひらだけがくすぐったくなったり、無性に焼きそばを食べたくなったり、動物になったりする超常現象に襲われる特殊能力の持ち主だ。同じ職場で働くのは、異常な犬好きの社長をはじめ、役者気取りの元ヤンキー、無愛想なイケメン、Vシネかぶれの中国人に、ギャルの事務員。そんな個性豊かな面々が、桃子におこった超常(?)現象を手がかりに、事件・事故の「謎」に挑む。やがて、従業員逮捕に会社は大揺れとなり、桃子は自らの能力の秘密を知ることになる事件に巻き込まれていく。桃子は、そしてクリーニングサービス宝船の運命は!? 笑って泣ける新感覚ミステリ、待望の続編登場!!