出版社 : 小学館
高校時代からの友人男子三人組がオランダを旅する中でフェルメールをめぐる互いの秘密に気づく「アムステルダムたち」。一人パリを訪れた女性が、亡き母の友人であるフランス人女性と再会し、彼女と母との意外な関係を知る「秋の休暇」。愛する妻を失い、その魂に誘われるまま南へと進路をとりスペインを旅する「南へ…!」。ほかに、チューリッヒ、プラハ、ヴェネツィア、ハワイへと舞台を移し、異国の地で繰り広げられる人間ドラマと旅人の心の変化を描く珠玉の全七編。美術、映画に造詣の深い筆者ならではの細部に渡る巧みな描写も魅力。
男、六十歳。忘れかけていた青春時代の思い出と“人生最後の恋”を求めてー。数十年ぶりに再会した幼馴染み三人組、定年退職した昌二、現役の探偵・三郎、陰のある会社役員の誠一郎が、ある富豪の遺産の秘密を知るオウム「オードリー」を探して東京の街を彷徨い歩く。その過程でたどる“あの頃”の記憶ーお笑い三人組、バイタリス、MG5、カミナリ族、缶ピー、街頭詩人、Oh!モウレツ、ゲバゲバ、「あの時君は若かった」、ジェットストリーム、「夢で逢いましょう」…。六〇年代から七〇年代の空気が現代に甦る、直木賞作家の“ノスタルジック・ミステリー”。
大恐慌さなかの一九三二年、アメリカ南部、コールド・マウンテン刑務所。電気椅子へと続く通路は、床に緑のリノリウムが張られていることから通称“グリーン・マイル”と呼ばれている。ここに、双子の少女を強姦殺害した罪で死刑が確定した黒人男性ジョン・コーフィが送られてくる。看守主任のポールは、巨体ながら穏やかな性格のコーフィに一抹の違和感を抱いていた。そんなある日、ポールはコーフィの手が起こした奇跡を目の当たりにしてしまう…。全世界で驚異的ベストセラーとなったエンタテインメントの帝王による名作が、十七年の時を経て鮮やかに蘇る。
死刑囚コーフィの不思議な力を知ったコールド・マウンテン刑務所看守主任のポールは、彼の罪状に疑問を抱きはじめる。そんななか、刑務所長の妻が脳腫瘍に倒れる。ポールは他の看守たちとともにコーフィを連れ出し、所長の妻の治療をさせるという賭けに出た。またも奇跡が起き、戻った刑務所ではさらにコーフィが驚くべき力を発揮する。そしてポールは、コーフィの事件の真実を知ることになる。しかしその時にはすでに、彼の処刑が目前に迫っていた。世界屈指のストーリーテラーによる、二十世紀最高の奇跡の物語が鮮やかに蘇る!
戸鹿野智貴、28歳。若きカリスマ経営者と言われる彼は、女と旅行に行った異国の地で、薬物密輸の疑いで逮捕される。会社は破綻、資産は没収。なぜ自分ははめられたのか?事件の真相を探るべく、彼は名前も顔も変えて調査に乗り出す。一方、イギリスで麻薬捜査を手がけるジャッド・ウォーカーは、ユーロポールへの出向を命じられ、イタリアでマフィア幹部の惨殺事件に遭遇する。さらに第二の事件が…。日本、イギリス、イタリア、アメリカ。舞台は目まぐるしく動き、予想もしなかった真相が立ちはだかる。世界スケールで展開するサスペンス巨編。この真相を見抜けるか!
ナマリ千代は、朝鮮でそして日本で、両親や兄弟、夫や子ども・孫を殺され、一人長崎にいた。島原の乱後、農民の子として育てられたジュリア須美は、困窮のため大坂の新町遊郭に売られ、太夫(小太夫)となる。人にはマリア様との果たすべき「御約束」があると信じていた二人。千代の「御約束」は須美に仕えることだった。そして、須美の「御約束」となった壮大な企てを実行に移そうとしていた…。
早すぎる死。惜しまれて逝った作家の小説集 51歳で突然この世を去った著者が生前発表した作品の中からセレクト。いずれも単行本初収録。 親友の妻の鍛えられた腹筋に惹かれていく主人公の複雑な心情を描いた「人生は彼女の腹筋」。高級リゾートの取材で出かけたバリ島で虐げられる犬たちを目撃したことから始まる「バリ島の犬」。夜の闇の中で飛行機の離発着を眺めながら繰り広げられる「那覇空港のビーチパーティ」。アメリカのニューオリンズでハリケーンに導かれるように出会う日本人女性と現地老人との交流の物語「ルイジアナ大脱走」。離婚してから4年偶然京都で再会した男女の感情の移ろい「秋になれば街は」。夜の国道沿いの中古車センターで明らかになっていく友人とその妻と僕の真実「完璧な土曜日」。いずれの作品も、「場所」をきっかけに変化していく人と人の関係を、丁寧な筆致、意表をつく設定、鋭い洞察力で物語化した、読む者の心にじんわりと染みこむサプリメントのような小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 著者の駒沢敏器さんは、2012年、51歳の若さで突然この世を去った作家、翻訳家です。彼の小説は、豊富なアメリカ文学からの読書体験と、世界を旅して培った鋭いフィールドワークの眼が見事に生かされたもので、これからも素晴らしい物語をたくさん私たちに届けてくれるはずでした。ここに編まれた小説は彼のベストといってもいいものばかりです。こうして1冊の本にしながら、かえすがえすも彼の早すぎる死が悔やまれてなりません。
兄は穀物商の跡取り、美人の妹は老舗旅館に玉の輿!豊臣秀吉似のサル顔が災いして、片田舎の農家に嫁がされたサダ。口も悪くて金払いも最悪のこの女に、それでもなぜ人は吸い寄せられるのか?悩みも悲しみも笑い飛ばす、最強女の一代記!
東京の会社をリストラされた理美は、故郷の沖縄に戻った。ハローワークに隣接する食堂のオバアに「やめておけ」と言われたコールセンターの仕事だったが、近代的なオフィスビルに惹かれ、就職する。研修では、役を演じろ、ウイスキーの顔を作れ!など、はじめて聞かされることに戸惑い、実務では、クレーマーやトラブルに冷や汗の連続だ。そんなある日、理美は会社の代表として「電話応対コンクール」に出場することに。優勝を期待する会社からのプレッシャー、同僚の嫉妬、連日の猛特訓に逃げたくなるが、大会は待ってくれない。手に汗握るコンクールの結末は?
昭和精密機械の技術者、早川啓介が、東尋坊から死体で発見された。警察は自殺と断定したが、人型ロボット開発の中心人物として仕事は充実しており、公私とも悩んでいる様子はなかった。父親の雄介は息子の死に疑問を抱き、会社を辞め自ら調べ始める。ついで、浅草で若い女性の死体が見つかる。亡くなった北川愛は、啓介の人型ロボットのデザインを担当しており、遺書めいたメモには早川の名前が残されていた。調べを進める十津川警部のもとに、啓介の父親が謎の解明につながる人物を発見したと知らせてきた。果たして、二人の死にまつわる真相とは何なのか。
時代小説界最後にして最強の新人! 主人公・秋月六平太は、かつて信州・十河藩の供番(籠を守るボディーガード)を務めていたが、家中の権力闘争に巻き込まれゆえあって浪人となった。いまは裕福な商家の子女の芝居見物や行楽の付添い屋(これもボディガード)で身を立てている。 血のつながらない妹の佐和は、六平太の再士官を夢見て、浅草元鳥越の自宅を守りながら、裁縫で家計を支えているが、本人にその気はない。相惚れの髪結い・おりき、音羽界隈を取り仕切る毘沙門一家の菊次とともに、浮き草な日々を過ごしながら、付添稼業を続ける日々だ。 その六平太のまわりには、幸せになりきれないが、一生懸命生きている人たちの悩み事が今日も迷い込むのだった。妹・佐和の祝言までを描くシリーズ第一弾。「雨祝い」、「初浴衣」、表題作「留め女」、「祝言」の四話を収録。人情話ここにあり! 【編集担当からのおすすめ情報】 書き下ろし時代小説界 最後にして最強の大型新人、 満を持してデビュー! オビコメントは、北大路欣也さん! カラーイラストは『JIN-仁』『龍ーRON』の村上もとか氏!
北大路欣也氏、高橋英樹氏が推す時代小説! 秋月六平太は、かつて信州・十河藩の供番(籠を守るボディーガード)を務めていたが、ゆえあって浪人となる。いまは裕福な商家の子女の芝居見物や行楽の付添屋(これもボディガード)で身を立てている。血のつながらない妹の佐和は、六平太の再士官を夢見て、浅草元鳥越の自宅を守りながら、裁縫で家計を支えている。その佐和を嫁にやって、悠々自適の日々を過ごすつもりが、なかなかそうもいかない。次から次へ厄介事が舞い込むのだった。表題作「あやかし娘」、「武家勤め」、「むかしの音」「霜の朝」の四話を収録。 しみじみ笑えてじんわり泣ける、痛快エンターテインメント! 【編集担当からのおすすめ情報】 ●脚本家の大物・金子成人氏が手がけたドラマ作品 時代劇の金字塔「鬼平犯科帳」「剣客商売」「御家人・斬九郎」、 刑事ドラマ「大都会」「西部警察」、NHK朝の連続テレビ小説(「走らんか!」)、 NHK大河ドラマ(「真田太平記」「義経」)等、多数! オビコメントは、高橋英樹氏! カバーイラストは、『JIN-仁』『龍ーRON』の村上もとか氏が担当!
かつてアイドルになることを夢見ていた桜木広司、三十二歳。ごく一般的な生活を送っていた彼が、ある日アイドルグループの新メンバーにスカウトされる。外見が幼く見え、十七歳だと思われたのだ。抱いた夢を終わらせるために“柊剛人”として始めたアイドル生活。彼が『少年ハリウッド』に光臨した神「ゴッド」と呼ばれるまでの軌跡と、チーム結成当初からの全メンバーが登場する物語をコンプリート。本作から十五年後の設定である『少年ハリウッド〜Holly stage for 49〜』がアニメ化決定!放送に先駆け初代少年ハリウッドの物語が完全版となって登場。
遠く津軽からやってきた盲目の美少女修法師・百夜が、江戸の町で物の怪たちを次々と調伏する怪奇譚。腕のいい修法師と大評判になった百夜のもとには、ひっきりなしに物の怪退治の依頼が舞い込むようになる。糸問屋に、突然現れた伐折羅大将。その男の正体は…(『神将の怒り』)。大工の庄七の店に大きなオニヤンマが現れる。父と嫁ぐ娘の涙と感動の物語。(『勝虫』)。東北から江戸の酒蔵に出てきた杜氏の死。孤独な日々と、家族への思いが、悲しくも切なく染みる。(『慚愧の赤鬼』)。笑って泣ける物語が八篇収録。大人気『修法師百夜まじない帖』シリーズ待望の第二弾。
この本は、見事な“恋愛”小説集だ。フィクションとエッセイの間を行ったり来たりする不思議な作品ぞろい。これを“物語エッセイ”と名づけることにしよう。単行本には収録されなかった、強烈きわまりない“マチコさん”を主人公にした中篇「或る女」を加えた完全版。著者自身によるイラストレーションも多数収録。母と息子、母親と私、見栄っぱりの女友だち、離婚した美女、イタリアの女たらし、ニューヨークの日本人夫婦、舅姑を看取った逞しい中年女たち。自らの周りにいる愛すべき変人奇人がいっぱい。笑ってしんみり、でもなぜか元気が出る三十四篇。
水底に沈んだ少女の名に始まるミステリー 累計60万部を突破した『偏差値70の野球部』の著者のデビュー小説集。 大正14年のある夜、「私」の祖父が住む秩父郡峰伊那村でダムが決壊、「波多野岬」という名の少女が犠牲になる。事故の翌年、祖父の家の納屋から、彼女が生前に祖父へ送った手紙を私は見つける。そこには、未来・過去・現在を定義する「クラウス曲線理論」なる小文が綴られていた。波多野の死にこだわる私は、波多野と同じ名を持つ少女「間中岬」とともにダムへと向かう。--ダムに沈んだ少女は、何を見ていたのか? 現実(うつつ)と幻想(あやかし)、「語り」と「騙り」の間を往還するミステリー「あやかしの小瓶」。 帝大を卒業したものの、不景気のあおりで定職に就けず、高等遊民(=フリーター)として毎日を無為に過ごす「ぼく」。酔い潰れた深夜、ぼくは中年男に拾われ、神田花町の居酒屋で丁稚になるが、恋人の「チヒロ」に打ち明けることができずにいた。やがて、居酒屋の入ったビルの取り壊しがニュースとなり、ぼくは得体の知れない波風に翻弄されはじめる。近代文学の香り漂う青春小説「簡単な生活」。以上2作を収録。
大学院でフランス文学を専攻する瀬川柚葉は、智Qこと松木智久という恋人がいながら、指導教官、岩渕とも密かな関係を続けていた。どちらとの関係にも満たされない中、柚葉は岩渕との別れを決意。しかし岩渕は、柚葉を息子ルイの家庭教師に迎え、つなぎとめる。そんな夫と柚葉の関係に気づきながらも平静を装う岩渕の妻、麗子。彼女にもまた若き愛人、五郎がいた。柚葉、智Q、岩渕、麗子、五郎、そして智Qを慕う女子大生も巻き込んで複雑に絡み合う愛憎模様。いくつもの愛がぶつかるとき、それぞれの心の真実が明らかに。そして、その愛は衝撃的ラストを迎える。
イランを舞台に描く壮大な一大叙事詩 舞台は、イラン、イラク、旧ソビエト、そしてヨーロッパ・・・。壮大なスケールで描く超大作。ペルシアの地を目指した、2人の日本人が、苛烈な運命に翻弄されながらも強く生きる。 イスラム革命が成功したイラン。王の時代は終わりを告げ、念願のイスラム教を軸とする国家へと移りゆく。イスラムの教えを強く信じ、革命を成し遂げた革命防衛隊だったが、権力を手にしたとたん、内部からじわじわと腐敗がすすみゆく。革命の成功が、理想の国家を作り上げると信じていた革命防衛隊員サミル・セイフは、その現実を目の当たりにし、もう一度イスラム革命の理念を取り戻すべく戦う。 一方、イラク、イラン、トルコなど、カスピ海沿岸に国を持たずさまようクルド人。自らの国家を樹立するため、武装蜂起を計画。その意思を受けクルド人の武器を調達する日本人武器密輸商人ハジ。そして、イラン革命をつぶさに見てきた隻脚の日本人ハジ。2人の日本人の生き様を通じて、中東の置かれた現実や人々の思いを見事に描ききる。 20年以上もの長きに渡り、読み継がれてきた船戸与一最高傑作。小学館文庫にて刊行するにあたり、イランの地図と登場人物紹介を付記。