出版社 : 小学館
西暦995年京都、藤原道長と安倍晴明の密談により、大江山に棲まう鬼・酒呑童子の討伐を命じられた源頼光。三日月宗近ら刀剣男士の活躍で無事に任務が完了したはずだったが、酒呑童子の最期の呪いを受けた山姥切国広が姿を消してしまうー。西暦2012年東京、高校生・琴音は禍々しい影と戦う、一振りの太刀と出合う。戸惑いながらも、不思議な声に導かれるままに口にした言葉は…「-三日月宗近」1000年の時を越え、届いた念いとは?守るべき歴史とは!?今、刀剣男士の新たな戦いが始まる!!
離婚を望む歌手である妻と、寡黙な技術者の夫ー離婚の審議にあたる判事と、野菜の研究者として生きる妻ー。二組の夫婦の姿を軸に、彼らをとりまく社会と家族の姿を描く。2020年、米国の「ライブラリー・ジャーナル」Best Books翻訳文学部門の10冊に選出。韓国、フランス、アメリカで翻訳出版された北朝鮮の文学作品。
追放からの、クラノス完堕ちーー? 国外追放を命じられてしまったクラノス。 亡命先のケイト王国では、まさかの誘惑が待っていた。 それはーー可愛い可愛い園児たち。クラノスは保育園の先生になってしまったのだ! 「もう嫌なの。あの騎士団の担任」「担任じゃなくて団長だ!」 このままでは討ち入りどころじゃない。 折しも、帝都ではミナイツェを中心とした新たなキーラ襲撃計画が企てられていた。 キッチュは騎士団のハピライトらと力を合わせ、なんとかクラノスを説得しようと試みるがーー。 痛快討ち入りコメディ、第3幕!「そうだ京都(ケイト)行こう」編、開幕!
早世した天才作家の珠玉の作品集。ミステリアスなショートショートから哲学的な匂いのする短中篇まで、精力的に作品を発表し高い評価を得ていたものの、34歳の若さで亡くなった山川方夫の短篇集。地方勤務から4年ぶりに本社に戻った妻帯者で事なかれ主義の男が、同期の女性に翻弄される「帰任」。憧れだった団地に入居したものの、その画一性に疲れ果て、極端な行動を取ろうとする「お守り」。相手の顔をまともに見ることができない内気な女性の大胆な行動を描く「箱の中のあなた」。下宿の外から聞こえてくる女性の軍歌に二人の男が惑わされてしまう「軍国歌謡集」など11作品を収録。
「植物学の父」とその糟糠の妻を描く。小学校中退ながら、ほぼ独学で植物の研究に生涯を捧げ、輝かしい業績を残した牧野富太郎と、想像を絶する生活苦にもめげず夫を支えた妻・寿衛子の生涯を、富太郎と同郷の著者が丹念に描く。裕福な商家に生まれた富太郎は、父母を亡くしたにもかかわらず、研究と趣味のため湯水のように金を使ったので、たちまち困窮。なおも高利貸しから借金を重ね、借金取りに追い回されるのが常態となる。そんななかでも、寿衛子は13人の子ども(成長したのは7人)を育て上げ、待合の女将として働き、富太郎の夢を叶えようとした。夫婦の手紙を紐解きながら、「植物学の父」とその糟糠の妻の素顔に迫った名作。
戦後、日本は二つの国に分断されていた。本土から切り離され、米軍支配下に取り残された沖縄は「独立」に向けた闘いを開始した。故郷沖縄に東京から思いを馳せる詩人・山之口貘、“アメリカが最も恐れた男”不屈の政治家・瀬長亀次郎、「沖縄資料センター」を立ち上げ沖縄との連帯を模索する中野好夫…。実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く傑作長編!この物語の主人公は沖縄である。
『BLUE GIANT』もうひとつの物語 沢辺雪祈は、言葉を覚えるより先に音を覚えたーー。 幼い頃、音が「色」に見えた少年は、やがてジャズの魅力に取り憑かれ、運命の仲間たちと出逢う。目指すは日本一のジャズクラブ「ソーブルー」での10代トリオ単独公演! ただ真っ直ぐに、ただただ真摯にピアノと向き合い続ける青年は、夢の舞台で磨き上げたソロを響かせ、喝采を博すことができるのか!? 大人気コミックのストーリーディレクターが魂を込めて書き下ろすフルボリューム音楽小説!! 漫画でも映画でも描かれなかった『BLUE GIANT』もうひとつの物語。
十二歳で離れた故郷の島へ、槇屋深津は二十年ぶりに帰ってきた。島の小・中学校の臨時教諭になるためだ。週に二便しかないフェリーで鹿児島港から十二時間。外食する店もない外周十五キロほどの島。同僚や子供たちは深津を歓迎するが、小学四年生の宇良だけ現れない。人の善悪を見抜き、どちらかわからないうちは、姿を見せないという。深津は悪寒を覚えた。二十年前の事件の記憶がよみがえるー
昭和の会社員の哀歓悲喜を描く短篇集。女癖が原因で失踪してしまった元同僚と旅先でばったり出会い、相変わらずの暮らしをしていることを知らされる「病気」。空襲で亡くなった同級生の墓参りと、その寺にまつわる悲しい話を綴る「涅槃西風」。借金で首が回らなくなっている男と、そうとは知らない二人の平凡なサラリーマンの“最後のゴルフ”の様子を描く「トラブル」など、17の作品からなる短篇集。昭和のサラリーマンが抱える孤独、不安、悲しみ、ささやかな喜びなどが、短い文章のなかに凝縮されており、懐旧の情が掻き立てられる佳作。
“情念の川柳作家”時実新子の半生記。-どこにも落ち度のない妻と海野は別れなければならない。おなじように新子は夫と別れなければならないところへ追いつめられていた。しかし、それが愛のすがたというものかもしれない。真実は悪の面を被って、とことん美しくあろうとするものだから。-医師を目指していた少女が17歳でやむなく結婚。夫の暴力と愛のない生活に疲れ果てていた新子を救ったのは川柳だった。創作活動を通じていくつかの出会いと別れを経験し、やがて妻子ある編集者・海野に巡り逢う。はたして海野は新子にとって運命の人なのか…。与謝野晶子と並び称される“情念の川柳作家”時実新子が自らを晒した、赤裸々な半生記。
毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。世界の片隅で起こる小さな魔法の物語。
交通事故で傷を負って以来、人目を避け孤独に生きてきた祥司は、行きつけの居酒屋で一人の女性に出会う。祥司には眩しいほどに快活に見えた千尋だったが、実は人に言えないトラウマを抱えていた。