出版社 : 平凡社
人気シリーズ「文豪怪異小品集」の最新作は今年生誕150年を迎える泉鏡花の第二弾。初期短篇「龍潭譚」の系譜を中心に、奔放猟奇な鏡花世界の真価をじっくり堪能できる一冊。
アイルランドの首都ダブリンに生きる様々な人を描いたジョイスの『ダブリナーズ』。この傑作短編集の作品を、十九世紀末から二十世紀はじめに書かれた妖精・幽霊譚と並べてみるとー。名作をこれまでとは異なる文脈に解き放ち、当時の人々が肌で感じていた超自然的世界へと誘う画期的なアンソロジー。
ロシア文学を代表する小説「罪と罰」をドストエフスキー研究の第一人者が読み解く。登場人物に重ねあわされる聖書のイメージ、日付や名前などのディテールに込められた意図、作者が仕組んだ「二重構造」のプロット…。死に支配された物語を丹念にひもとき、ドストエフスキーが残した謎に挑む。
一九六八年のソ連軍を中心とした軍事侵攻以降、冬の時代を迎えていたチェコスロヴァキア。八〇年代、ゴルバチョフのペレストロイカが進むとSF界にも雪融けが訪れる。学生らを中心としたファンダムからは“カレル・チャペック賞”が誕生し、多くの作家がこぞって応募した。アシモフもクラークもディックも知らぬままに手探りで生み出された熱気と独創性溢れる一三編。
アメリカ在住の日本人ノンフィクションライターが、引っ越し作業中にふと手にした一冊の本。それは50年前の世界的事件を追うことになる迷路の入り口だったー。半世紀前の1972年5月30日、イスラエルのテルアビブ空港で起こった乱射テロ事件。起こしたのは3人の日本の若者たちだった。彼らはなぜ遠い異国の地でそんな事件を起こしたのか。それは崇高な使命感からだったのか、それとも別の残虐非道な目的からだったのか。そして、事件の首謀者・渡良瀬千尋が短い生涯で遺したものとは。正義と使命感に駆られた人間の「光と影」をリアルに描いた、渾身の長篇小説。
書名の「ヘーローイデス」はヒロインのこと、所謂『名婦の書簡』。ギリシア神話に登場する女性が良人や恋人に宛てた手紙21歌。それぞれの神話の結末を暗示する内容。
暗殺の現場に居合わせた主人公は被 告の無罪を証言すべく司法長官のもと に出頭する。その途上で逢った高地人 の娘。二人の恋を巻き込みながら、英 国史上最悪の暗黒裁判は進行する。