出版社 : 廣済堂出版
国連警部から国連全権密使に昇格した高木半佐。その最初の仕事は、旧ソ連時代に人工衛星に乗ったまま宇宙をさまよっている飛行士二名を救出することだった。ハンザは綿密な計画を立てたものの、宇宙船回収予定地では、軍の叛乱のため外部の人間はシャット・アウト。さらに民族紛争さえも巻き起こり、上を下への大騒動となっていた。美人部下の横浜リリー、マーガレット、金淑姫らをひき連れて事件の渦中に飛び込むハンザだが果たして…。傑作痛快ミステリー。
百二十人という勢力を誇る「経世会」を旗揚げした竹下登は数の力をバックに、首相の座を目指して着々と準備をすすめる。一方、昭和六十二年十月八日の自民党総裁戦告示日には、竹下とともに安倍晋太郎、宮沢喜一も満を持して立候補届けを提出した。次期総裁をめぐる水面下の暗闘は、名派閥の思惑を秘めて激しさを加える。任期切れの中で最後まで野心を捨てない中曾根が竹下を指名するまでの熱く長い日々を描く。
悪魔の兵器を使う大国を叩け。昭和二十年七月、帝国海軍初のジェット戦闘機「橘花」が完成し、対ソ戦に投入できる目処がついて、本土防衛態勢は万全になったかにみえた。しかし、ソ連は講和したドイツより優秀な頭脳を引き抜き、最終兵器の原爆と長距離ミサイル超V2号の開発を進め、これら二つの実験が成功するや、中国哈爾浜から原爆を弾頭に装填したミサイルを広島に、ついで長崎に向けた-。地獄を見せられた日本帝国は、橘花と共に製造中だった超長距離重爆撃機「富岳」に米国より供与された原撃を搭載してモスクワへと…長篇架空戦記第四弾。
半導体の中枢部をなす超高純度シリコンは、日本のハイテク産業を支える“戦略物資”であった。ノルウェーの孤島にあるその第一次精製工場が、元米軍特殊部隊の精鋭を中心とするテロリスト集団に武装占領された。ノルウェー国軍による救出作戦は犠牲者を出して挫折。日本では政府の黙認を受けて危機管理会社主導の制圧部隊が編成され、彼らは暴風雪のなか、氷の断崖へ向けて急襲降下し、奪還作戦を決行する。
鎌倉幕府を牛耳る北条一門に反旗をひるがえして挙兵し、幕府の滅亡、南北朝の動乱のなか、勇将・楠木正成、新田義貞らを倒して征夷大将軍となり、室町幕府の礎を築いた足利尊氏。幾多の合戦と政略・政争に明け暮れた尊氏の一生を陰で支えた多くの女たち。妻・登子、白拍子の花夜叉、藤夜叉、阿野廉子をはじめとする美しく妖しい女たちと尊氏との濃密な色模様を円熟の筆致で描き上げた長篇官能時代小説。
日本列島改造論で一大ブームを巻き起こした田中角栄だが、金脈問題やロッキード疑惑でついに政権の座を明け渡す。しかし、後を継いだ三木、福田、大平の各首相時代にも、強力な軍団の闇将軍として隠然たる権力を誇り、中曾根政権を誕生させた。だが、やがて世代交代論が新世代議員から沸き起こり、ついに田中派は本格的に分裂。竹下登を中心とする創政会と田中直系の二階堂派との対立抗争が広がっていく。
筒井和泉守政憲は江戸南町奉行に就任するや、早乙女源六を内与力にするとともに、定町廻り同心筧彦七をつけて裏探索方を命じた。そして彦七の下には手足となって働く、岡っ引きの甚八以下五人が控えていた。この六、七、八の捕物陣七人が江戸の凶悪事件の探索に当たり、浅草と麹町で同時に起きた紙問屋の押し込み強盗を追って動き出した。-街道を走り、十手捕縄を操り次々と下手人をあげる痛快本格時代小説。
紀州和歌山藩主の四男として生まれた吉宗は、御三家の名にとらわれない自由闊達な生き方をしていた。若侍たちに襲われ、手ごめにされかかっていた踊り子の小づまを助けた吉宗は、それを機に彼女と愛し合う。しかし、小づまは一度だけ吉宗に身体をあずけた後、姿を消してしまう。やがて吉宗は十六歳の正室・理子を迎えるが、彼女も急逝してしまう。動乱の時を生きた若き吉宗の奔放な青春を描く長篇書下ろし。
「会社を倒産させようと思う」社長に打ち明けられた専務の松坂は驚愕した。不況のあおりで会社を支えきれなくなり、三週間後に受け取る手形を割り引いて会社に貸した金の回収と松坂の退職金に充当するという。経理の女と肉体関係を結び、甘い夢の見返りで帳簿を書き直させ、綿密な計画は順調に進むかに見えたが、思わぬ落とし穴が…。(逃亡の履歴書)。
あらゆる犯罪を憎み、非情なまでに冷徹な推理で犯人を追いつめる天才警視正・岩崎白昼夢。一人息子・翔が小学校入学を目前にひかえた年の暮れ、岩崎は鬼の捜査一課長から呼び出しを受け、子育でに専念するための休職中であった妻・みずえ警部補に復帰の指令が下された。彼女の復職を前に、岩崎は妻子を連れて、豪州での華麗なる休暇と洒落こむが…。
戦乱の世を力ずくで平定し、天下人となった織田信長。尾張統一、桶狭間の戦い、美濃攻略にはじまる激しい歴戦を経て、謀反によって本能寺で果てた信長の生涯を陰で支えた女たち。生娘を嫌い、性技に長けた若後家を好んだ信長は、吉乃・直子・お稲などの妖艶な熟女とのまぐわいに耽り、戦さに疲れた心を癒した。女を通して信長を描いた異色作。
横浜市内に本社を置く東海機器と日本自動車精密の二社は、業界を二分する自動社部品メーカーであった。互いにライバル会社の弱点を突いて、自社との合併を有利にしようと考える二人のトップ。相手会社の経理部長を抱き込もうとする工作に手を貸し、サラ金地獄に落ちたその妻をモノにしてしまう業界紙記者。色と欲の絡んだ実業界の人間ドラマ。
1976年、ニューヨークで三人の日本人商社マンが殺され、冷凍死体が極秘裡に日本へ空輸されてきた。ロッキード事件を追っていたフリー記者の西村勝彦は、その情報を掴み取材を始めるうち、上海コネクションという組織の存在を知る。戦中から戦後にかけて、日本の政財界を裏から動かす上海人脈とは何か。恐るべき力を持つ地下帝国の実態を追う。
唾液にまみれぬらぬらと光る肉根が唇の間から抜き出され、ひくつきを打ちつつ、女の頬のわきで揺らぐ。半びらきの唇が咥えなおすように棍棒のようなそれになすりつけられる。「バックから男に嵌められるのが好きなのだろう、ん。」大手電装メーカー「アヒサ」の紛失した極秘リストを見つけるよう業務命令を受けた総務課長の梶谷弘一は、リストと共に姿を消した犯人らしき女を探し出すため、自慢の肉体を武器に社内の美女たちを次々と征服してゆくが…。長篇官能小説。
隠密絵師として九州から江戸へ上る朝霞桔梗之介は、山陰・津和野の寺で一夜の宿を借りた。ところがそこの住職が、かつて斬殺した女の呪いに取り付かれ、奇妙な病に苦しめられていることを知る。助けを求められた桔梗之介は一計を授けるが…。出雲路、袖振りあった人々の悩みを解決し、悪人を懲らしめながら、色事絵師の旅は続く…。長篇痛快時代小説。
歴代総理の中曽根康弘、宮沢喜一。田中角栄を退陣に追い込んだ共産党の松本善明。元社民連の江田五月など、東大法学部に学んだ人物の歩んだ道を辿り、超エリート養成機関の実像を描き出す。日本の政財界の中枢を担う人物たちがどのように東大法学部を目指し、人脈を作り上げていったのか。綿密な取材と豊富なエピソードで読ませる実録ノベル。
プロの運び屋・佐伯研次は、イスラム革命の国イランに降り立った。古代ペルシャ帝国の遺跡から出土した粘出板を国外に持ち出し、その研究者・カシェフィ博士を亡命させる依頼を受けた佐伯は、脱出ルートを確保し、博士への接触を図る。だが、前国王派のカシェフィは革命委員会の厳しい監視下にあり、更に正体不明の組織が博士の暗殺を企てていた。
セックスがらみの揉めごと解決屋・氷室凍馬のもとに、名門の誉れ高い薔薇百合女子学園理事長・新藤有美が訪ねてきた。その依頼とは、同校の生徒が麻薬欲しさにアルバイトで売春をしているという密告の真偽を確かめることであった。思念によって性感を刺激し、めくるめく快楽の波に乗せて人物を自在に操る淫導術。その奥義を極めている凍馬は、売春を名指しされた十六歳の美少女・松尾香苗を待ち伏せし、彼女の奔放なまでの欲望に超絶性技で応えてやる。だが、香苗は売春組織の実体を知らず、ある衝撃的事実のみを語った。