出版社 : 彩流社
ヴィクトリア朝の繁栄の下、その裏側で資本主義から疎外された人々の多く住んだロンドンの下町を舞台に、自らも娼婦を妻としたギッシングが、民衆の愛憎うずまく赤裸々な人間関係を、当事者の眼を通して生き生きと描く名作、本邦初訳。
本書は、作品の構成、プロットの展開、背景、雰囲気など芸術上の目的から、作者が故意に歴史上の事実のどの点を歪め、どの点を省き、どの点を拡大解釈したのか、またなぜ歴史的に正確を期さねばならなかったのかなどを考察し、ヘミングウェイの手法や芸術の基盤を明らかにしようとした画期的な研究である。
簡潔明快な文章で鳴らしたイギリス・モラリストの精神世界!モンテーニュを英語圏へ普及させた先駆者であり、19世紀イギリス・ロマン派エッセイストにして人間性探究者ウイリアム・ハズリットの全貌。
ポルトガル現代文学の名作といわれ、世界8カ国で翻訳され好評を博している本書は、不毛の地(ガンダラ)を舞台に、没落貴族出身の妻と新興ブルジョアに属する夫との感情の対立を、雨水に呑み込まれて死んでいく蜜蜂に象徴化して描く。
ベトナムへの出撃を待ち続ける若き兵士たちに忍びよる不安と孤独の影。それは戦争の泥沼化の中で、迷えるアメリカが投げかける影でもあった。やがて、彼らは息苦しさの中で自分を見失い、暴走し始める……。ペン/フォークナー賞受賞。
スペイン内戦の影を引きずる亡命作家として国際的に知られるセンデールの自伝的作品。自らも妻と弟を虐殺された共和国軍の兵士でもあった作者がその怒りを内省化させ、少年ペペと少女バレンティーナに託してその多感な生き方を描く。
イベリアの風土と人々の心を照し出し、ポルトガル的「世界を生きている」ことの実感を綴る本邦初の選集。土着的な作品からプルースト、ジョイスらの影響を多く残す作品まで、現代の代表的作家21人による出色の作品集。 まえがき 下宿屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラウル・ブランダン 楽しい復活・・・・・・・・・・・・・・・アキリノ・リベイロ 船乗りの主・・・・・・・・・・・・・・・フェレイラ・デ・カストロ ばあさんは魔ものよ・・・・・・・ジョアン・デ・アラウジョ・コレイア 三つの国・・・・・・・・・・・・・・・・ジョゼ・レジオ 密航者・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジョゼ・ロドリゲス・ミグエイス 復活・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドミンゴス・モンテイロ アルマ・グランデ・・・・・・・・・・ミゲル・トルガ 若者は手を嫌う・・・・・・・・・・アルヴェス・レドル マリア・アルティニャ・・・・・・マヌエル・ダ・フォンセカ 冬のスポーツ・・・・・・・・・・・ルイース・フォルジャス・トリゲイロス 缶詰め・・・・・・・・・・・・・・・・・マリオ・ディオニジオ ジェノヴェヴァかあさん・・・ヴェルジリオ・フェレイラ 太鼓の少年・・・・・・・・・・・・フェルナンド・ナモーラ 男・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソフィア・デ・メロ・ブレイネル・アンドレゼン 鴉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カルロス・デ・オリヴェイラ バラード・・・・・・・・・・・・・・・マリオ・ブラガ 青い諦念・・・・・・・・・・・・・・アグスティナ・ベサ・ルイース 太陽の輝く三十分・・・・・・ウルバノ・タヴァレス・ロドリゲス 旅人・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジョゼ・カルドーゾ・ピレス 英語の授業・・・・・・・・・・・マリア・オンディーナ・ブラガ 現代ポルトガル文学について・・・・・・・・・岡村多希子 あとがき
イベリア半島の農村と都市を舞台に、そこに生きるラテン的でしたたかな人々の生と死を、医者と作家の眼で描く現代ポルトガル文学を代表する作品集。ここに表現された世界は“生きることの悲劇”という文学の永遠のテーマである。
「ピカソ、ジョイスら芸術家の特徴が 同時代の詩人に凝縮されている」と R・ヤーコブソンによって激賞された ポルトガルの生んだ代表的詩人ペソアの65篇の詩を編む。 現代人の「無力」をその根源まで見抜き、詩に定着させた作品。