出版社 : 彩流社
「謎解き」と「解かれざる神秘」芥川龍之介がこだわった二重の意味のミステリ。犯罪、探偵、風刺、幻想、神秘、そして心の声が現代仮名遣いによって甦る!
多くの理想を抱えた作家であり知識人だった横光利一の今読んでも眩しいぐらいの傑作群!溢れんばかりの新しさ、純粋知性、真心、清廉、高潔が、現代仮名遣いによって甦る!横光利一の名前は新感覚派というレッテルと共に語られることが多く、日本の文壇、文学史では異端の刻印という側面もあった。モダニズム文学は当時の文壇文学の重鎮たちからは若者による奇を衒った一時的流行と見られがちだった一方、プロレタリア文学派からはブルジョワ的であると非難された。横光はそうした両面の無理解を真正面から受けて立ち、真に新しい文学の王道を拓くべく、実作と文学理論の双方で苦闘していたのである。
ここ数年、中国のネットを騒がせた事件をまとめて、実はすべて一人の人物につながっていたとする小説である。旅先でコールガールになった女性、手抜き工事で崩落した橋の責任者、元省長夫人、美人局をする自警団などなど…。住む場所も身分も貧富もまったく違う見ず知らずの四人の男女が描く悲喜劇。彼らが織り成す荒唐無稽な阿鼻叫喚は、やじ馬にとってはこの上ない楽しみとなる。原タイトル「吃瓜時代的児女們」は、ネット時代に他人の騒ぎを見物して楽しむ人々を意味する。現代中国髄一のユーモア作家・劉震雲が辛辣な筆致で現代中国の問題をえぐり出す!
「廃墟趣味」に溢れた佐藤春夫の柔軟自在でありながら強靱な物語!現代仮名遣いによって甦る稲垣足穂、山之口獏、太宰治、堀口大學との交流秘話小説。佐藤春夫を一言で表せば「ノンシャラン」。ふつう「無頓着」とか「暢気」とか「だらしない」とか、褒め言葉には向かない語だが、でも「そういう気楽さで暮らせたらいいな」とちょっと憧れてしまうところのある境地を指す。都市文化に蔓延していた大衆に迎合せず、時流に迎合してふらふらしてしまう世間一般に比べたら、まことに凛としていたし、「ここではない何処か」を常に求めていた「ノンシャラン佐藤春夫」の小説世界が新たに。
多彩な情景、多様な手法。深まる内省、増しゆく滋味…幻想と現実のあわいで揺れる多彩な作品群。10カ国にまたがる作家たちが紡ぐ、16のきらめき。
『フランケンシュタイン』出版の翌年、メアリー・シェリーが執筆したのは父と娘の近親相姦を描いた小説だった。娘に禁断の愛情を抱いた父、またそのような異常な愛を引き起こして父を追い詰めた罪悪感を抱く娘、その両者の激しい苦悶と悲劇が切々と綴られた本作は、その内容からゴドウィンが原稿を預かったまま返さず、1959年まで出版されなかった。『フランケンシュタイン』や『最後のひとり』に次いで読者を刺激し続けてきた、問題の多い作品の初邦訳。シェリーが友人の娘のために執筆し、その原稿が1997年に初めて見つかった児童文学的短編小説『モーリス』の本邦初訳も付す。
北原白秋、萩原朔太郎、中原中也、立原道造、高村光太郎…詩人たちの「詩想」あふれる小説の世界!これまであまり知られなかった瑞々しい詩人の小説の世界を読みやすい現代仮名遣いで!
18世紀イギリス小説、風俗描写あり、社会風刺あり、当時の様子がありありと。そして、なによりも、その狂言回しが、子犬のポンペイ。動物を主人公としたユーモア小説。となれば、思い出されるのが夏目漱石の『猫』。小説家で英文学翻訳家でもあった丸谷才一が、『猫』を生み出すきっかけになった作品に相違ないと推理!一読されれば、推理が確信になること、請け合いです。