出版社 : 彩流社
ポルトガルの詩人、ペソア最大の傑作『不安の書』の完訳。 装いも新たに、待望の復刊! 旧版の新思索社版(初版2007年、第3刷2012年)より断章6篇、 巻末に「断章集」を増補。 生前は文壇の一部を除いて、 無名の存在であったフェルナンド・ペソア(1888–1935)。 没後、大型の収納箱に残された膨大なテクストにより、 20世紀前半のヨーロッパを代表する詩人・作家となる。 本書『不安の書』は、ペソアが長年にわたり構想を練り、 書きためた多くの断章的なテクストからなる 虚構上の著者、帳簿係補佐ベルナルド・ソアレスの魂の書である。 紹介者フェルナンド・ペソアの序 第1部 ベルナルド・ソアレスの序論(断章) 第2部 告白 1 生前ペソアにより刊行されたか、あるいは そのために準備されたテクスト 2 予め準備されたのではないが 年代順に配置されたテクスト 3 日付のないテクスト 第3部 題名のある文学的なテクスト 1 生前に詩人の発表したもの 2 年代順のもの 3 日付のないもの 【増補】 結婚に失敗した女性への助言(1) 結婚に失敗した女性への助言(2) 結婚に失敗した女性たちへの助言(3) 効果的に夢見る方法(1) 効果的に夢見る方法(3) 形而上学に従って効果的に夢見る方法 フェルナンド・ペソアと『不安の書』(高橋都彦) 訳者あとがき 断章集
どんなに絶望していても 幸せはきっとやって来る。 心揺さぶる不朽の名作。 孤独に暮らす職工サイラス・マーナー。 過去の出来事から人、そして神を信じることができなくなり、 心をかたく閉ざしてしまった彼は、 コツコツと貯めたお金を数えるのだけが毎日の楽しみ。 そんな彼のもとにやって来た幼い女の子エピー。 彼女の存在がサイラスの心にぬくもりを取り戻し、 2人の幸せな日々はいつまでも続くと思われたが……。 劇的な展開、重層する伏線、緻密な心理描写がいかんなく 発揮された傑作を、エリオットらしさがいきる訳文で! 旧約聖書に想を得て、劇的な展開のうちに 生の歓喜と不条理をうたいあげた長詩「ジューバルの伝説」 を併録。初訳。
本邦初刊行! サキによる長篇小説! シニカルでブラックユーモアに溢れた世界観が特徴の 短篇作品の巧手サキ。 20世紀初頭のロンドン、豪奢な社交界を舞台に、 独特の筆致で描き出される親子の不器用な愛と絆。
アルベール・カミュ『追放と王国』所収の短編を鮮烈にビジュアル化!美しくも過酷な砂漠のなかの丘に立つ小学校。原初的光景のなかで、不信と信頼、憎悪と友愛、孤独と連帯、自由と責任、沈黙と言葉とがぶつかり合い、希望と絶望が交錯する。卓越した色彩感覚のフェランデズがあなたに届ける切ないばかりに黙したカミュの世界。
カミュの到達点が、今、ここに!永遠に輝く少年の日々の回想、そしてほろ苦い悔恨。記憶にない父、聴覚障害のある母、専制君主としての祖母…教師の助力により進学し、やがて有名作家となった主人公はみずからが、何ももたない種族に属することを発見する。フェランデズのみごとな構成力によって、難解な遺作小説が初めて、生き生きとした「完結版」に!
ポルトガルの詩人ペソア 幻の小説がついに刊行! ポルトガルだけでなく、今や世界的詩人として高い評価を 受けているペソアの、数少ない貴重な短編を編んだ 本邦初訳の作品集!-タブッキ、ヴェンダース…ら絶賛の詩人! 〈収録作品〉 トランクを開けて(訳者まえがき) 独創的な晩餐 忘却の街道 たいしたポルトガル人 夫たち 手紙 狩 アナーキストの銀行家
梅酒に秘められた謎…… 日本のとある女子大学で教鞭をとるバーバラは、 小さな箪笥を同僚の遺品として譲り受ける。 その中に入っていた自家製の梅酒の瓶と木彫り のキツネ。 その来歴を探るバーバラはやがて、 哀しい物語を知ることとなる……。 実際に日本で教鞭をとったことのある著者が、 深い日本理解に基づいて描くミステリー。 日本とアメリカ、戦争に翻弄された人々が抱える 癒えない傷が浮き彫りになる。
2019年、岡本太郎の母でもある岡本かの子、 生誕130年、没後80年! 華麗な豪奢さと 豊饒で積極的な愛を湛えた名作の数々! 妖艶耽美な作風で知られる岡本かの子は、 戦争の影が忍び寄る昭和十年前後の文壇にあって 異端の存在だった。 そもそも女性作家の少なく、女性が男に伍して知的職業を 成すことに偏見を持つ人も少なくない時代だった。 ややもすれば女性作家には好奇の目が注がれ、 兎角スキャンダルの種にされた。 そんな風潮のなか、 岡本かの子は堂々たるナルシストぶりを発揮し、 嫣然たる女王の如く振る舞い、 噂好きも辟易しかねないほど自儘に振る舞った。 とはいえその自儘さは、多くの苦痛と背中あわせだったし、 自儘も苦悩も共に飲み込んで作品に昇華する強さを、 彼女は持っていたのである。 現代仮名遣いによって甦る、岡本かの子 珠玉の作品集! 【収録作品】 豆腐買い 象牙の床 病房にたわむ死 愛よ愛 小町の芍薬 兄弟 花は勁し 高原の太陽 過去世 呼ばれし乙女 娘 家霊 蝙蝠 真夏の幻覚 越年 窓 美少年 星 解説 豪奢なる気骨、溌溂たる耽美 長山靖生
「この世で最も恐ろしいのは、ひと? それとも……? さまざまな恐怖の形をご覧ください。」 「教えて、この世で最も怖いもの。 あなたのすぐそばにいるのはなあに?」 (立原透耶) 第5巻目は、「ホラー作家、立原透耶」の魅力を あますところなく伝える傑作揃い! 日常に入り込んだ恐怖を描いた表題作『ささやき』、 妖魔と人間の関係に迫った『聞け、魂の祈りを』などを収録。 第5巻の解説は長澤唯史氏(椙山女学園大学教授)が登場! 著作集全5巻、いよいよ完結! 既刊、 2巻「CITY VICE」 1巻「凪の大祭」 3巻「冥界武侠譚 其の一」 4巻「冥界武侠譚 其の二」も現在、販売継続中! シリーズ監修は、小谷真理(SF&ファンタジー評論家)、 アートディレクションは、YOUCHAN が担当!
「謎解き」と「解かれざる神秘」芥川龍之介がこだわった二重の意味のミステリ。犯罪、探偵、風刺、幻想、神秘、そして心の声が現代仮名遣いによって甦る!
新しさ、純粋知性、真心、清廉、気高……。 多くの理想を抱えて、 ひと一倍勤勉な作家であり知識人であった 横光利一の今読んでも眩しいぐらいの傑作が、 現代仮名遣いによって甦る! 横光の名前は新感覚派というレッテルと共に 語られることが多い。 新感覚派はモダニズム時代に勃興した、 近代日本では珍しく世界的な同時代性を有する 清冽な文学運動だったが、 それだけに日本の文壇、文学史では異端の刻印という 側面もあった。 モダニズム文学は当時の文壇文学の重鎮たちからは 若者による奇を衒った一時的流行と見られがちだった一方、 プロレタリア文学派からはブルジョワ的であると非難された。 横光利一はそうした両面の無理解を 真正面から受けて立ち、真に新しい文学の王道を拓くべく、 実作と文学理論の双方で苦闘していたのである。 収録作品 月夜 草の中 幸福の散布 頭ならびに腹 セレナード 表現派の役者 街の底 園 鼻を賭けた夫婦 美しい家 火の点いた煙草 盲腸 七階の運動 機械 薔薇 榛名 解説 モダニストの軽やかな孤独 長山靖生
終わりなき ネット時代の から騒ぎ 2017年11月に刊行(初版90万部!)されるや 中国で大きな反響を呼んだ最新作、早々に日本語訳が登場! ここ数年、中国のネットを騒がせた事件をまとめて、 実はすべて一人の人物につながっていたとする小説である。 旅先でコールガールになった女性、 手抜き工事で崩落した橋の責任者、元省庁夫人、 美人局をする自警団などなど…。 住む場所も身分も貧富もまったく違う見ず知らずの 四人の男女が描く悲喜劇。 彼らが織り成す荒唐無稽な阿鼻叫喚は、 やじ馬にとってはこの上ない楽しみとなる。 原タイトル「吃瓜時代的児女們」は、 ネット時代に他人の騒ぎを見物して楽しむ人々を意味する。 現代中国髄一のユーモア作家・劉震雲が 辛辣な筆致で現代中国の問題をえぐり出す! 原書については邦訳前からも大注目で、 『週刊 エコノミスト』(2018年5月22日号)の 「海外出版事情」コーナーにて、 元獨協大学教授・辻康吾氏による書評が出ています。
「廃墟趣味」に溢れた 佐藤春夫の柔軟自在でありながら強靭な物語が 現代仮名遣いによって甦る! 佐藤春夫を一言で表せば、「ノンシャラン」。 nonchalant は、 ふつう「無頓着」とか「暢気」とか「だらしない」とか、 およそ褒め言葉には向かない語だが、 でも「そういう気楽さで暮らせたらいいな」とちょっと憧れて しまうところのある境地を指す。 でもノンシャランでいるには覚悟もいれば知恵もいる。 都市文化に蔓延していた大衆に迎合せず、 時流に迎合してふらふらしてしまう世間一般に比べたら、 まことに凛としていたし、「ここではない何処か」を 常に求めていた「ノンシャラン佐藤春夫」の小説世界が新たに。 収録作品 円光 或る女の幻想 形影問答 薔薇を恋する話 海辺の望楼にて 奇妙な小話 おもちゃの蝙蝠 あじさい 死を見た話 車窓残月の記 のんしゃらん記録 大都会の一隅 コメットX 放浪三昧 礼装 飯田橋の神様 或る文学青年像 永く相おもうーー或は「ゆめみるひと」-- 解説 夢想と覚悟のノンシャラン 長山靖生
前作『偽装恋愛』(彩流社、2017年)につづき、 「女性遍歴」をあますところなく描いた 編集者(偏執者)による「小説(ロマン)」…… 《わたしは茶碗のウイスキーをひとくち飲んだ。 熱い感覚が喉を通りすぎて行ったとき、 ふと、雪子の裸を覗いてやろうと思いついて、 シャワー室に行くドアを音を立てぬよう気を配りながら そっと開けてなかに侵入した……》 跋文・谷川渥[美学]、装画・高須賀優
マジックリアリズムだけじゃない ラテンアメリカ文学の内省と豊穣。 日本初紹介作家を含む、短編アンソロジー。 収録予定作品 ノクターン リカルド・グィラルデス/足立成子訳 悪魔の姑 カルメン・リラ/豊泉博幸訳 魂 フリオ・ガルメンディア/水町尚子訳 私に似た女 フェリスベルト・エルナンデス/平井恒子訳 タマリアの幻影 リノ・ノバス・カルボ/足立成子訳 すばらしいミリグラム ホアン・ホセ・アレオラ/鈴木宏吉訳 獣人 ロベルト・アルルト/早川明子訳 アナクレト・モロネス フアン・ルルフォ/辻みさと訳 運命は忘れられた神 ギリェルモ・メネセス/鈴木宏吉訳 精神病院の日曜日 ホルヘ・エドワーズ/栗原昌子訳 屋根部屋 マリオ・ベネディッティ/有働恵子訳 夜の随想 アウグスト・ロア・バストス/有働恵子訳 俺たちが人間に戻った夜 ホセ・ルイス・ゴンサレス/栗原昌子訳 リナーレス夫妻に会う前に アルフレド・ブライス・エチェニケ/相良勝訳 アナポイェシス サルバドル・エリソンド/川村菜生訳
太宰が最も尊敬し、芥川、川端が恐れた作家 豊島与志雄の全貌が明らかになる代表作が 現代仮名遣いによって甦る! 芥川龍之介に 「山間の湖の如く静かなのは、豊島与志雄氏の作品である」 と言われた豊島は、「忘れられた作家」と呼ぶには あまりにも大きな存在である。 太宰治、坂口安吾、田中英光らは豊島を深く尊敬した。 太宰は「先生も、私と同様に、だらしがない。 そうして、日本で、いちばんの教養人だ」と評し、 川端康成は、「終始孤高の高士であるが、 そのひとりの世界では魔につかれて、 なにをしているかわからぬ怪物である」と言った。 本書では、初期の作品から戦後のものまで収録しているが、 どの時期の作品も、深いメランコリーの影が射している。 そして終始一貫して理知的であった。 怜悧さ故の虚無感に包まれながら完璧への希望をも 持ち続けた隠れた名作をお届けします。 収録作品 蠱惑 悪夢 都会の幽気 丘の上 常識 食慾 逢魔の時 球体派 怪奇な話 碑文 白塔の歌 秦の憂鬱 沼のほとり 聖女人像 絶縁体 解説 知性が持つ感性と、感性が持つ知性と 長山靖生
「傲岸不遜美麗天才仙人、 忠実純朴健気従僕(犬)、お気楽能天気武将、 冥界珍道中待ったなし!」 「この美貌に不可能はありません」性格に難あり、 女好きの女装男子、冥界で大暴れ! (立原透耶) 第4巻目は、立原透耶の中華圏SF趣味全開の 「冥界武侠譚」シリーズの後篇です! 全8話のうち、第4巻目には 「従者消失」「美姫幻戯」「皇帝不死」「永遠楽土」の 4話を一挙収録! 第4巻の解説は、小野俊太郎氏(文芸評論家)が登場! 著作集は全5巻予定! 既に2巻「CITY VICE」1巻「凪の大祭」 3巻「冥界武侠譚 其の一」が刊行されています! シリーズ監修は、小谷真理(SF&ファンタジー評論家)、 アートディレクションは、YOUCHAN が担当!