出版社 : 彩流社
ジャン・コクトーも、アンドレ・ジッドも、ココ・シャネルも、敬愛するから利用したー。パリで青春を謳歌した作家による実名小説ならではの、20世紀の花形たちをこれでもかと散りばめた、豪華絢爛の人物絵巻!瀟洒と放蕩の間隙に産み落とされた作家の自省的私小説、本邦初訳。
事実と虚構を交えて語られる『木を植えた男』の作者ジオノの驚くべき少年時代。妄想的な少年ジャン、女性に対する過敏とまで表現できるような感受性、父親への揺るぎない信頼、音楽への本能的な共鳴、樹木や動物への限りない親愛の情。ジオノ文学を豊かに深遠にまた普遍的なものにしていく創造活動の揺籃期が雄弁に喚起されている。
裸で突然死した父に着物を着せようと奮闘する少年ー「死装束」。既視感を追求して進んだその先に待っていたのはー「狂人」。大自然の中、父と子の情愛を描くー「クルミの木」。祖父と孫の人生、交錯しながらも、並行するー「レール」。20世紀スペイン文学の巨匠、ミゲル・デリーベスによる傑作集。デリーベス作品を特徴づける、自然、身近な人々、子ども、死のテーマが過不足なく融合した中・短篇4作品を所収。
コンスタンチノープル防衛のため異教徒トルコ軍との戦いー天下無敵の父アマディス・デ・ガウラの子「コンスタンチノープル皇帝エスプランディアン」の波瀾万丈の世界を描く。スペイン最古の騎士道物語の最終編。本邦初訳!
地球規模の環境問題が深刻化する現在、進展めざましい「エコクリティシズム」に、環大西洋的(トランスアトランティック)交流の視点を導入。エコロジー思想の源泉のひとつ、イギリス・ロマン主義とアメリカのロマン主義(アメリカン・ルネサンス)の環境文学・環境思想の相互作用、浸透を分析。20世紀以降の自然保護運動や環境意識に与えた影響、現代の環境批評に繋がる観点を捉える。
アマディスのオリアナ姫との別離。「緑の剣の騎士」としての苦難。怪物エンドリアゴとの死闘。オリアナ姫との再会ならびに「美貌の息子・エスプランディアン」の誕生など全ヨーロッパを舞台に展開。「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」の頭を狂わせたスペイン騎士道物語の傑作!
ほかの作家と並置し、ある観点から比較することで立ちあがるベロー文学の広がりと深さ…。アメリカ文学史に顔を出す名だたる作家たちの重要作品と一緒にベローの小説が縦横に論じられていく本書では、その思わぬ影響関係をもつ文学世界に引きずり込まれてゆく。現代的問題と文学の癒しが交差するベロー文学論集。
堀辰雄、芥川龍之介、室生犀星、太宰治、宮沢賢治、左川ちか、中原中也、夏目漱石…。飲み物が香る、甘く潤いの物語!文豪たちがこだわった、飲むという官能的な小説の世界を読みやすい現代仮名遣いで!
批評家ウォルター・アレンが「英語で書かれた作品の中では、他を寄せつけないほど完全な散文物語であり、小さな奇蹟的作品である」と絶賛した『サイラス・マーナー』(1869年)。新しい家族のかたちをも示す心温まるこの物語と対照的に、「創世記」に想を得た長詩「ジューバルの伝説」(1870年)では、生における明と暗、不条理が祝祭的に謳いあげられる。
アルベール・カミュ『追放と王国』所収の短編を鮮烈にビジュアル化!美しくも過酷な砂漠のなかの丘に立つ小学校。原初的光景のなかで、不信と信頼、憎悪と友愛、孤独と連帯、自由と責任、沈黙と言葉とがぶつかり合い、希望と絶望が交錯する。卓越した色彩感覚のフェランデズがあなたに届ける切ないばかりに黙したカミュの世界。
カミュの到達点が、今、ここに!永遠に輝く少年の日々の回想、そしてほろ苦い悔恨。記憶にない父、聴覚障害のある母、専制君主としての祖母…教師の助力により進学し、やがて有名作家となった主人公はみずからが、何ももたない種族に属することを発見する。フェランデズのみごとな構成力によって、難解な遺作小説が初めて、生き生きとした「完結版」に!