出版社 : 徳間書店
黄金で造られたという名車、イスパノ・スイザ。舞姫ら、’20年代の上海を遊び尽した“選ばれたる冒険者”たちの象徴。この秘宝を巡って、東京、バルセロナ、パリ、香港、上海と、激しく渦巻く陰謀の数々…。書下し長篇国際冒険小説。
警視庁捜査一課の大谷努警部は、非番の今日、シックな3つ揃いでピタリときめて、部下兼恋人の愛くるしい香月弓江刑事と楽しんでいるホテルのロビーへ現われたのが、彼の唯一苦手の母親である。「努ちゃん、今日はお見合よ」と有無をいわせずラウンジへ。相手は杉山涼子という18歳の可愛い娘だった。息子に好意を持つ女性はみなライバルと敵視するママは、庭園を散歩する2人の後を尾けてゆく。と、突然、2人の男が涼子を襲った…。弓江も駆けつけてトリオの大活躍が始まる。「命がけのライバル」他4篇を収録。
いつの日か、常温超伝導は可能になる。自動車の歴史にまったく新しい一ページが書き加えられる可能性が見えて来た。騒音と排気を出さず、地球の環境を破壊しない電気自動車の可能性が…。超伝導現象に注目したダイハツは、独自のプロジェクトチームを組織し、超伝導蓄電池を積んだ電気自動車の開発にあたっていた。折しも開催された全行程一万八千キロ、スペシャルステージ二千キロのパリ-北京ラリー。人類と地球を愛する人々の夢は、技術の壁を突き破れるのか…。長篇カーノベル。
正義感と人情に溢れる熱血どてらい刑事・犬伏大太。故あって警察を辞め、今は気楽なフリーターだ。特異な“小便健康法”で体調もすこぶる良い。ある日、彼の住んでいるマンションの隣人・高村雲之進の依頼で、家出娘を捜すことになった。雲之進は、よく当ると評判の占師。家出人や落し物の行方を占っている。彼の占いを証明するため、大太が実地調査にのりだしたのだ。相棒は雲之進の孫娘・亜美。おっさんくさい大太を、初めは毛嫌いする亜美だったが、コンビを組むうちに…心あたたまるペーソスの世界。
タロット占いの名手・二階堂日美子の友人・京子が、柳島ロミを連れて日美子を訪れた。ロミが信仰する〈日本精霊教〉教祖の戸田芳香が不吉な予言をしているというのだ。日美子の占いでも同じ結果が出てしまった。その数日後、ロミが失踪し、日美子は名古屋の精霊教本部に教祖を訪ねるが、何ら手がかりは得られなかった。が、ロミから京子に宛てて助けを求める手紙が…。タロット日美子シリーズ、書下し長篇。
〈私〉には、奇妙な依頼がお似合いのようだ。マイケル・キスカドンという若者が、父親の自殺の動機を調べてほしいという。35年前の自殺を。だが、父親の名前を聞いて、にわかに興味が湧いてきた。パルプ・マガジンの大御所的作家ハーモン・クレイン、その人だったのだ。しかし、調査の結果でてきたのは、自殺と縁遠い作家の実像と、身元不明の“骨”だけだった…。“名無しの探偵”シリーズ待望の最新作。
恐るべき女子高校生連続殺人事件が都内各所で頻発するある日、朝生萌が通う向陽学園高校でミス新入生コンテストが催されている最中、神秘的な美貌で人気のある仁科瞭子が血まみれの死体で発見された。と同時に萌は瞭子の身体にのり移る異常体験に見舞われた。そしてライバルの美少女・時葉ヒカルの屋敷に隠されていたマシーンで生じた時空間嵐の中で、瞭子殺害の現場を見た。真犯人は泉麻沙樹、生徒会長で全女生徒の憧れの君だった。泉邸に侵入した萌は、狂気の犬猫の群れと死闘をくりひろげたが…。好評のシリーズますます快調の第3弾。
一匹狼の空輸パイロット天藤謙は、アルバイトで学生を実習訓練中、奇怪な事件に遭遇した。目の前で単発機が太平洋上に墜落。それは登録ナンバーを消された上に、何と無人だった。折しも山口県では発掘中の縄文土器から二千年前の生きた籾が盗まれた。二つの怪事件は、やがて見えざる謀略の糸によって結びあわされ、天藤を国交のない半島のC国へ潜入させることになった…。国際政治の暗部を抉る航空活劇。
古都鎌倉の古戦場・稲村ヶ崎ー地元住民がカンスケ淵と呼ぶ海中から巨躯の外人男性の全裸死体が上がった。鎌倉署の刑事猿橋佳男は親友の剣崎新に事件の協力を依頼。剣崎は父の代からの骨董屋だが、難事件の解決を楽しむ変わった趣味人でもある。その彼の前に突然、外人の不審な男が訪れ、骨董品の屏風の強引な取り引きを迫った。古都を訪れる外人観光客の生態を題材に恐るべき謀略を描く長篇推理。
嘉永二年、公儀隠密・稲葉百介は漂流民を装って長崎に潜入。加賀の豪商・銭屋五兵衛の船が抜荷買いをしている確証を掴むためである。百介は思惑どおり、まず沖仲仕の元締・甚兵衛に雇われ、やがて首尾よく銭屋の持つ船の船子となって、本拠地の加賀国宮腰へ渡った。だが百介は、幕命を全うする目的を離れ、河北潟の干拓という難事業に取り組もうとする老商・銭屋五兵衛の姿に魅せられてしまった。歴史長篇。
戦国の世も末。鄭芝留、号は飛黄、明末の福建省に生れ、18歳で九州平戸に渡る。在日十年、宮本武蔵の門人・花房権右衛門について武術を極める。海運と密貿易で南海に君臨する大船主・顔思斉の下に馳せ参じた芝竜、やがて寵臣の劉香をしのぐほどに重用されたが、思斉が毒殺され、後継は海の掟に従い、劉香との剣米の神事争いとなった…。海の無頼・海寇たちの活躍を描く海洋活劇ロマン。
大船主となった鄭芝竜は五人の弟を集め、明政府の下で海防と貿易に従事した。ときに、台湾を支配するオランダを後楯に掠奪をくり返す謎の海賊船団が跳梁。芝竜の弟、芝虎が討滅に向かうが、敵船上に現われた海賊の首領こそ、かつて後継争いに敗れ逃走した劉香であった。一方、芝竜は日本人妻に一子をもうけた。幼名福松、後の劉成功である。雄大なスケールで描く海洋活劇ロマン完結篇。
愚庵和尚から柔の技を学んだ帝大生の矢野は、やがて師の元を離れ、学問と翻訳業のかたわら、独自の柔の道を歩み始めた。その頃、危難を救った縁で知り合った千賀子と将来を約束するが突然、二人の上に絶望的な影が射した。維新前夜、肥後藩士だった千賀子の父の横暴に怒り、刺殺したのが矢野の父だったのだ。自由民権の息吹きと東京下町を舞台に描く柔道小説完結篇。
勤皇・佐幕が死闘をくりひろげる幕末の京都。立ち往生していた荷車を押しやったばかりに、町人ふたりが斬殺された。荷車には千両箱が…。下手人は二条城御金蔵番の手代木六太夫だという。ところが、その六太夫が、二条城の焼印の入った千両箱とともに、効外の古井戸から死体となって引きあげられた。なにやら、いわくつきの金らしいが。隠謀の臭いをかいだ鞍馬天狗と杉作少年が謎を追う。痛快時代長篇。
マンハッタンの犯罪最多発地域〈ミッドタウン・サウス〉で売春婦が連続して殺された。市警部本はポン引きの縄張争いと見るが、元麻薬捜査官ジョー・ダンテは異常者による犯行を主張する。おとり捜査で親友を失い、自らも重傷を負いながら執念の追跡を展開する彼の苦闘をよそに、欲望にかられた殺人者は深夜の街を徘回するー。新鋭クリストファー・ニューマンが放つ正統派ポリス・アクション第1弾。
海辺で2人の少女ブルームとバーティが出会ったのは、ふとした偶然だった。時は移り2人の友情を手紙がつないだ。その間、歌手に、弁護士にと、それぞれ夢を手に入れるが、愛に傷つく時もあった。が、友情が悲しみを打ち消してくれた。そして、ある日、不治の病いがバーティを襲うー。愛に、仕事に、家庭に揺れ動きながら、現実を生き抜く2人の姿に、全米女性に共感の嵐を巻きおこしたベストセラーの映画化。
商事会社勤務のOL、得田彰子は、結婚を前提に交際していた、車のセールスマン、常沢尚広に裏切られ、傷心旅行のドライブに出かけた。そこで親密になった内村が、つづいて高田が不審な死を遂げる。彼女は事件を報らせるTVをみて、2人の死があまりにも似ていることに愕然となった。事故死か、殺人か?一方、警察は検証の結果、両方の事件にマスコット人形が媒体になっていることをつきとめた。が、今度は常沢が自宅で死体となって発見され、彰子は参考人として呼ばれる。そこでうかびあがった意外な真犯人とは?
砂漠に浮かぶ街・レイテアにヤケィは引き寄せられた。彼は“知る者”全ての魔法が終末を迎える時、それらを知った上で新たなる魔法を生み出す男。彼はこの街で何を知るべきなのか…。街の酒場で、ヤケィら4人の旅人のパーティは、赤い瞳を持つ少女・ネイに出会った。「明日、街の神・ニーギラの祭壇に生贄として捧げられてしまう」と言う。4人は少女を守ろうとするが…。ニーギラとの凄絶なる戦い。街を覆うギジュガの大木、その内部、神室で光る輝きの塊とは?神殿でヤケィの見た光景とは?怒涛のファンタスティックアクション。