出版社 : 徳間書店
静岡県藤枝市で起った“食堂一家殺害事件”の犯人として逮捕された岡野保は、一貫して無実を主張したが、死刑が確定。拘置所で刑執行におびえる日々を送っていた。一方、東京では岡野の冤罪を晴らすべく特別弁護団が結成された。弁護団の一員月村耕介は再調査のため静岡に赴き、かつて岡野を取調べ、今は停年退職している志木元刑事を訪ねる。月村は新事実をつかんだが…!?会心の長篇法廷ミステリー。
福浦美絵は、4年前に事故死した元恋人の大谷雅也の墓参に、雪の降りしきる津軽へやってきた。パトロンの我妻英之輔との結婚を間近に控え、その報告をすることで雅也と訣別しようと思っていた。命日、美絵は墓前で雅也の友人だった安藤と会い、雅也は謀殺されたのではないかと聞かされる。疑惑は徐々に拡がり、複雑に絡み合った事件の糸口は、やがて美絵の過去へと遡ってゆくが…。長篇ミステリー。
宇宙暦788年、21歳のヤン・ウェンリーは少佐に昇進した。惑星エル・ファシルから民間人300万人を救出指揮した、あの奇跡の生還を果たし、しばし休息の時を送っていた矢先き、統合作戦本部参事官アレックス・キャゼルヌ中佐から呼び出された。第二次ティアマト会戦において、銀河帝国軍を完ぷなきまでにたたきつぶした伝説の英雄ブルース・アッシュビー提督の戦死に、謀殺の疑いある-という投書が舞い込み、その真相を究明せよとというのだ。再びヤンの活躍がはじまる。読者熱望の“外伝”4、満を持して登場。
歴史に残る戦いだけが、闘いではない。第二次大戦末期、南の島で繰り広げられたこの無名の死闘もまた、栄光と悲惨を充分に伝えるものだといえよう-。彼らは、それぞれたった一人の生き残りだった。山村一等兵は38式狙撃銃。ブラウン二等兵はM-1C狙撃銃。武器といえば、他に手榴弾が数発。弾数に限りがあり、援軍も期待できない。密林の暑熱の中、彼らは、ただ生き残れることだけのために、互いの命を標的にした。風を読み、スコールを味方にし、陽光を利用する。持てる知識の全てが武器となる…。究極のサバイバル巨篇。
21世紀後半、世界は相変らず血と硝煙に満ちていた。キューバ、ニカラグアはレッド・アメリカと呼ばれていたが、怖るべき殺戳事件が起った。反政府ゲリラ、政府軍、米空挺部隊、米陸軍特殊部隊と敵味方の区別なく惨殺された死体の山には腕や脚は勿論、首のないものもあった…。イランの首都テヘランで、一匹狼の殺し屋シド・アキヤマに接触した男がいた。日本の内閣官房情報室の黒崎と名乗る男は、シド・アキヤマに四人のテロリストの殺害を依頼した。彼らは特別な肉体を獲得したサイボーグだという。闘いは始まった。
ダーク・グリーンの海をもつ惑星ヌーパスで300人乗り旅客ヘリが墜落した。3カ月でもう3つ目の大事故。いずれも確とした原因がつかめない。しかし、今回死んだ人間の中に、スーパス情報局本部、通称〈バグ〉の職員・ベクターがいた。ベクターは政治犯調査のスペシャリスト。同じ職場にいる恋人・リンメイは、人工的工作の可能性を執念で迫っていたが…。3つの事故は本当に偶発的なものなのか?ネコとノイズが調査にのりだした途端、リンメイが死んだ!一体この惑星では何が起こっているのか。恐怖と謎を秘めたヌーバスにネコとノイズが挑む-。
御岳で消息を絶った友人を捜しに、わたしは木曾谷にやってきた。その夜、知り合った中国娘美蘭に同行を迫られ、一緒に登山することになる。ところが先々で殺人が起こり…。下山登中、御岳教の老行者が、神託として「あなたのさがしものは、つれの娘が知っている」と告げる。だが美蘭は姿を消した。美蘭の行方を追ううちに、御岳に隠された忌しい過去が明らかになる。綿密な取材で描く長篇推理。
天保八年(1837)浦賀沖に出現したモリソン号に続き、英仏蘭露の異国船がしきりに日本沿岸に出没するなか、嘉永六年(1853)突如浦賀に入航したアメリカ艦隊の威力は、幕府を震撼させた。折から、長州の桂小五郎、高杉晋作、薩摩の西郷吉之助、土佐の坂本龍馬ら憂国の至情に燃える若者たちは、新しい時代に向けての行動を準備しつつあった…。壮大なスケールで幕末の群像を描いた大河ロマン。
CM業界を舞台に自動車メーカーの宣伝室長と広告代理店の担当者、TV関係者と女性達をめぐる二件の殺人事件。現場はマンションの一室とエレベーター。しかも狭い箱のエレベーターの中で凶器として発見されたのは長い槍だった(第一話「殺人もあるでよ」)。ふだん、何気なく使用している空間ー別荘、書斎、寝室、トイレ、モーテル、廃屋ーを使い、巧みなトリックを駆使した推理短篇集。
政財界に人脈を持ち、回教徒の永遠四姉妹を妻にする経済研究所経営者・奈方巌雄は、訪れた網走で、うら若い未亡人・平丘文子と吹雪の夜を供にした。彼女の夫で大学講師をしていた秀雄は三年前、旅先のトルファン交河故城の断崖から転落したという。文子は寝物語に、“シルクロードの秘宝”にまつわる不思議な歌謡を口ずさみ、夫の死に不審があると打ち明けた…。長篇冒険伝奇SF好評シリーズ。
三鈴化学営業部の遠藤大介は、海外出張を命じられ、アマゾンの奥地イグアラに赴いた。ところが、入国した途端、反政府ゲリラに拉致される。身代金は八百万ドルやがて日本政府との交渉は成立するが、ゲリラは遠藤に銃口を向けた!その時、日本女性が率いるインディオの一団が救出に現れる。緑色に妖しく光る目を持つ彼らは一体何者なのか?そして隠された陰謀とは?南米の秘境を舞台に展開する長篇冒険SF。
英雄ツァラに〈絵を描く術〉を与えられた誇り高き黒鹿部族のトマだが、洞窟の底深く足を踏み入れてはならぬというツァラの掟に背き、“永遠の闇の洞”を越えた。気候の変化による獲物の激減と、妖術師ダク・ツムの出現で、狩猟によって生きる彼の部族が餓死か、南に移住して農耕するか二者択一の危機に瀕しているのだ。だが、掟を破って洞窟に入ったトマを、闇の底で何かが待ち受けていた。長篇神話SF。
春に子熊は母を失くした。巨大な雄熊はひとり大地と闘っていた。ふたつの生命が固い友情で結ばれた夏のある日、ロッキーに狩りの足音が響き始めたー。「薔薇の名前」の巨匠ジャック・アノーが、グリズリー同士の壮絶な死闘、猟師たちとの息づまる戦いなど野生動物の懸命に生きる姿を通して“生きるとは何か”を問いかけた大作。動物小説の大家カーウッドの名作が、壮大かつ美しい映像とともに現代によみがえる。
ぼくは、3年前に姉が自殺した女神湖に花を供え、愛車サベージで宿泊先の諏訪湖畔、静湖荘へ向かった。そこで出会ったツーリンググループの7人は、手帳を落とし走り去った少女を追って諏訪へ来たという。手帳は1年前の今日、女神湖付近でバイクで事故死した少女の兄のものらしい。3年前、1年前、そして…。その夜、グループの1人が静湖荘の一室で殺され、2日後には、女神湖でまた1人。手帳は盗まれ、足跡とバイクを残した少女は行方不明。さらに姉の形見までも現場に…。故意か偶然か!?著者渾身の傑作ミステリー。
昼のニュース番組で報道された、親孝行な新聞配達少年が誘拐された。その放映元の東邦テレビに、身代金三千万円を要求する脅迫状が舞い込んだ。脅迫状で犯人は、現金受渡しについての詳細な指令を記すと共に、何と、事件の一部始終をビデオに撮影、東邦テレビが独占放映してもよい、と提案していた。犯人は新手の愉快犯なのか?それとも…。予想される高視聴率と引き換えに、社長の牛原は取引に応じることを決意。かくして始まった空前のドキュメンタリー番組「誘拐」の撮影、だが事件は意外な方向へ…。書下し長篇ミステリー。