出版社 : 徳間書店
謎のゲリラ集団が都内各所で破壊活動を起し、都市機能は完全に麻痺。事態を憂えた首相は、内閣調査室に真相の究明を命じた。一方、インドへ渡った「聖拳」の伝承者・片瀬直人は、タゴール師から、アルハット族と並ぶ超人部族が古代日本へ渡っていた事実を告げられる。帰国した直人は、古代山岳拳法を操る都市ゲリラと内閣調査室との戦いに巻き込まれてゆくが…。必殺拳が炸裂する痛快伝奇アクション第2弾。
故なき醜聞で東京の大学を追われた新藤恭介は、妻娘とともに札幌郊外の私大に新たな職を求めた。だが80年前に米国人教頭ベーカーが建てた館に住む一家を、恐怖が襲った。怪しい人影が窓に映り、高窓が落ち、妻は地下室に閉じこめられた。一方、ベーカーの研究業績に光を当てようと資料の収集を始めた恭介に、大学から圧力がかかった。ベーカーの秘められた過去とは?ホラー・サスペンス長篇。
文化文政、奢侈をきわめた十一代将軍徳川家斉の治世。奸臣はびこり、賄賂がまかり通る乱れた世の中で、好色の家斉に養女を差し出し、権勢をほしいままにする播磨守・中野碩翁。威張りくさった大名どもにひと泡ふかせようと河内山宗俊は、黄金入りの菓子折を持って、権勢の本丸・碩翁に接近をはかったが…。ご存知、御数寄屋坊主・河内山宗峻がびくともしない肝っ玉で腐った世を撃つ痛快無比の時代長篇。
足利政権の末期、京に一人の若者が現われた。若者の名は、塚原新右衛門高幹。常陸の国鹿島に伝わる剣技をたずさえて、兵法修業の旅に出た、後の剣聖・塚原卜伝の若き日の姿であった。十有余年後、鹿島に戻った新右衛門は、一朝、鹿島神宮の神木の前で、ついに秘伝“一の太刀”を完成する。新当流の一流をたてた彼は、やがて新たな修業の旅へ出た。剣に命を賭けた男を描く傑作時代長篇。
時は18世紀。所は、トルコ軍の激しい攻撃を受け飢えと貧困に苦しむドイツの町。この町に「われこそは伝説の英雄バロン」と叫ぶ1人の老人が現れた。“ほら男爵”と笑われながらも旅芸人の少女サリーに励まされ町を救うため、不思議な力を持つ昔の仲間を探しにゆく。月の世界に飛び、地底王国をさまよい、巨魚の体内を探険する彼を待つものはー。鬼才テリー・ギリアムの手になる大アドベンチャー幻想映画の小説化。
「世の中には、わざわざ飢えた魔の顎の中へ首を突っ込みたがる輩が、本当にいるのでございますよ。我が殿アーモンさまも、そのおひとりでございましてな。かような所業をなさろうというのも、全ては退屈から始まったこと。人語を解する狼の話にいたく興味をもたれ、シヴァ神が舞い降りるという聖なるムリカンダ山へ出掛けたのでございます。旅に出る度、恐ろしいことばかり。そのうえ、この山には月の種族が棲むと、皆が怯えるのでございます…」古代インドを舞台に、鬼才が紡ぎだす、美しくも怪奇な物語の数々。
諏訪駅で転勤する同僚を見送っていた、長野県警の道原伝吉のもとに衝撃的な知らせが届いた。八ヶ岳で写真を撮っていた登山者が、「岩場から人が投げ込まれるのを目撃した」といって、小屋へ駆け込んできたというのだ。投げ込まれたのは、西岡方沙子という若い女性の絞殺死体。捜査を開始した道原が探していた万沙子の親友はなんと万沙子と同時期に木曽で殺されていたのだ。「だれが、なぜ」2つの事件に関連性を見つけた道原が探しあてた男は鉄壁のアリバイを持っていた。道原伝吉の名推理はこの事件をどう解決するか。
大阪・御堂筋から赤坂の一等地に進出をはたした、我がごきぶり商事。元・西成署の刑事、毛ダニこと池谷老人をひきいれて、場外馬券売場で外れ馬券を拾い、1日百万円を目標とするのが、目下の仕事だ。ぼくとの間に一児をもうけた登志子はんが発見した磁気鉄粉応用の、馬券ナンバー改造法で当り馬券に直して現金化するのだ。仕事は順調だがある日、ぼくの浮気心に対する登志子はんの監視の目を盗んで、新幹線で知り合った女優の真下洋子と密会。ごきぶり商事の東京進出の話を映画化したいと申し込まれたのだ。
二派の武力抗争が続く南米の貧しい小国。老大統領を補佐するロドリゲス少佐は、国庫の外貨を奪い、大量の武器密輸入で一挙に反対派を壊滅するべく、大博打に出た。忠実につき従う混血のジョン。二人の武器密輸の道案内に立つ乞食の少女カルメン。三人はともに日系移民の末裔であり、日本に見棄てられた民衆でもあった。彼らが忠誠を誓い手に入れようとする“祖国”とは?移民史を問う衝撃の長篇作。
頃は天保。甲府に入った男たちがいる。戸田流宗家の老武者・藤木道満。武者修業中の島田虎之助。白面の貴公子・本多左近。なぜか道満は仙台黄門と呼ばれ、助さん、格さんという2人の壮漢を従えている。黄門一行が絹商人和泉屋に逗留中、当の和泉屋が斬り殺された。城下には白覆面の剣士の仕業という噂が流れ、道満一行の姿が消えた。この騒乱に島田虎之助も巻き込まれて…。長篇剣豪小説。
江戸を目指す島田虎之助の心中には和泉屋の無残な姿があった。犯人と噂された白覆面の剣士は本多左近か?仙台黄門か?そもそも黄門を名乗って諸国を廻遊する老武芸者・藤木道満の目的は何か。謎は深まり、道満の野望を秘めた密書をめぐって人斬り勘斎が疾駆し、芸妓竹千代が舞う。東海道を往く道満の前に立ちはだかる風流使者とは…。時代の夜明けを前に散っていった剣士たちを描く長篇剣豪小説完結篇。
甲賀の忍者・猿飛佐助は、主人・真田幸村を敬愛していた。その幸村は、豊臣秀頼の要請に応じ関東方との合戦に備える大阪城に入った。しかし盟主秀頼はいまだ若年、大阪方の人心も腐敗しきっていた。城内は関東方の放った間者が跳梁し、幸村が狙撃され、秀頼も毒殺されんとした。佐助の働きで辛じてこれを防ぎ、野戦を主張する幸村が城外に出丸を急造し終えるころ、冬の陣が始まった。長篇歴史ロマン。
10歳で丁稚奉公に出た小右衛門、学問好きが災いして店を追い出され、途方に暮れているところを大坂・船場の両替商・升屋の二代目に拾われた。そして十余年の後。失意の底で逝った二代目に、升屋の後事を託された小右衛門は、お店の苦境脱出に米どころ奥州・仙台に着眼、だが伊達藩は上方商人の嫌われ者で、小右衛門の苦闘が始まった…。大坂屈指の豪商にのし上った男の生涯を活写する傑作時代長篇。
血のしたたる殺人料理を16種類とり揃えました。生のまま、生焼けのレア、それともよく火の通ったウェルダンがお好みですか。味つけも父殺し、母殺し、夫殺し、兄弟殺し、幼児殺しと多種多彩、殺しの万華鏡の観があります。ホラーの名シェフ、ロバート・ブロックが腕をふるった恐怖のメニューをじっくり愉しんでください。
宝石密輸の激増に頭を痛めていた公安調査部は、スイスで宝石商が殺害され、強奪された宝石が闇のルートで日本国内に持ち込まれたという情報を得た。犯人のポルトガル人の情婦が、日本人だったのだ。宝石の闇ブローカーに身をやつした加下千里が、軒並み宝石店に当たり続けて半月、とあるバーで、中国服の美女に声をかけられた…(「青衣の魔女」)。他、好評シリーズ2篇を収録。
妙高高原火打の里。雑賀与四郎は雑賀財閥を一代で築いた立志伝中の人物だが、いまは財閥から放逐され、心臓病で療養中の一人息子・呑龍とひっそり隠棲生活を送っていた。嵐の夜。妖しい光を発する物体が火打山の麓に落ちるのを目撃した呑龍は風雨を衝いて現場に向ったが、そこで意識を失った。長い眠りから醒めて邸に戻った呑龍だが、目の前には心臓を掴み出されて死んでいる父の姿が。超時空サスペンス。
上高地観光のバスが、渓谷で次々に銃撃され、3台が断崖を落下、死者105、負傷者54名の大惨事となった。だが狙撃犯・沼田光義はアルコール酩酊で心身耗弱状態、長野地裁は無罪を言い渡した。自らが溺れたアルコール中毒に、無罪を許す法とは何か!?心身耗弱は偽装か?母と妻娘を殺された真琴悠平は、人類の名において沼田を裁くことを決意、沼田の過去を追い始めた…。長篇問題作。