出版社 : 徳間書店
作家の森川は17年前、たまたま見学した録音スタジオから歌手が失踪するという事件にでくわした。一方、退職刑事の持田には、やはり17年前、迷宮入りした老女殺害事件へのこだわりがあった。ある日、二人が住む町で放火があり、焼けた工場跡地から白骨死体が発見された。工場は17年前に建てられたという。年月の暗号に二人の追跡行が始まったが…。芸能界の裏面を描く長篇ミステリー。
宇宙暦795年、帝国暦486年。ゴールデンバウム朝銀河帝国は、自由惑星同盟軍の攻勢に報復を開始。皇帝フリードリヒ4世の戴冠30周年を勝利で飾るのだ。この戦略的意義のない会戦の陰で、帝国軍中将ラインハルトは、皇帝打倒の野望を抱いていた。王朝を倒し、自分こそが全宇宙の覇者となるのだ。19歳の若者が帝国最大の反逆者となるだろうことを知る者は、副官キルヒアイスのみだった。長篇スペース・オペラ。
1896年、英国東アフリカ植民地政府は、モンバサ・ナイロビ間の、ウガンダ鉄道第一期工事に着手した。それは暗黒大陸アフリカに文明をもたらすものだった。厳しい工事の続く中、一人の女が、傷つき飢えたライオンに襲われた。容易に手に入る獲物を覚えたライオンは仲間を連れ、大勢の労働者を抱える鉄道工事現場を次々と狙い始めた。建設事務所長ハルスレンは、自らライオン退治に出かけるがー。感動巨篇。
大雨季を前に、サボ川の鉄橋架設を終了したものの、依然として鉄道工事は困難を極めていた。そんな折、不満の慕る労働者たちがついに暴動を起こした。一方、人喰ライオンは日毎狡猾さを増し、やすやすと人々を襲った。その牙に倒れた前所長ハルスレンの遺志を継いで所長となった若手技師パターソンは、力強い支えとなってくれるマサイ人・ブータと共に、人喰ライオン撲滅に力を注いだ。戸川文学の傑作巨篇。
大阪は通天閣下の路地裏通り。バーバー中田の友夫、ガードマンの順吉、喫茶ミツコのママ光子の3人は妙に気が合い、日に一度は顔を合わせないと気がすまぬという間柄。涙もろくておっちょこちょいのこの3人組が、町内にまきおこるさまざまな事件に鳩首協議、他人の不幸は放ってはおけぬと力を出しあい、解決にあたる。ちょっぴり楽しく、ちょっぴり哀しい下町人情ドラマ。名手・難波利三の独壇場。
札幌女子大学国際学部三年の高梨夏美は、家庭の事情で1年間休学し東京に帰る決心をして、学内の旅行研究会主催のイベント列車〈レジャーエクスプレス〉を利用した“弘前りんごがりツアー”に参加することにした。留学生二人を含む女子大生87人名の夢を乗せて列車は札幌から函館へ、そして廃止が決まっている青函連絡船で青森を経て目的地の弘前へと向かった。ところが、JR東部日本に、この列車ごと女子大生たちを誘拐したとの脅迫状が届いて大騒ぎになった。犯人たちの目的は?前代未聞の事件はこうして始まった!
暑い夏だった。暑さで、みんながマッドになっていたのかもしれない。夏休みの間、安房小湊の成金、三島家の用心棒に雇われた我ら早大生四人。用心棒といっても素人の寄せ集めだ。主人の金政こと政吉は、仇名のとおりのゴールド偏執狂で、邸を夥しい金で飾りたてている。金政の愛娘で可憐な女優の、ゆかりさんが帰省していることも、この仕事をひきうけた理由のひとつだった。が、その金御殿でとんでもない殺人事件にまきこまれようとは…。我々は、偶然合宿に来ていた慶大美術研究会の面々と推理を競うことになった。
騒乱の江戸末期。江戸深川の料理茶屋で板前修業中の長次と芸者小えんは富岡八幡の夏祭りを楽しみにしていた。が、身投げを図ったおしんを助けたことから、反幕運動に巻き込まれる。一方、長次の親方嘉助は、かねて縁のある四条季房卿から料理の四条流免許を長次のために取得することに奔走していた。嘉助の助力のかいあって見事免許状はおりた。しかし、この四条卿も秘かに倒幕を画策する一人だったー。
両国橋を東から西へ渡る若侍があった。長州海部郡佐伯毛利安房守家中、根来兵三郎である。代々江戸屋敷御留居役を勤める小藩の出ながら、江戸流の剣を習って諸先輩に伍したいと熱い志を抱いている。兵三郎が門を叩いたのは、伊庭軍兵衛心形刀流道場だった。軍兵衛はやがて幕府の警護として特別隊を編成し、兵三郎もその一員に加わるが、時代は大きなうねりをみせて彼らを呑み込んでいく。傑作長篇時代小説。
角刈りにした油気のない髪は真っ白になりかかって、真っ黒に日焼けした顔にも無数の皺が走っている。殺しを三つ。その他にも傷害と恐喝の前科が四つ。池田組のクニさんといえば、誰もがよけて通る。ある事情からヤクザの足を洗おうとした彼に、最後の仕事が持ち込まれた(「最後の賭け」)。バイオレンス、復讐、裏切り、殺人、女、麻薬、強奪…。ハードボイルドの旗手が描く巷の野獣たち。
北海ビールの林田啓一は、新製品ビアビーフの開発に情熱を燃やす若手社員だ。ビール粕で育てた肉牛をどうやって売り出すか、東奔西走の毎日。そんな彼も女性となると積極的にアタック。社内のOL、人妻と若いエネルギーを発散させてゆく。だが、ガールハントを重ね、性を通じて歓びを共有するうちに、彼は女性を大切にすることは自分を大切にすることだと悟る。女性は白い肌の神々なのだ。力作官能長篇。
村で6年に一度の大祭の夜ー。神へのいけにえとして選ばれた娘たち。軍神ラーラの申し子で勇敢なサーラと英知の神デュロプスの申し子で賢いトゥード。神はいけにえを生きたまま喰うという。しかし神を殺すか、うまく逃げることができれば…。二人の美少女、サーラとトゥードは、神と闘うべく、神の館〈迷宮〉へ…。
高畠二万石織田家のお家騒動を背景に、京都で藍坂党と死闘を繰りひろげた戸並長八郎。女神のようにあがめるおちい様の仏門入りを知らされて江戸に舞い戻るが、かつての生彩はない。そんな長八郎を藍坂党の残党がつけ狙う。「おいち様落飾おやめ」。京の叔父からの便りで明るさを取り戻した長八郎、早速、東海道を一路京へ。それを追う藍坂党の残党。桑名宿で、ついに果し合いの火花が。痛快時代長篇。
5代将軍綱吉の御世、柳沢吉保らの側用人政治を厭い、佐々木助三郎、渥美格之進を従えて諸国漫遊中の黄門光圀は、信濃路の宿で名刀来国次を奪われてしまった。だが、犯人の浪人一味を追って光圀が密かに入府した江戸市中には、光圀を忌む柳沢派が流した“黄門悩乱”の噂が蔓延、さらに柳沢の周辺には秘密の徒党が暗躍し、探す浪人らも加盟しているという…。弱きを助け悪を懲らす、名作時代長篇。
なぜか昔から七不思議の多い東京・瑞星学園。そこの2年生、早乙女美津子はある日突然、園内で行方不明になる。仲間のはるる、裕子、幸恵は園内を捜しまくるが影も形もない。おまけに彼女の机やロッカーまでも消え失せて…。一体この学園どうなってんの?頭にきた三人組は何としても美津子を救おうと作戦をたてるが…。
池本郁子が殺されたぁ?それも私の考えた通りの方法で…。まり子は仰天した。郁子はまり子のライバル。大学そっちのけでいつかはシナリオ界の大物を夢見る彼女にとって、その階段をとんとん昇る郁子はまに憎っくき敵なのだったが。事の異常さも気にせず、典型的B型気質のまり子はさっそく事件に首を突っこみ始めるー。