出版社 : 文藝春秋
天才科学者山之内明が発明した奇跡の石油生成菌ペトロバグ。世界の石油市場を根本から覆す大発明に脅威を感じた国際石油資本とOPECは双方とも山之内拉致、殺害とペトロバグ略奪の指令を発した。だが、ペトロバグは恐怖の殺人生物兵器であることが判明、山之内は暗殺者に追われながら重大な決意を固める。
次々に書かれる短篇小説と、それに対する歯に衣着せぬ感想コメント。やがて感想は厳しい質問状となり、しだいに青春をともにした二人の中年女性の愛憎交錯する苛烈な闘いが見えてくるー。家族でも恋人でもなく、友達に寄せる濃密な気持ちの切なさ、そしておかしさを、奇抜な手法で描いた現代文学の傑作。
ウォッチメイカーと名乗る殺人者あらわる。その報がリンカーン・ライムのもとに届いた。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を十個、買っていることが判明したー被害者候補はあと八人いる!だが、いつ、誰が、どこで?尋問の天才キャサリン・ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。一方、刑事アメリア・サックスは別の事件を抱えていた。会計士が自殺を擬装して殺されたー事件にはニューヨーク市警の腐敗警官が噛んでいるようだった。捜査を続けるアメリアの身に危険が迫る。二つの事件はどう交差するのか?史上最強の敵、登場!時計じかけのごとく緻密な犯罪計画をひっさげてライムとアメリアを翻弄するウォッチメイカー。熾烈な頭脳戦に勝利するのはライムか殺人者か?ドンデン返しに次ぐドンデン返し。あまりに緻密な犯罪計画で読者を驚愕の淵に叩き込む現代最高のミステリー・シリーズ最新作。
優雅だが、どこかうらぶれた男、一見、おとなしそうな若い女、アパートの押入れから漂う、罪の異臭。家族の愛とはなにか、超えてはならない、人と獣の境はどこにあるのか?この世の裂け目に堕ちた父娘の過去に遡るー。黒い冬の海と親子の禁忌を圧倒的な筆力で描ききった著者の真骨頂。
商家から武家へ嫁いで楽をするはずだったのに、甲斐性なしの亭主殿のせいで、自ら的屋となって一家を支えた女。大名の姫君から一転、芸者として身をたてた女。髪結いの見習いから、お雇い外国人のもとに嫁入りした女…。激動の維新を乗り越え、幕末から明治を生きた女たちの奮闘を、情緒あふれる語り口で描いた全四篇。
鷹匠になることを夢見て“最後の鷹匠”に弟子入りした杉浦岳央。だが高齢の師匠に不満と不安を覚え、早々に袂を分かつ。雪深い月山の麓でひとり、手探りで訓練を重ねるが、猛禽類のなかでもとりわけ神経質といわれる角鷹を、岳央は操れるようになるのかー。野生の鷹と人間の対峙を描く。直木賞受賞作『邂逅の森』に連なる感動作。
一九四五年八月十五日ー東京、品川の軍需工場で女性の腐乱死体が発見された。そして一年後に発見される第二、第三の死体…敗戦を機に解き放たれた殺人鬼。そいつは何者なのか?それを追う警察もまた、その内部に大いなる秘密を隠しー実在の連続殺人鬼・小平義雄の事件をモチーフに現代イギリス文学の旗手デイヴィッド・ピースが描く日本の「占領」とその闇。戦慄の超大作“東京三部作”開幕。
戦後まもなくの上野ドヤ街を舞台に、坊や哲、ドサ健、上州虎、出目徳ら博打打ちが、人生を博打に賭けてイカサマの限りを尽くして闘う「阿佐田哲也麻雀小説」の最高傑作。解説・先崎学
ヒロポン中毒となり、やさぐれ生活を送っていた坊や哲は、代打ち麻雀でいかさまを見破られた。その後、生臭坊主クソ丸、ドテ子とともに東京から大阪へ移ったが、そこで出会ったのがブウ麻雀だった。京都の博打寺を舞台に関西のブウの鬼たち相手に激闘を繰り広げる阿佐田哲也の傑作ピカレスクロマン第二弾。
画家・青木優二は謎のドイツ人女性・エルザから、第二次大戦中、ナチスの強制収容所でユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生まれた子供が自分だと知らされる。平穏な生活から一転、謀略渦巻くヨーロッパへ旅立つ青木。1988年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いた幻の傑作ミステリーがいま甦る。
結婚する、しない。 子どもがいる。いない。 それだけで女どうし、 なぜ分かりあえなくなるんだろう。 異例のロングセラーを記録中の、角田光代の直木賞受賞作。 35歳の専業主婦・小夜子は、同い年のベンチャー企業の女社長・葵にスカウトされ、 ハウスクリーニングの仕事を始めるが……。 多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く感動の傑作長編にして、第132回直木賞受賞作。 夏川結衣、財前直見、堺雅人、根岸季衣、木村多江、香川照之、国分佐智子、多部未華子ら豪華スタッフが共演したWOWOWのドラマは、『愛を乞うひと』の平山秀幸が監督、平成18年度芸術祭テレビ部門優秀賞を受賞した。
今日も私は、庭の木に括りつけたかごの牛脂をつつきに来る四十雀を部屋の中から眺めているーバラの花は例年のように蕾をつけ、鈴虫は「お帰りなさい」と夫婦を迎え、子や孫たちの便りがほほ笑みを運び込む。季節のめぐりのなかで変わらずに続く、老夫婦ふたりの静かで喜びに満ちた日々を描いた傑作長篇小説。
女の顔は男しだいで変わるという。これまで誰にも頼らず一人で生きてきたが、深く男を愛するようになったまさき。祖父の莫大な遺産を相続することになり、態度を豹変させる親戚や、恋人・慎一郎の母が隠していた出生の秘密など、女の強さ・弱さが複雑に絡まり、まさきの恋は数奇な運命に翻弄され、最後に一つの決心を生み出す。
希いを叶える貝殻細工の小箱から…置き薬屋が残した試供品の酔い止めから…朝顔市で買った夕顔の鉢植えから…和泉屋の苺のショートケーキから…骨董商で見つけた蓋つきの飯茶碗から…思いがけないことから、彼らの運命は動きはじめる。或るときは異界と交じり、或るときは時空を超え、妖しく煌く14の極上短篇集。