出版社 : 文藝春秋
中国古代王朝という、前人未踏の世界をロマンあふれる勁い文章で語り、広く読書界を震撼させたデビュー作。夏王朝、一介の料理人から身をおこした英傑伊尹の物語。(齋藤愼爾)
夏王桀に妹嬉をささげることで有〓@61F4氏の危機を救った伊尹は、桀のライバルとして台頭してきた商の湯王から三顧の礼を受け、湯王の臣となる。伊尹の狙いは夏と商の和親だったが、時代の流れはこれを許さず、ついに夏と商は激突し夏王朝は滅亡する。湯王は商王朝を開くが、伊尹の仕事はまだ終りではなかった。新田次郎文学賞受賞作。
海と船への憧れを抱いて対馬で育った笛太郎は、海賊船黄丸の船大将となつてシャムを舞台に活躍する。バンコクは明国の海賊マゴーチの本拠地。マゴーチは笛太郎の実父だが、笛太郎が異母弟を殺したことから、親子の宿命的な対決となる。海に生きる男たちの夢とロマンを描いた直木賞受賞作『海狼説』の続篇。
“歌に生き恋に生き”た世界的に名を馳せたオペラ歌手・藤原義江ー。スコットランド人の貿易商を父に、下関の琵琶芸者を母に持った義江の波瀾万丈の生涯を感動的に描いた第104回直木賞受賞作。義江、父リード、母キクそれぞれの“漂泊”の人生、義江と女性たちの華麗な恋の曼陀羅を、同郷人の目で描く。
豊臣秀吉の弟秀長は常に脇役に徹したまれにみる有能な補佐役であった。激動の戦国時代にあって天下人にのし上がる秀吉を支えた男の生涯を描いた異色の歴史長篇。(小林陽太郎)
足軽から身を起こした秀吉は父祖伝来の領地もなければ親族も少く、将から兵にいたるまでその人材に乏しくていつも寄合所帯だった。秀長は人柄もよく、様々な実務に抜群の才があつたばかりではなく、いくさでも負けを知らなかった。兄の大胆さを補うに弟の手堅さ、秀吉の成功はこの人なくしてはありえなかった。
聞くことはできるが話すことのできない帰国子女の少女期から結婚までの間に見たさまざまな人間模様を描く芥川賞受賞の表題作を始め、気鋭の女流が描く清新な短篇全三作。(藤田昌司)
僕たち一家の悩みは隣家の犬の鳴き声。そこでワナをしかけたのだが、予想もつかぬ展開に……。他に豪華絢爛「この子誰の子」「祝・殺人」などユーモア推理の名篇四作の競演。(北村薫)