出版社 : 文藝春秋
世界中から集めた、きわめつきのショートショート集。ボルヘス、ガルシア=マルケス、カルヴィーノ、コレットと世界文学のビッグネームから、意外な掘り出し物まで、ずらり六十篇。
中国春秋時代の大国晋の名君重耳に仕えた趙衰の子趙盾は、父同様晋の宰相となるが、自らが王に推戴した夷皐と対立せざるを得なくなる。王とは何か臣とは何か、義とは何か信とは何か。宰相として国を支え続け、歴史とかかわってゆく趙一族の思想と盛衰を、透徹した史眼と清冽な筆致で描いた長篇歴史ロマン。
聡とぼくは仮眠室の「起こし屋」。昼間の毒気を吐きながら、養分を貪るように眠るモーレツ社員たちを、うまく目覚めへと導くのが仕事だ。ところがある日、自動起床装置が導入された…。眠りという前人未到の領域から、現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。カンボジアの戦場への旅を描く「迷い旅」を併録。
ヴェトナム戦争、テロル、反戦運動……我々は何を失い、何を得たのか? 六〇年代の夢と挫折を背負いつつ、核の時代の生を問う、いま最も注目される作家のパワフルな傑作長篇小説。
アンネは「日記」のほかに童話とエッセイを書き遺していた。空想の翼をうんと広げて、スターにハリウッドへ招待される話や、汽車の旅で三十男をからかうお茶目な話…これを書いているとき、アンネはどんなにか自由だったことだろう。そしてどの話にも、胸の奥から噴出するキラリと光るものがある。書かずにはいられぬ何かが…。
藤沢周平・円熟期の最上の果実と称賛された名品集。 無外流の剣士として高名だった亡父から、秘伝を受け継いだ路は、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曾根兵六に、その秘伝を教えようとする。 武家の妻の淡い恋心を、かえらぬ燕に託して描いた表題作。 身の不運をかこつ下級武士の心を見事にとらえた「浦島」、ほか「三月の鮠(はや)」「闇討ち」「鷦鷯(みそさざい)」を収める。 文庫解説:中野孝次
六百年に及ぶ栄華を誇る古代中国商(殷)王朝の宰相箕子は、新興国周の勢力に押されて危殆に瀕した王朝を救うため死力を尽す。希代の名政治家箕子の思想を縦糸に、殷の紂王、周の文王、妲己、太公望など史上名高い暴君、名君、妖婦、名臣の実像を横糸にして、古代中国王朝の興亡を鮮かに甦らせた長篇歴史ロマン。
「あつ子、すまなかった、探し出すのが遅過ぎた」-陸一心こと松本勝男は、三十六年ぶりにめぐりあった妹・あつ子に泣いて詫びた。妹は張玉花と名のり、寒村で過労の果てに病いの床にあった。兄妹の実父・松本耕次は、子供らの消息をつかみえぬまま、奇しくも陸一心とともに日中合作の「宝華製鉄」建設に参加していた。
「宝華、万歳!」「初出銑、万歳!」万雷の拍手と大歓声が湧き起った。七年がかりで完成した日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」の高炉に火が入ったのだ。この瞬間、日中双方にわだかまっていた不信感と憎悪が消え去った。陸一心の胸には、養父・陸徳志の、「お前、いっそのこと日本へー」という言葉が去来する。
人を愛した記憶はゴミのようには捨てられない。黒人の男「リック」を愛した「ココ」。愛が真実だったとしたら、なぜ二人は傷つき別れなければならなかったのか。男、女、ゲイ、黒人、白人ー、ニューヨークに住むさまざまな人々の織りなす愛憎の形を、言葉を尽くして描く著者渾身の長篇。女流文学賞受賞。
ヘミングウェイ、テネシー・ウィリアムズからレイモンド・カーヴァーまで、選りすぐりのアメリカン・ショート・ストーリーが七十篇。短編小説の醍醐味が詰まった貴重な一冊です。
陸一心の本名は松本勝男。日本人戦争孤児である。日本人ゆえの苦難の日々を経て、彼はようやく日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」建設チームに加えられた。一方、中国に協力を要請された日本の東洋製鉄では、松本耕次を上海事務所長に派遣する。松本はかつて開拓団の一員として満洲に渡り、妻子と生き別れになっていた…。
明治二年三月二十五日の夜明け、宮古湾に碇泊している新政府軍の艦隊を旧幕府軍の軍艦「回天」が襲ったー。箱館に立てこもった榎本武揚たちは、次第に追い詰められてゆく状況を打開しようと、大胆な奇襲に賭けたのであった。歴史に秘められた事実を掘り起し充実した筆致で描いた会心の長篇歴史小説。