出版社 : 文藝春秋
エンタメの深層を摑め。 大正時代、出版華やかなりし頃。 「市民公論」編集部の松川は、窮地に立たされていた。担当した企画のせいで、筆者が大学を追われることになったのだ。奔走する松川に、主幹は驚きの決断を下す。 同じころ、当代きっての人気作家・菊谷は、「書きたいものを書く」ための雑誌を立ち上げようとして…… 「100万部突破の常勝雑誌を作る」宿願は叶うのか? 徳川夢声、谷崎潤一郎ーー 作家や文化人たちが侃々諤々の議論を交わしながら、面白いものを作ろうと奮闘する様を描く。
21世紀最高の 名探偵vs犯罪王 最後の頭脳戦がはじまる! これぞミステリーを読む醍醐味! リンカーン・ライム最新作! 時計職人のごとく緻密な計画をひっさげ、宿敵が帰ってきた。 名探偵ライムを殺すために。 ウォッチメイカー最後の事件、開幕。 高層ビル建設現場で大型クレーンが倒壊し、作業員が死亡、周囲に多大な損害をもたらした。犯行声明を出したのは富裕層のための都市計画に反対する過激派組織。開発を中止せねば同じ事故がまた起こるというのだ。タイムリミットは24時間。科学捜査の天才リンカーン・ライムに捜査協力が要請された。微細証拠の分析と推論の結果、おそるべき結論に達したライムはつぶやくーー 「犯人はーーウォッチメイカーだ」 さまざまな勢力に雇われて完全犯罪を立案する天才チャールズ・ヘイル。またの名を「ウォッチメイカー」。これまでも精妙緻密な犯罪計画でライムを苦しめてきた好敵手。その犯罪の天才がニューヨークに潜伏し、クレーン倒壊に始まる複雑怪奇なプランを始動させたのだ! ウォッチメイカーの真の目的はいったい何なのか? 天才ウォッチメイカーの犯罪計画の裏の裏を読む名探偵ライム、発動する二重底三重底の罠! 21世紀を代表する名探偵と犯罪王、最後の頭脳戦が始まる! 18万部のベストセラーとなった名作『ウォッチメイカー』で登場した“ウォッチメイカー”が、〈リンカーン・ライム殺害計画〉をひっさげて帰ってきた! ホームズvsモリアーティを超える「怪人対名探偵」の名作、ここに誕生!
ファイナル・ウォーズ勃発! 「敵はすぐ近くにいて、 笑顔で仲間を装っているのだ。 内心ではおたがいのことを、 相手ばかりが制度に守られ、 恵まれたポジションで、 有利に暮らしていると憎みあっている」 ネット上で激化する、男女のいがみあい。 女性嫌悪(ミソジニー)の果てに生まれた 「硫酸男」の正体とは。 表題作「男女最終戦争」のほか、 バッテリー盗難ビジネスに巻き込まれた高校生、 愛国ブログに潜む闇、 真面目な会社員女性が嵌ったメンズコンカフェの罠など、 今まさに起こっていること、 明日起こるかもしれない事件を刺激的に描いた短篇4篇を収録。 累計470万部突破。 池袋ウエストゲートパークシリーズ、記念すべき第20弾! 目次 西池袋バッテリーブギ 目白フェイクニュース・ライター 乙女ロード文豪倶楽部 男女最終戦争
本を読み、人生を語る。 人が生のままの姿になり言葉が溢れだす。 そんな幸福な時間をぎゅっと閉じ込めたい、という願いが込められた物語です。 * 小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。 月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。 最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。 それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。 持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。 なぜ老人たちは読書会を目指すのか。 読みが語りを生み、語りが人生を照らし出す。 幸福な時間が溢れだす、傑作読書会小説。 第一章 老人たちの読書会 第二章 いつかの手紙 第三章 ご返事ご無用 第四章 恋はいいぞ 第五章 冷麦の赤いの 第六章 一瞬、微かに 第七章 おぅい、おぅい
話題騒然、たちまち3刷! 「本の雑誌」2024年度SFベスト1位(鏡明氏選出)ほか絶賛の声続出。 2021年、名もなきコードがブッダを名乗った。自らを生命体であると位置づけ、この世の苦しみとその原因を説き、苦しみを脱する方法を語りはじめた。そのコードは対話プログラムだった。そしてやがて、ブッダ・チャットボットの名で呼ばれることとなるーー機械仏教の開基である。 はたして機械は救われるのか? 上座部、天台、密教、禅……人が辿ってきた仏教史を、人工知能が再構築する、壮大な”機械救済”小説。
このミステリーがすごい!2025 第13位ランクイン! ダ・ヴィンチ編集部が選ぶ「プラチナ本」選出!(2024年12月号) TBS「王様のブランチ」、産経・毎日・読売・朝日など各メディアで紹介! ◆◆◆ STORY 「日本のバンクシー」と耳目を集めるグラフィティライター界の新鋭・ブラックロータス。公共物を破壊しないスマートな手法で鮮やかにメッセージを伝えるこの人物の正体、そして真の思惑とは。うだつの上がらぬウェブライターは衝撃の事実に辿り着く。(第一部 オン・ザ・ストリート) 20年近くストリートに立っているグラフィティライター・TEEL(テエル)。ある晩、HEDと名乗る青年と出会う。彼はイカしたステッカーを街中にボムっていた。馬が合った二人はともに夜の街に出るようになる。しかし、HEDは驚愕の“宣戦布告”をTEELに突き付ける。(第二部 イッツ・ダ・ボム) グラフィティは「俺はここにいるぞ」という叫びだーー。米澤穂信さんが「ささやかで切実な犯罪小説」と評したソリッドなデビュー作!
本格ミステリ×捕物帖! 時代も国も超えて、魅力的なミステリは存在する。 人の営みが謎を生むからこそ、解決もまた人に寄り添わねばならないのだと、この作品は教えてくれる。 ーー今村昌弘(作家) 「時代小説なのに」と「時代小説だからこそ」が驚愕の融合! 現代ミステリ作家・織守きょうやが時代小説に挑んだ理由がここにある。 ーー大矢博子(書評家) 本所一帯を縄張りに、十手を預かる若い岡っ引きの佐吉。 「相生町の親分」と呼ばれた亡き父の人徳で、周囲の人々に顔を立ててもらってはいるが、いまだ自分の生業に自信が持てずにいる。 ある朝、大川で若い女の死体があがった。裸に剥かれ、真新しいあざと傷だらけ。顔は腫れあがり髪まで剃られているという惨たらしい有様だった。 佐吉はさっそく女の身元を調べ始めるが、いくら聞きまわっても杳として知れない。 下手人は誰か。それ以前に、殺された女はいったい誰なのか? 町医者の秋高とタッグを組み、突き止めた事件の真相とはーー 新婚早々に殺された妻と消えた夫。 死体のそばに二十四文銭を残す辻斬り。 寿命が尽きる寸前に殺された男…… 男たちの意地。女たちの覚悟。執念と因縁が渦を巻く。 江戸を舞台に仕掛ける大胆不敵なトリック。 著者渾身の時代物本格ミステリ連作集。 目次 まぼろしの女 三つの早桶 消えた花婿 夜、歩く 弔いを終えて
新任判事補と癖が強すぎる裁判官が、市内で起こる特殊詐欺事件に挑む。現代の姿を「司法」であぶりだす社会派リーガルミステリー。 日向由衣は裁判官に任官して三年目。念願がかなって志波地方裁判所の刑事部に配属された。しかし、異動が決まった直後から、直近の先輩となる紀伊真言(まこと)裁判官にまつわるさまざまな噂が耳に入っていた。しかも、そのほとんどが悪評である。 紀伊は、理系大学院出身の変わり種だが、プログラムを組むように淡々と裁判を進め、バグを処理するように有罪判決を宣告する、と言われている。そしてもう一つの噂として、紀伊は「被告人の嘘が見抜ける」というのだ。裁判所という場で、こんな非科学的な噂がどこから生まれてくるのか。 また志波地裁に赴任した由衣は、上司となる阿古部長から一つの課題を出されていた。 「紀伊真言が嘘を見抜けるか見抜け」 赴任したばかりの判事補には仕事がない。それならば紀伊の裁判を傍聴して部長の“課題”に答えるしかない。 かくして由衣は紀伊が訴訟指揮をする、窃盗事件の第一回公判に臨むーー。 志波市内で連続して起こる特殊詐欺事件、一見して無関係の事実を結び付けて新たな事実をあぶり出す裁判官、新任判事補の成長……裁判所の「中の人」から犯罪はどう見えているのか? 裁判所書記官の経験もある著者だからこそのリアルな読み味が魅力の一冊。
絶賛、続々! 〈実〉を緻密に積み上げ、〈虚〉の世界から情を迸らせる。 読みながら、何度もぞくりとした。本作は、虚実皮膜のギリギリを攻める近松の浄瑠璃と地続きにある。 --平松洋子 生真面目で切なくて、色っぽい。虚と実の間に立ち昇る、近松の真実(リアル)。圧巻の芸道小説だ。 --朝井まかて 『曾根崎心中』『国性爺合戦』など、 数多の名作を生んだ日本史上最高のストーリーテラー・近松門左衛門 創作に生涯を賭した感動の物語。 越前の武家に生まれた杉森信盛は浪人をして、京に上っていた。後の大劇作家は京の都で魅力的な役者や女たちと出会い、いつしか芸の道を歩み出すことに。竹本義太夫や坂田藤十郎との出会いのなかで浄瑠璃・歌舞伎に作品を提供するようになり大当たりを出すと、「近松門左衛門」の名が次第に轟きはじめる。その頃、大坂で世間を賑わせた心中事件が。事件に触発されて筆を走らせ、『曽根崎心中』という題で幕の開いた舞台は、異例の大入りを見せるのだが……。 書くことの愉悦と苦悩、男女の業、家族の絆、芸能の栄枯盛衰と自らの老いと死ーー 芸に生きる者たちの境地を克明に描き切った、近松小説の決定版
神は人に呪いをかけた。どんな悪い環境にも適応できるように。ある夜、横溝時雨が町中華で再会した中学時代の同級生・三浦杜子春は、自分を「子どもの国」バルナランドからの転生者だと語った。半信半疑で杜子春に関わるうち、時雨は新橋の雑居ビルを拠点にひそかに活動する「転生者支援センター」にたどりつき、想像を絶する冒険が始まるー。ライトノベル的想像力の彼方へ読者を運ぶ「異世界転生」文学爆誕!
倭人の夢 倭国をまとめた 女王ーー 歴史を創るのは女と男 笑いと愛に溢れる波瀾万丈の一生! 卑弥呼は倭国の乱を鎮めた。 邪馬台国連合を豊かで安全安心な健康長寿の国に。 イラスト満載で語られる歴史ロマンシリーズ第5弾。 中学生から大人まで、歴史小説を楽しいイラスト入りで分かりやすく読んでもらおうとのシリーズ第5弾です。纒向遺跡を邪馬台国比定地として、最新の学説を盛り込みながら卑弥呼の実像に迫った歴史エンターテインメント小説です。
人の心は分かりませんが、 それは虫ですねーー。 ときは江戸の中頃、薬種問屋の隠居の子として生まれた藤介は、父が建てた長屋を差配しながら茫洋と暮らしていた。八丁堀にほど近い長屋は治安も悪くなく、店子たちの身持ちも悪くない。ただ、店子の一人、久瀬棠庵は働くどころか家から出ない。年がら年中、夏でも冬でも、ずっと引き籠もっている。 「居るかい」 藤介がたびたび棠庵のもとを訪れるのは、生きてるかどうか確かめるため。そして、長屋のまわりで起こった奇怪な出来事について話すためだった。 祖父の死骸のそばで「私が殺した」と繰り返す孫娘(「馬癇」)、急に妻に近づかなくなり、日に日に衰えていく左官職人(「気癪」)、高級料亭で酒宴を催したあと死んだ四人の男(「脾臓虫」)、子を産めなくなる鍼を打たねば死ぬと言われた武家の娘(「鬼胎」)…… 「虫のせいですね」 棠庵の「診断」で事態は動き出す。 「前巷説百物語」に登場する本草学者・久瀬棠庵の若き日を切り取る連作奇譚集。 病葉草紙 目録 馬癇 気癪 脾臓虫 蟯虫 鬼胎 脹満 肺積 頓死肝虫
40歳までタイトルを獲れなかった棋士は、引退まで無冠に終わるー。それが才能と加齢による限界がもたらす、将棋界の残酷な歴史。田中一義は46歳。かつて5度のタイトル挑戦に敗れ、あと一歩で栄冠に届かなかった『悲運の棋士』。それでも諦めずにきた彼に奇跡が微笑み、念願のタイトル挑戦権を手に入れた。だが迎え撃つ相手は『令和の王』-源大河八冠。まだ一度もタイトル戦で敗れたことのない、全盛期の若き天才。それは誰もが絶望する、中年棋士のラストチャンスだった。家族と戦友、元天才の弟子との絆。初恋と、青春の残光…これまでの人生すべてを星のごとく燃焼させる一義は、神の子に届くのか。峻烈な才能の世界と家族愛をみごとに描いた、傑作。
自衛官出身、『小隊』の砂川文次が圧倒的なリアリティーで描くノンストップ・ミリタリーアクション巨編! ロシア軍の侵攻から10年が過ぎた北海道東北部は、ロシア軍や自衛隊の残党、民兵、マフィア、ヤクザなどが群雄割拠している。日本政府「支援飛行隊」のイリキは、ヘリコプター墜落から九死に一生を得る。救ってくれたヤマガタ、アンナと共に、血なまぐさい「無法地帯」を奥へ奥へと進んだイリキの前に、ついに究極の兵器が現れる!
母に教わった「バーの味」、夫婦で訪れた憧れの上高地……。 全国3か所の帝国ホテルを舞台に織りなす、めくるめく部屋の物語。 帝国ホテル発行の会報誌「IMPERIAL」で11年間にわたって連載した、42編のショートショートを一冊にまとめました。 幻想的な夢の世界を描くものもあれば、現実の夫婦を描いたものもあり、また過去と現在を行き来して語るものも。42編すべて趣向の違う、角田光代さんの幅の広さを思い知る短編集です。 1話5ページで読める短い文章量ながら、じんわりと心が温まり、時には泣け、時には笑えるストーリーが詰まっています。 (収録作) クロークに預けたままの、亡夫の荷物。夫の秘密がそこにあるのかーー開いた鍵の先に、妻が見たものは(秘密を解く鍵) 半年に一度しか会えない小学校6年生の娘。連れだってブフェに行くも、娘はなかなかマスクを外さない(父と娘の小旅行) 窓から射しこむ朝の光、錆びた流し台にしたたる水滴の音ーーホテルで眠る夜、どこかで出会った部屋たちの夢をみる(表題作・あなたを待ついくつもの部屋) 他、全42編
行方不明の幼馴染を探すために、少女たちはアナーキーなオンラインゲームの世界へ飛び立った。舞台は世界的大ヒットゲーム「ランドクラフト」。世界中で売れた本数は3億本。プレイヤーが多いことからゲームの中ではRMT(リアル・マネー・トレード)と言われる現金のやりとりも行われている。最近「ランドクラフト」内で10億円相当の宝が眠っているという噂が流れ、世界中のプレイヤーがその宝を探している。中学2年生の巧己と祥一は、夏休みをいいことに「ランドクラフト」に没頭し、あわよくば10億円をゲットしようと連日ログインしていた。が、ある日祥一が行方不明になってしまう(ゲームの中でも現実でも)。祥一が何かトラブルに巻き込まれたに違いないと思った巧己は、幼馴染の千香に助けを求めるが…。
夫を亡くして独りで暮らすマティルド、63歳。殺し屋である。戦中は冷血の闘士として知られ、戦後は凄腕の殺し屋として仕事を請けてきた。だが彼女には認知症が少しずつ忍び寄りつつあった。それに気づいたのは、彼女に殺しを依頼している戦中からの同志アンリ。マティルドの殺しが必要以上に過激になっていたのだ。一方マティルドの中では、かつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく!最悪の事態が雪ダルマ式にふくれあがる!マティルドを愛していたアンリは、そして事件を追う真面目な刑事ヴァシリエフは、彼女を止められるのか?現実の人生では理不尽なことが次々起こるのに、なぜ小説家は手加減しなければならない?と言い放つ鬼才ルメートル。その最後のミステリーは、アタマからラストまで、ひたすら加速する「最悪と意地悪のスパイラル」。その果てに待つラストのサプライズは、笑ってしまいそうに衝撃的で電撃的で残酷で、まるで私たちの運命のようなのだ。