出版社 : 文藝春秋
【あらすじ】 ストーカー化した元パートナー、マタハラと痴漢冤罪、技能実習制度と人種差別、SNSでの誹謗中傷・脅し……。 リタイアした元刑事の平穏な日常に降りかかる事件の数々。 身近な人間の悪意が白日の下に晒された時、捜査権限を失った男・平良正太郎は、事件の向こうに何を見るのか?
執筆足かけ10年。宮本文学、初の歴史小説。全四巻の完結篇。 開国から明治維新・西南戦争を経て、日本の近代化が始まる激動期を、越中富山の薬売りの視点から描く。主人公・川上弥一は、薩摩藩担当の薬売り行商人から、最後は近代的製薬会社の創業を主導するまでになるーー。 第四巻から時代は本格的に明治へ。近代日本が始動していく一方、西南戦争では若き薩摩藩士たちが痛ましい死を遂げていく。そして弥一の身辺にも、大きな出来事が起きるーー。 <日本各地を回った富山の薬売りの鋭い観察眼と時代認識を通して、黒船来航から王政復古を経て西南戦争にいたる平和と変革の時代を描く雄渾な文学作品> --山内昌之(東京大学名誉教授/「週刊文春」2025年2月27日号の書評より) <「一身にして二生を経る」ほどの幕末維新の激動を乗り越えた日本人のたたずまいが巨匠の筆で活写されている。この小説は混沌の現代を生きる私たちの心の支えだ。> ーー磯田道史(歴史学者・国際日本文化研究センター教授) 全四巻それぞれに違った著者直筆の「ことば」が入った初回配本限定特典「讀む藥」付。 第七十三章 琉球と清国 第七十四章 一両は一円 第七十五章 清国福州 第七十六章 岩倉使節団 第七十七章 不平士族 第七十八章 西洋時計 第七十九章 邂逅 第八十章 事業拡大開始 第八十一章 伏木の松葉屋 第八十二章 つるひこさん 第八十三章 公使館の料理人 第八十四章 列強の罠 第八十五章 大阪分社開設 第八十六章 馬上の人 第八十七章 密偵警察 第八十八章 船出 第八十九章 台湾出兵 第九十章 朱大老 第九十一章 青年の自死 最終章 西南戦争 あとがき 主要登場人物 江戸〜明治初期の単位換算表 富山の薬売りの専門用語
性加害の告発が開けたパンドラの箱ーー MeToo運動、マッチングアプリ、SNS……世界の急激な変化の中で溺れもがく人間たち。対立の果てに救いは訪れるのか? 「わかりあえないこと」のその先を描く、日本文学の最高到達点。 「変わりゆく世界を、共にサバイブしよう。」--金原ひとみ 文芸誌「叢雲(むらくも)」元編集長の木戸悠介、その息子で高校生の越山恵斗、編集部員の五松、五松が担当する小説家の長岡友梨奈、その恋人、別居中の夫、引きこもりの娘。ある女性がかつて木戸から性的搾取をされていたとネットで告発したことをきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の日常が絡みあい、うねり、予想もつかないクライマックスへーー。 性、権力、暴力、愛が渦巻く現代社会を描ききる圧巻の1000枚。 『蛇にピアス』から22年、金原ひとみの集大成にして最高傑作!
大好評「まんまこと」シリーズ、ついに第10弾! 子が生まれ、張り切る新米父の麻之助だが、相談事は待ってくれない。 悪友に妻たちまで巻き込み、 時に怠けながら、今日も果敢に揉め事を捌く! (※よく?られます) * * * 〈あらすじ〉 「ふじのはな」 高利貸しの婚礼話。めでたい席の前に各所が荒れ模様にーー 「おとうと」 “町名主見習い”の義弟を手伝う麻之助は猫探しを相談されて 「ああうれしい」 “ああ嬉しい”と思わせて欲しいーーって、それ町名主の仕事!? 「縁談色々」 縁談の相手探しを次々頼まれる麻之助。ふと見つけた妙案とは 「むねのうち」 与力の屋敷の台所で高価なかんざしが消えた。盗人はどこに? 「だいじなこと」 友人の家で病に倒れた麻之助は“何か”を忘れてしまった気が…… ふじのはな おとうと ああうれしい 縁談色々 むねのうち だいじなこと
交番相談員が見抜く、警察官たちの闇と罪。 2025年度最注目の連作ミステリ短編集! 警察を定年退職し、非常勤の「交番相談員」として働いている百目鬼巴(どうめき・ともえ)。 見た目は普通のおばさんで、性格も穏やかだが、彼女には妙な噂があった。 「彼女には県警本部の刑事部長でも頭があがらない」 「現役時代には、未解決事件の捜査にあたってほしい、と熱烈なお呼びが掛かっていた」 「なぜか科学捜査の知識も豊富に有している」 半信半疑で一緒に働いていた若手警察官は、 しかしすぐにその噂が真実であることを知る。 彼女は卓越した洞察力で、目の前で起こっていることの 真相・裏側を立ちどころに見抜いてしまうのだーー。 『教場』シリーズの著者であり、 当代きっての短編ミステリの名手による、 新「警察小説」シリーズ、開幕です! ・裏庭のある交番 ・瞬刻の魔 ・曲がった残効 ・冬の刻印 ・噛みついた沼 ・土中の座標
「上級国民」の闇を暴け! 愛車はポルシェ・カイエン、自宅は六本木の高級マンション。 セレブ出身、セレブ担当刑事が追うのは、セレブリティが吐いた嘘。 主人公・二階堂悠真の肩書は、「警視庁特別対策捜査官」。 警視総監直轄の部署……といっても、実際には「部署」ではなく「窓口」で、担当は彼一人だけ。 ある日、二階堂のもとにある女性が相談に訪れる。窃盗事件の被害届を出したいのだが、所轄の態度が気に食わないので何とかして欲しいとのこと。彼女は被害者の後妻で、元ホステスの女だった。 被害者は港区内に住む資産家・梅島。ラーメン屋の親父から、一代で巨大飲食チェーンを育て上げた“成金”で、会ってみると極めて高慢な人物。 しかも、非常に立派なウォッチワインダーがあるのに、時計が置いていない=盗まれた可能性があるのに届けて出ていないなど、怪しい面がある……。 捜査を進める二階堂の元に、今度は渋谷中央署から電話が。 なんと、総務省審議官の息子を強盗の容疑でしょっ引いたというのだ。 複雑に絡み合う二つの事件、秘められた名門一家の過去とは。 待望の新・警察シリーズ始動!
累計240万部突破! 大人気和風ファンタジー「八咫烏」シリーズ最新作。 博陸侯雪斎が独裁を敷く〈山内〉で、 〈登殿の儀〉を経て皇后を選んだ金烏代・凪彦。 しかし二人の間に子が生まれる気配はない。 一方、谷間出身者たちの叛乱を生き延びた少年・トビは 北家の朝宅で博陸侯の母と出会いーー。 博陸侯の治世を揺るがす「亡霊」の影。 終幕に向けて、時間が進み始める。
直木賞受賞作『花まんま』から20年、映画から魂を吹き込まれた新たな感動作! 本書は2025年4月25日に公開予定の映画『花まんま』のサイドストーリー。登場人物の背景にある「もうひとつの物語」を、原作者ならではの視点で描き出し、映画のその先の世界へと、読者をいざないます。 〜映画から生まれた4つの物語〜 「花のたましい」 … 見えない明日を懸命に生きる駒子と智美。はかなくも美しい友情の行く末。 「百舌鳥乃宮十六夜詣」 … 幼少期の不思議な体験を昭和の世相に重ねて描くノスタルジック・ホラー。 「アネキ台風」 … こわれかけた家族をパワー全開で再生しようとする肝っ玉アネキの奮闘記。 「初恋忌」 … 人生の終わりを予感した男の身に起こる、小さな奇跡。感涙必至の好篇! 泣いて、笑って、幸せに。 「花のたましい」 「百舌鳥乃宮十六夜詣」 「アネキ台風」 「初恋忌」 全4篇。すべて書き下ろし。
執筆足かけ十年。宮本文学、初の歴史小説、全四巻の第三巻。 時代背景は、下関戦争(1863〜64)から大政奉還(1867)、鳥羽・伏見の戦い(1868)を経て、明治新政府が本格的に発足するまで。 主人公・川上弥一は新時代に対応し、富山の薬売りを近代的な「カンパニー」に脱皮させようとする。 日本の夜明け前を、勇気をもって駆け抜けた人々の姿を描く! <日本各地を回った富山の薬売りの鋭い観察眼と時代認識を通して、黒船来航から王政復古を経て西南戦争にいたる平和と変革の時代を描く雄渾な文学作品> --山内昌之(東京大学名誉教授/「週刊文春」2025年2月27日号の書評より) <「一身にして二生を経る」ほどの幕末維新の激動を乗り越えた日本人のたたずまいが巨匠の筆で活写されている。この小説は混沌の現代を生きる私たちの心の支えだ。> ーー磯田道史(歴史学者・国際日本文化研究センター教授) 全四巻それぞれに違った著者直筆の「ことば」が入った初回配本限定特典「讀む藥」付。 第四十八章 ふたたび薩摩へ 第四十九章 行商 第五十章 少年 第五十一章 本枯れ節 第五十二章 羊毛玉 第五十三章 水戸天狗党 第五十四章 将軍上洛 第五十五章 朝廷の闇 第五十六章 日去りて月来る 第五十七章 異国人居留地への旅 第五十八章 幕府弱体 第五十九章 帝の影 第六十章 孝明天皇の死 第六十一章 大政奉還 第六十二章 奸計 第六十三章 動乱開始 第六十四章 こぜりあい 第六十五章 牛小屋の夜 第六十六章 鳥羽伏見の戦い 第六十七章 恭順 第六十八章 江戸を焼く 第六十九章 洋薬襲来 第七十章 古着屋せいさん 第七十一章 武士たちの行方 第七十二章 新しい旅 主要登場人物 江戸〜明治初期の単位換算表 富山の薬売りの専門用語
破滅まで46時間。 人類絶滅を阻止したければ 殺人の謎を解け。 フィナンシャルタイムズ、サンデータイムズ、ガーディアン、オブザーヴァーなどイギリス高級紙がこぞって絶賛。 「ヤバいくらい独創的」--M・W・クレイヴン(『ストーンサークルの殺人』ほか) 突如発生した霧により、世界は滅亡した。最後に残ったのは「世界の終わりの島」、そこには100名を超える住民と、彼らを率いる3人の科学者が平穏に暮らしていた。沖には霧の侵入を防ぐバリアが布かれ、住民たちはインプラントされた装置により〈エービイ〉と名づけられたAIに管理されていた。 だがある日、平穏は破られた。科学者のひとり、ニエマが殺害されたのだ。しかも住民たちは事件当夜の記憶を抹消されており、ニエマの死が起動したシステムによってバリアが解除されていた。霧が島に到達するまで46時間。バリア再起動の条件は殺人者を見つけることーー。 果たして「世界の終わりの島」に隠された秘密とは? そして真犯人は誰なのか? 人格転移タイムループ館ミステリ『イヴリン嬢は七回殺される』、海洋冒険ホラー歴史ミステリ『名探偵と海の悪魔』に続く鬼才スチュアート・タートンの第3作。特殊設定メガ盛りで読者に挑戦するポストアポカリプス犯人捜しミステリ!
\こんな会社辞めてやる! そう思ったことがある人、全員集合!/ 精魂込めて作り上げた新規事業が、親会社に潰された。理由はリスク回避。 「なんであんたたちの意味わかんない論理で、あたしのアイデアが潰されなきゃなんないのよ!」 怒りを爆発させた三年目の社員・高宮麻綾は、社内外を駆けずり回り、“リスク”の調査に乗り出す。 私は私の仕事をモノにしてみせるーー だってそういうたまらない瞬間のために生きているんだもの。 忖度、義理、出世……それって昭和の話? いえいえ、いつの時代も会社はややこしくって面白い! 今日の味方は明日の敵ーーめくるめく令和のサラリーマン小説が爆誕。 ★松本清張賞選考会で話題沸騰★ 完成度が高いエンターテインメント作品。構成の密度、キャラクター設定ともによく練られていて、著者はエンタメの世界で即戦力の持ち主だと感じた。--辻村深月(作家・松本清張賞選考委員) 勢いに引っ張り込まれた。 非常に良くできた作品で、私などは見事に感情をコントロールされたクチである。私はこの作品を一推しした。--森絵都(作家・松本清張賞選考委員) ★各界から絶賛の声★ 仕事が好きな人、仕事の理不尽を知る人にとって間違いなく、心にぶっ刺さる物語。--瀧井朝世(ライター) 仕事ってむかつくけど面白いよな!!!そんな感情を思い出させてくれた痛快・最高・天才の仕事小説です!全員読んでくれ!--三宅香帆(文芸評論家) 引き継がれるのは事業への想い。読むと仕事のやる気が湧いてくる。エナジードリンクみたいなお仕事小説です。--新川帆立(作家) ただ面白いから仕事を続けてきた。それでも良かったんだと胸を張れました。--安島隆(ディレクター) 会社が憎い。だから今日も働く。会社員の屈折した魂の輝きの全て。--メン獄(『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』) この疾走感。仕事のフラストレーションも、それを上回る愛と情熱も、全てがここにある。--龍崎翔子(株式会社水星 代表取締役 / ホテルプロデューサー)
『銀花の蔵』で直木賞候補、 いま注目の作家が放つ“傑作家族小説”! 売れない芸人を続ける娘、夫の隠し子疑惑が発覚した妻、父と血のつながらない高校生…… 大阪・ミナミを舞台に、人の「あたたかさ」を照らす群像劇。 ◎松虫通のファミリア 「ピアニストになってほしい」亡妻の願いをかなえるために英才教育を施した娘のハルミは、漫才師になると言って出ていった。1995年、阪神淡路大震災で娘を亡くした吾郎は、5歳になる孫の存在を「元相方」から知らされる。 ◎ミナミの春、万国の春 元相方のハルミが憧れた漫才師はただ一組、「カサブランカ」。ハルミ亡き後も追い続けたが、後ろ姿は遠く、ヒデヨシは漫才師を辞めた。2025年、万博の春に結婚を決めたハルミの娘のため、ヒデヨシは「カサブランカ」に会いに行く。 (他、計6篇)
狸穴屋は本日も大繁盛ーー。 祭りぎらい……浅草三社祭りが離婚の種に!? 三見の三義人……200年前、質屋に入れられたのは「海」だった 身代わり……訴えられたのはなんと、評定所のお偉方 夏椿……離婚を承知しない夫に嗅がせた妙薬とは? 初瀬屋の客……公事師の娘の頼みは、「客の後をつける」こと 証しの騙し絵……30年前に別れた夫が戻ってきたらしい。狙いは?
憂き世で至福のひとときを! 痛快無比。そしてなによりハートウォーミング。読む楽しさを満喫できる作品集です。つぎつぎに出来する難事件、怪事件、なんとか助力したい男女・・・・。馬之介は飄々、かつ怜悧に事態に対処していきます。安定の筆力。確たる時代考証に裏打ちされた頑丈な物語の構造。次作を期待してしまう出来栄えです。 届かぬ想い 梅雨が明ける 流れる あとがき
著者は、ながく医療の第一線に立ってきました。生身の人間、こと弱者に対する優しいまなざし、ひとを狡猾・功利に追い込む社会に対する厳しい視線。・・・水野ワールドの奥深さです。今作品は、医学ミステリーであり、ホラー小説の要素もあり、また、『楡家の人びと』を想起させる純文学の風格あり。複合体にして多面体な作品世界です。今作品にご興味・関心をもたれたら、著者のこころの遍歴をたどる『ぼくの医学遍歴譚』『婚外子物語』のご併読をお勧めいたします。真摯にして破天荒な著者の軌跡がうかがえます。 困惑 探索 確執 陥穽 因果
幕末・維新の動乱を描く宮本文学初の大河歴史小説、いよいよ佳境へ! 時代は江戸幕府最末期の安政から元治年間。薬売りとして一本立ちした川上弥一は、京に拠点を移す。寺田屋事件、池田屋事件と血なまぐさい騒動が続く京で、弥一は旧知の薩摩藩士・園田矢之助らと呼応しながら、人の命を救うために戦乱の町を奔走するーー。 <日本各地を回った富山の薬売りの鋭い観察眼と時代認識を通して、黒船来航から王政復古を経て西南戦争にいたる平和と変革の時代を描く雄渾な文学作品> --山内昌之氏(東京大学名誉教授)「週刊文春」2025年2月27日号の書評より <「一身にして二生を経る」ほどの幕末維新の激動を乗り越えた日本人のたたずまいが巨匠の筆で活写されている。この小説は混沌の現代を生きる私たちの心の支えだ。> --磯田道史氏(歴史学者・国際日本文化研究センター教授) 全四巻それぞれに違った著者直筆の「ことば」が入った初回配本限定特典「讀む藥」付。 第二十五章 大獄の始まり 第二十六章 お雪 第二十七章 桜田門外の変 第二十八章 目明しの町 第二十九章 飛脚屋の女房 第三十章 隠密御用 第三十一章 薩摩屋敷 第三十二章 騒乱前夜 第三十三章 せご屋 第三十四章 伏見寺田屋 第三十五章 血気 第三十六章 幕府の綻び 第三十七章 ふたたび京へ 第三十八章 偽者 第三十九章 雪の京 第四十章 刺客 第四十一章 馬関砲撃 第四十二章 薩英戦争 第四十三章 八月十八日の政変 第四十四章 池田屋事件 第四十五章 禁裏への道 第四十六章 大火 第四十七章 禁門の変 主要登場人物表 江戸時代の単位換算表・富山の薬売りの専門用語
東京都武蔵野市で住宅一棟が焼ける火災が発生。焼け跡からは、その家に住む志村潔(69)とその息子夫婦と見られる男女三人の遺体が見つかる。 単なる住宅火災に見えたが、夫婦と見られる遺体の死因は焼死ではなく、刺されたことによる失血死であった。 しかも現場からは、この夫婦の子供と見られる小学生が消えていた。さらには、志村の経歴をたどると、“息子”がいた形跡がない。一体この火事で死んでいたのは何者だったのか? 警察が捜査をに乗り出すのと軌を一にして、地下組織『I』の作業員の樋口にもある指令が下される。 不可解な火災、血の繋がりのない“家族”、消えた子供の行方……エンタテインメントを追求した、究極のノンストップサスペンス。
2023年⇒1993年 人生のどん詰まり、死んだ父と過ごした奇跡の3日間 最低の父がくれた、最高のメッセージとはーー 後悔と悲しみを抱え生きる全ての人へ 心震わす、感動作 【あらすじ】 時岡直志はある日、カメラマン廃業を決意する。かつては売れっ子だったが今や仕事はほとんどないのだ。妻には先立たれ、一人息子はひきこもりになってしまった。もはやアルバイトのゴミ収集を本業にするしかないと観念していた。 これが最後のカメラ仕事と腹を決め、出張に出た直志はそこで、決して逢うはずのない人物と出逢う。それは三十年前に借金苦の末に自動車事故で死んだ父だったーー。 初めは他人の空似を疑う直志だったが、徐々に自身が一九九三年にタイムスリップしたことに気づきはじめる。しかもそれが父の死の四日前で……。
普段は会社員、キャバクラ嬢、小学生…… しかしひとたび事件が起これば、命をかけて日本を守る! 江戸時代、徳川幕府の安寧を陰から支えてきた「忍び」たち。明治維新を機にひっそりと姿を消したと思われていたが……実は新政府の警察制度に組み込まれていた。 警視庁警備企画課諸犯罪対策係、通称マルニンに所属する甲賀忍者、白神蝶三郎を司令塔に、現代に生きる忍者たちが躍動、疾走する。 手足に微細な毛を持ち、どんなところでも上ることができる木陰良則。 相手の懐から物を抜き取る「懐中殺」の使い手、雲川セイラ。 どんな毒でも死なない体を持つ毒術使い、赤味敦彦。 手裏剣をはじめ小物を巧みに操り、敵を攻撃するくノ一、一ノ坂はるみ。 息継ぎなしで長時間水中活動ができる潜水術の名手、小岩瀬新八。 現代まで忍法を受け継いできた甲賀流忍者たちが、 最後に闘うこととなる、最強の敵集団とは!? 忍者たちの日常と活躍を描く連作ミステリ短篇集!