小説むすび | 出版社 : 文藝春秋

出版社 : 文藝春秋

たとえば孤独という名の嘘たとえば孤独という名の嘘

出版社

文藝春秋

発売日

2025年11月21日 発売

「……俺はいつからハメられてたんだ?」 〈姫川玲子シリーズ〉〈ジウシリーズ〉を手掛ける警察小説の名手の新境地は、1話ごとに真相が反転する、慟哭の【警察×スパイ】ミステリー。 ◇◇◇  警視庁公安部の佐島はある日、被疑者取調べに駆り出された。大学時代の友人・稲澤が、勤務先の女性部下・矢代を殺害した容疑をかけられていたのだ。被害者はなぜか、二人が学生時代に共に恋焦がれた女性・綾と瓜二つだった。  容疑を否認しつつ稲澤は言う。 「矢代は中国のスパイだったんじゃないか」  取調べを終え部屋を出ると、そこには特捜幹部が顔を揃えていた。彼らは1枚の紙を佐島に突きつけたーーいったい、何がどうなっているんだ? ◇◇◇ 1話ごとに視点人物が移り変わり、それによって明らかになってゆく事実。 事実が事実を揺るがし、真相は煙雨のなかに彷徨う。 ラストに辿り着いたとき、あなたの頰に流れるのは、涙か、雨粒かーー。 ◇◇◇ ーー私に残ったのは、あの人だけだった。   だからこそ、赦せなかった。 レイン ダーク ドッグ ライズ たとえば孤独という名の噓 アイズ いつか永遠という名の瞳

宙色のハレルヤ宙色のハレルヤ

著者

窪美澄

出版社

文藝春秋

発売日

2025年10月8日 発売

「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。 恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。 目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。 一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。 ◆◇あらすじ◆◇  夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。   自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした結婚だった。  ある日、隣に画家の女性が越してきた。絹香と名乗る彼女と行き来するうち、恵美は自分の胸の奥の痛みに気づく。絹香もまた、怒ったように言う。 「恵美さん、旦那さんという人がいた人だったんだ」(「海鳴り遠くに」)  高校を休みがちになった僕の家へ、夏休みの間だけはとこの桃子さんがやって来ることになった。両親の離婚により始まった母との2人暮らしにも慣れ、告白されて彼女もでき、〈幸福が加速している!〉はずだったのに……。(「風は西から」)  自分は「普通」ではない。だから木に化ける蛾のように擬態を続け、「普通」の人間なのだ、と思い込もうとした。  そうして70手前になった学校清掃員の老人はある夏、昔想いを寄せた友人によく似た少年に出会う。「男女(おとこおんな)」と呼ばれいじめられていた彼と関わるうち、自宅に招き食事をともにするようになる。だが、2人のひと夏の終わりはすぐそこまで来ていたーー。(「赤くて冷たいゼリーのように」)                                                --直木賞受賞作『夜に星を放つ』を超える感動をもたらす全6編  読み終えた後、「いろいろあるけど、こんな人生も悪くないな」と顔を上げられる、至極の短編集です。 海鳴り遠くに 風は西から パスピエ 赤くて冷たいゼリーのように 天鵞絨のパライゾ 雪が踊っている

陰態の家 夢枕獏超越的物語集陰態の家 夢枕獏超越的物語集

著者

夢枕獏

出版社

文藝春秋

発売日

2025年9月10日 発売

空手家の男、空飛ぶ円盤譚、傀儡師と陰態のもの…… 一冊で夢枕獏のエッセンスをすべて網羅し、 その超越的な創造力を堪能することができる、 短編集・全九編。 「踊るお人形」 シャーロック・ホームズが夏目漱石を訊ねて東京に。「人形が投げ込まれると、人が死ぬ」連続殺人事件を鮮やかに解決? 「伊右衛門地獄噺」 砂村の隠亡堀の掘立小屋に暮らす伊右衛門のもとに現れた若い男。伊右衛門は暇つぶしに、かつての女房・お岩との一幕を語り始める。 「仰向けに這う老人」 小田原の山に取材にいったあとから、身長15cmほどの小さな老人をあちこちで見るようになった。彼はいつも仰向けに転んでいる……。 「空手屋稼業」 おれは空手家じゃない。空手を売る、空手屋だ。ライブハウスで空手の芸を売っている。ある日、同僚のシンガーの顔にあざが出来たことに気づいたおれは、解決に乗り出すことにした。 「陰態の家」 傀儡屋の多々良陣内は、「怖いもの」が出るという屋敷に招かれた。「それ」は大小さまざま、首がないもの、足がないもの、身体が二つに割けているものもいるという。怪異の正体とはーー。 他、「空飛円盤夢始末」「便利になったものじゃなあ」「法華悟空」「贄」を収録。 ここでしか読めない、夢枕獏短編の傑作選!

じゃないほうの歌いかたじゃないほうの歌いかた

出版社

文藝春秋

発売日

2025年8月27日 発売

落合南長崎の独立系カラオケ店「BIG NECO」では、今日もドラマが巻き起こる。 「カラオケの再現映像に出ていそうな女」と過去2回言われたことのある池田。 音が鳴らないトランぺッター・加賀と、その恋敵・サナ。 反抗期の娘と暮らす、元俳優の佐藤待男。 74歳にしてカラオケでアルバイトをする謎の老人・石崎さんと、 石崎さんを心配する指導役アルバイター・小野。 「E.YAZAWA」のステッカーを集め続ける、売れない作家・染井暖。 うだつのあがらない凡人たちが起こす、ちょっとした人生の奇跡ときらめき。 穂村弘さんーー 「夢を諦めてはいけない、何者かにならなくてはいけない。 そんな声がずっと聞こえていた。 世界には自分しかいなかった。 でも、本書を読み進むうちに、呪いは薄れてゆきました。 そこは未知の世界でした。 自分のほかにも人間がいた。 何者かわからない住人たちに奇妙な親しみを覚えました」 柚木麻子さんーー 「カラオケボックスでの出来事は、言語化されることは滅多にない。本作は、あの数々の奇跡をとらえ、ときほぐし、我々がなんでカラオケを愛するのかを、ささやく、のではなくハンドマイクで熱っぽく伝えてくれる」 佐伯ポインティさんーー 「人生の憂鬱に抵抗するには、魂に叫ばせてあげるのが一番だ。 人生いろいろある登場人物たちがカラオケを通して、真っ直ぐ希望を歌うJ-POP歌手たちに元気をもらう姿は、受けた光を乱反射するミラーボールのように美しくて愉快!」 エピローグで明かされる、本書全体を通した仕掛けには思わず笑ってしまうこと間違いなしです。

GB84 上GB84 上

イギリス最古の文学賞 ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞 受賞作品 刮目せよ、これは暴動と叛乱の文学である。 グレート・ブリテン、84年ーー大英帝国は内戦の瀬戸際にあった。 1984年。サッチャー首相率いるイギリス政府は一方的に炭鉱の閉鎖を決定した。これにより失職する労働者は二万人。これは宣戦布告だった。 炭鉱労働者の組合NUMのトップ、アーサー・スカーギルは告げたーー 我らの生活を守るため、ストライキを実行せよと。 だがストライキは収入の途絶を意味する。困窮する労働者たちのために、組合の中枢にいあるテリー・ウィンターズは奔走する。だがウィンターズには秘密があった。彼は同志を裏切っていたのだ。 ニール・フォンテインは始末屋だ。サッチャーの意をうけてストを潰すために暗躍する〈ユダヤ人〉の腹心だ。ニールは権力者たちの密談に耳を傾け、権力と手を組んで、労働者たちを潰してゆく。 〈修理工〉ことデイヴィッド・ジョンソンは雇われの暴力者だ。だがお偉方の腰巾着どもが卑劣な手段で彼を脅し、スト潰しの汚れ仕事を強制する。 そして政治と警察と労働運動の策謀が衝突し、軋みを上げる中、ストライキに身を捧げる労働者たちは困窮してゆくーー盗聴器がカチ・カチと音を立て、警官たちがガチャ・ガチャと装備を鳴らし、労働者たちを追いつめる。棍棒を振り下ろす。国家が監視し、脅迫し、暴力をふるい、叛乱の芽を踏みにじる。現代犯罪文学の旗手デイヴィッド・ピースが国家の暴力を描き尽くす。 ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞ーーウィリアム・ゴールディングやクッツェーといったノーベル文学賞受賞者も輩出、マキューアン、マッカーシー、フランゼン、ゼイディー・スミスらも受賞者に名を連ねる。『GB84』は2004年度の受賞作。84年の炭鉱ストライキをモチーフに、強者の残忍な策謀と、弱者の悲痛な叫びをデイヴィッド・ピースは刻みつける。原稿用紙換算1500枚、圧巻の60万字。この巨体に充満するのはパンキッシュな怒りであり、言葉で世界を転覆せんとする意志だーーノワールとは文学によるテロリズム、言葉による叛乱なのである。ジェイムズ・エルロイ『アメリカン・デス・トリップ』、馳星周『煉獄の使徒』に匹敵する暗黒の全体小説。

GB84 下GB84 下

ストライキを潰すための汚れ仕事に従事する男たち。 その忌まわしい罪が彼らを狂わせてゆく。 押さえ込め。罠にかけろ。 帝国を揺るがす叛乱の息の根を止めろ。 おそるべき暴動の文学、ここに誕生す。 タイムズ、ガーディアン、オブザーヴァー、 サンデー・タイムズほか 英国高級紙がそろって絶賛! ストライキは30週間に迫り、国家による弾圧は激化の一途をたどる。首相マーガレット・サッチャーはストを続ける者たちを「内なる敵」と呼び、「自由にとって危険だ」と言い切った。組合の資産を差し押さえる訴訟が起こされ、警官は大軍を成して鉄拳を振るう。 サッチャーの意を受けてスト潰しに暗躍するスティーヴン・スウィートはカネを集め、策謀を練り、資本主義を守るためにカネをばらまく。その腹心ニール・フォンテインは汚れ仕事の手配をしながら過去の罪のもたらす悪夢に苦しむ。 デイヴィッド・ジョンソンは復讐のために動き出し、盗聴のエキスパート〈ティンカーベル〉ことマルコム・モリスは忌まわしい事件の真相を収めた録音をひた隠す。そして組合とともに徐々に追いつめられるテリー・ウィンターズは愛人ダイアンの手引きでリビア政府からの資金援助の申し出に応じ、最高指導者カダフィ大佐との会見に臨むがーー 歴史は告げる、1984年のイギリス炭鉱ストライキは1985年の3月に労働者側の敗北で終結すると。己の罪と恐怖に囚われた男たちの眠れぬ夜は、いかなるかたちで終わるのか? 現代イギリス文学の傑作にして唯一無二のライオット・ノワール。

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