出版社 : 文藝春秋
郊外の駅で、深夜に首だけの死体が発見された。連絡を受けた宇野と夕子が駆けつけると、持ち主を名乗る男が現れる。そこには、ある親子の悲しい過去が隠されていたのだ。そんな中、生首が忽然と消えてしまいー。大好評“幽霊”シリーズ第28弾。
紅雲町にやってきた、親切と評判の五十過ぎくらいの男。ある日彼は小蔵屋を訪ね、草に告げた。「私は、良一なんです」草が婚家に残し、三歳で水の事故で亡くなった息子・良一。男はなんの目的で良一を騙るのか、それともー。
昭和29年、大阪城付近で政治家秘書が頭を麻袋で覆われた刺殺体となって見つかる。大阪市警視庁が騒然とするなか、若手の新城は初めての殺人事件捜査に意気込むが、上層部の思惑により国警から派遣された警察官僚の守屋と組みはめに。帝大卒のエリートなのに聞き込みもできない守屋に、中卒叩き上げの新城は厄介者を押し付けられたと苛立ちを募らせるがー。はぐれ者バディVS猟奇殺人犯、戦後大阪の「闇」を圧倒的リアリティで描き切る傑作長篇。
ネトゲ廃人で自宅警備員の俺は、親に追放されるように離島での暮らしを始める。金銭面の不安解消のためにニート仲間を集めてシェアハウスを営むうちに、ゲームの中だけにあった俺の人生は、少しずつ広がってゆき…。青い海と空のもと始まる、人生の夏休み!
全米図書賞、最終候補作。 四世代にわたる在日コリアン一家の苦闘を描いて全世界で共感を呼んだ大作、ついに日本版刊行成る! 日本に併合された朝鮮半島、釜山沖の影島。下宿屋を営む夫婦の娘として生まれたキム・ソンジャが出会ったのは、日本との貿易を生業とするハンスという男だった。見知らぬ都会の匂いのするハンスと恋に落ち、やがて身ごもったソンジャは、ハンスには日本に妻子がいいることを知らされる。許されぬ妊娠を恥じ、苦悩するソンジャに手を差し伸べたのは若き牧師イサク。彼はソンジャの子を自分の子として育てると誓い、ソンジャとともに兄が住む大阪の鶴橋に渡ることになった…… 1910年の朝鮮半島で幕を開け、大阪へ、そして横浜へーー。小説というものの圧倒的な力をあらためて悟らせてくれる壮大な物語。構想から30年、世界中の読者を感動させ、アメリカ最大の文学賞・全米図書賞の最終候補作となった韓国系アメリカ人作家の渾身の大作。 アメリカで100万部突破。オバマ前大統領、推薦。
さまざまな苦難に耐えながら、彼らは強く生き抜こうとする。 在日コリアン一家の苦難の物語は戦後へ。 「物語」というものの圧倒的な力を見せつける大作は1989年に幕を閉じる。 劣悪な環境のなかで兄嫁とともに戦中の大阪を生き抜き、二人の息子を育てあげたソンジャ。そこへハンスが姿をあらわした。日本の裏社会で大きな存在感をもつハンスは、いまもソンジャへの恋慕の念を抱いており、これまでもひそかにソンジャ一家を助けていたという。だが、早稲田大学の学生をなったソンジャの長男ノアが、自分の実の父親がハンスだったと知ったとき、悲劇は起きるーー 戦争から復興してゆく日本社会で、まるでパチンコの玉のように運命に翻弄されるソンジャと息子たち、そして孫たち。東京、横浜、長野、ニューヨークーー変転する物語は、さまざまな愛と憎しみと悲しみをはらみつつ、読む者を万感こもるフィナーレへと運んでゆく。巻措くあたわざる物語の力を駆使して、国家と歴史に押し流されまいとする人間の尊厳を謳う大作、ここに完結。 AppleTVでドラマ化決定。
独裁者か、それとも英雄か?「クソみたいなキューバを変えられるのは、カストロしかいなかった」アメリカ傀儡政権から、祖国を取り戻した男の闘いを描く。
お母さん、聞こえる?私は、生きていくよ。幼くして命を落とした弟。心ない世間の声に抗い、それでも母は、自由に生きたー。ブラジルの大地に舞い上がる赤い砂に、母と娘のたましいの邂逅を描く渾身のデビュー小説。
満月の夜にだけ現れる満月珈琲店では、優しい猫のマスターと星遣いの店員が、極上のスイーツやフードとドリンクで客をもてなす。スランプ中のシナリオ・ライター、不倫未遂のディレクター、恋するIT起業家……マスターは訪問客の星の動きを「詠む」。悩める人々を星はどう導くのか。美しいイラストにインスパイアされた書き下ろし小説。
最新鋭ステルス戦闘機F-35が太平洋に墜落!「航空機の事故には必ずウラがある」国産の「銀翼」開発に挑む技術者たちは、事故の真相を突き止め、ミッションを遂行できるのか!業界に精通する著者が「タブー」に切り込んだ傑作サスペンス。
動くものと動かないもの。越えてはならない一線ー情熱的なアナベルと、聖女のように穏やかな妻。ワシントン近郊での二人の女性との関係を描く表題作ほか、至高の女性像に迫る短編2編。
大阪万博、三島由紀夫の自決、五つ子ちゃん誕生、ロッキード事件、グリコ・森永事件、密林に二十八年身を潜めていた元日本兵ー。もはや忘れ去られてしまった無数の「虚構ではない人生」を通じて、あの「蒙昧」の時代の生々しい空気が浮かびあがる。変幻自在の語りを駆使した芥川賞作家、会心の作。
マーティン・ルーサー・キング・ハイスクール。ドラッグの密売で強大な力を持つ生徒リドリーと、それを黙認する校長ダームーディーの独裁下、暴力の日常的に吹き荒れる高校。生徒のほとんどが格闘技を身につけなければ生きてゆけない我が校を、人は「カンフー・ハイスクール」と呼ぶ。わたしはジェニー、15歳、女子。兄のキューとともにカンフー高に通う。だが、わたしのいとこで世界的なカンフーの達人、ジミーが香港からやってきた日から、カンフー高は揺れ始める。もうこの拳は振るわないと誓うジミーだったが、学園の暴力者たちは意に介さず、事態はエスカレートしてゆく…金曜日、すべては暴力のカオスとなって爆発する。殺らなければ殺られる。だからわたしは殺るー気鋭のノワール作家がブルース・リーへの愛をこめて書き上げた問題作。英米各誌で『キル・ビル』『ファイト・クラブ』『アメリカン・サイコ』と並び称された、ポップでイカレて残忍なスクール・バイオレンス。
椎名きさらは小学五年生。母子家庭で窮乏している上に親から“水責めの刑”で厳しく躾けられていたが、ある時から自分が虐待されているのではないかと気づき始める。一方、JR川崎駅近くの路上で、大手風俗店のオーナーが刺し殺された。かつて店で働いていた椎名綺羅が捜査線上に浮かぶが、彼女には娘のきさらと一緒に自宅にいたというアリバイがあったー。社会派と本格が見事に融合した傑作ミステリー!