出版社 : 新潮社
しゃべりのプロだろ、教えてよ-あがり症が災いして仕事も覚束なくなった従弟の良や、気まぐれで口下手なために失恋ばかりしている美女の五月から頼られて、話し方教室を開くハメになった若い落語家の三つ葉。教室には苛めにあってる小学生や赤面症の野球解説者まで通ってきて…。嘘がつけない人たちの胸キュン恋愛小説。
強国晋を中心に大小いくつもの国が乱立した古代中国春秋期。気儖な君公に奸佞驕慢な高官たちが群れ従う斉の政情下、ただ一人晏弱のみは廟中にあっては毅然として礼を実践し、戦下においては稀代の智謀を揮った。緊迫する国際関係、宿敵晋との激突、血ぬられた政変…。度重なる苦境に晏弱はどう対処するのか。斉の存亡の危機を救った晏子父子の波瀾の生涯を描く歴史巨編、待望の文庫化。
太公望以来の斉の悲願、東方の国、莱の併呑。その重責を一身に負った将軍晏弱は僅か五千の兵でそれを成し遂げると宣言した。迎え撃つ莱の智将王湫は一万の精兵を束ね、虎視眈々と斉軍の到来を待ち受ける。圧政に苦しむ敵国の民。彼らの命を何よりも尊ぶ人倫の人、晏弱のとった戦略は凡百の策士には及びもつかぬ大胆なものだった。策略と計略が水面下で激しく交錯する緊迫の第二巻。
ハックルベリー・フィン以来の新しい少年像の誕生を予感させるピーター・ルロイ!!何時のことだったろうか、可愛い妖婦グリン姉妹のベッドにもぐり込んだのは-。豪邸ネヴスキー邸が焼失したことが唯一の大事件であるような、のどかな漁村。風変わりなグリン一家との交流-その中で、ちゃっかりとしたたかに成長してゆく少年ピーター。グリン姉妹との幼い性の芽生え-甦る少年の日の甘酸っぱくも、懐かしい冒険の数々…。
ピンク・レディーの「さよなら公演」が後楽園球場を満杯にしたその当日、新宿・歌舞伎町のライブハウス前では、ジョー小峰をひと目見ようと、小雨のなか長蛇の列が出来ていた。昭和55年から始まった素人芸を全面に押し出す漫才ブーム。テレビに席巻されたお笑いの「55年体制」に逆らうように、鋭利なジョークを飛ばし続けた天才芸人の栄光と挫折。長年の沈黙を破って荒木一郎が世に問う、待望の書下ろし小説。
チンパンジーの言語能力を研究する科学者・井手元のもとで飼育されている天才チンパンジー、カエデ。人間の言葉を理解しているというカエデは、ある事件の唯一の目撃者だった?!井手元が失踪した今、残されたチンパンジーだけが事件解決の鍵を握っている…。ヒトとチンパンジーの混血種は言葉を持つことができるのか-科学者の野望が渦まくなか、物語は、二転、三転。「知性」という名の密室に挑む、超絶ミステリー。
ならず者の銀平は、山谷の茶屋女、お紋のヒモ。美人局で江戸を荒し回った挙げ句、長崎行きを思い立った。母親と自分を捨て長崎で海産物問屋を営む父親を強請ろうというのだ。一方、お紋にも当てがないわけではなかった。馴染みだった役人が確か長崎に行っているはずだ…。ニヒルな二人の腐れ縁を描く表題作等十一編。市井に生きる男女の愛欲を推理短編の手法で活写する時代小説集。
二百回忌はただの法事ではない!この日のために蘇った祖先が、常軌を逸した親族と交歓する、途方もない「一族再会」劇なのだ。二百年分の歪んだ時間の奥に日本の共同体の姿を見据えた表題作は第7回三島由紀夫賞を受賞した。他に、故郷への愛増を綴った「ふるえるふるさと」など、日本のマジック・リアリズムと純文学のエキスが凝縮された、芥川賞作家の傑作集。
都会の小さなマンションに住む三人の男女。彼らの時間は常に穏やかに流れ、そして猫とともにあったー。束縛や既成概念にとらわれることを嫌い、「猫のように」ふわふわと生きていく人々。そんな彼らの周りに起きる出来事や交わされる会話を、柔らかく、しかし芯の通った筆致で描いた中編二編を収録。『この人の閾』で芥川賞を受賞した著者の、猫に対する深い愛と洞察に満ちた一冊。
財務省秘密検察局ー通称シークレット・サービス・ホランド・タイロはその新人特務員である。彼女は次期大統領有力候補、ウェストボーン上院議員の警護を命じられるが、誤って暗殺者の侵入を許し、ウェストボーンは惨殺されてしまう。事件の裏には、恐るべき政治スキャンダルと陰謀が渦巻いていたー。鍵を握るフロッピーディスクを巡って、見えざる敵との戦いが火蓋を切る。
フランクフルトを発ったクワンタム航空66便のホランド機長は絶句した。心臓発作の急患を乗せたジャンボの緊急着陸が拒否されたのだ。患者があるウィルスに感染しているというのが理由で、管制との交信がCNNにすっぱ抜かれると、欧州各国は次次と66便を拒絶。そしてCIAの副長官ロスは66便をある陰謀に利用する…。
持っているスーツは1着、パジャマは40着。現実から逃れ「眠り」の世界を追求する不眠治療医ジョゼフは、謎の中国人骨董商から買った古いジャズレコードにヒントを得、「眠りの装置」を発明する。毎夜パジャマに身を包み、真の眠りを目指した彼が彷徨った夢と現実の世界とは?古今の文学的伝統と教養から広く着想を得、幅広い知識を作品にちりばめて、エスプリとウィットに富んだ独自の文学世界を築いている著者の鮮烈のデビュー作。
失踪した猟犬探しを専門とするアウトロー探偵・竜門卓。相棒の猟犬ジョーとともに、北大阪の山林の丸太小屋に事務所を構える。犬探しの依頼が、数々の事件を巻き起こしていくー。野性、狩猟、そして男の生き方と友情を綴った、ちょっと泣かせるハートウォーミングな連作短編4編。惜しまれつつ逝った“永遠の不良老人”作家の遺作にして、ハードボイルドのひとつの到達点である。
ジョージア州の老人ホームで余生を送るポールが、生涯のなかでもっとも忘れがたい1932年の出来事を回想しながら書いているこの物語も、そろそろ終わりージョン・コーフィの処刑が目前に迫った時、ポールは恐るべき真実を知った。そして…。死刑囚舎房で繰り広げられた恐怖と救いと癒しの物語もいよいよ完結。分冊形式ならではの幾重にも張られた伏線と構成が導く感動の最終巻。
刑事専門の弁護士ダンはフィラデルフィアに法律事務所を開いている。ダンはマラと別れた日に、スーザンと出逢い、いつしか孤独なふたりは恋に落ちていた。ヘラルド新聞の社主ピーターは自社の売却を考え、妻スーザンの強い反対にあい彼女と別居、共有財産とひとり娘の養育権までも奪おうと妻を破滅させるためにあらゆる手段を用いた。が、ある日、泥酔して階段から落ち死亡した…。
ピーターの死は他殺であると、一族のボルター家の人々は、殺人犯として妻のスーザンを告発した。ヘラルド新聞の女社主になったのも束の間、スーザンはダンに弁護を依頼、ダンは一瞬、躊躇したが彼女の弁護を引き受けた。恋人でもあるスーザンの無罪を立証するための調査をしていくうちに、ボルター家のスキャンダルが暴かれていく。そしていま、思いもよらぬ真実が明るみに出る…。
スパイは砂漠を越えてやって来た。ロンメル将軍が送りこんだアレックス・ヴォルフは、イギリス占領下のカイロで活動を開始する。切り札は花形ベリー・ダンサーのソーニャ。ヴォルフとコード・ブック『レベッカ』の謎を追うイギリス軍のヴァンダム少佐も、自身に想いを寄せるユダヤ人女性エレーネに危険な使命を与えたー。軍略と情欲が鮮烈に交錯する鬼才の秀作、満を持して復活。