出版社 : 新潮社
てめえがなんでやくざになって、二十年以上も足を洗わねえのか。時々、俺は考えてみるよ。どこか、やくざになりきれねえ。はぐれ者みてえなとこがあるのさ(「水の格子」)。獲物を狙う男の目線は、いつも猛々しい。しかし、所詮は棒っきれのようにしか生きられないやくざ者。やくざ者にしかわからない哀しみってものもある…。北方ハードボイルドの新境地を開く連作短編集。
映画監督コンスタンチンは25年ぶりにハリウッドを去り祖国ドイツの依頼で、ナチ占領下のフランスにいる。長年の夢「パルムの僧院」を映画にするため、愛すべき妻ワンダと若者ロマーノをまじえスタッフと共に南仏プロヴァンスで撮影に熱中していた。楽天家の彼に、忘れていた遠い昔の両親と自殺した姉の過去が去来する…。コンスタンチンと妻とロマーノの「愛と自由」への道を描く長編。
誰も私を愛してはいなかった…。みんな私を弄んでいただけ…。男はみんな同じ…。だけどもう一度だけチャンスをあげる…。それでも反省してないんだったら、私が息の根を止めてあげる…この白い刃であなたの頚動脈を愛撫してあげるわ…。マンハッタンを駆け抜ける狂おしい執念。刑事マックスは夫婦の不和にもめげず殺人鬼を追う。倒錯と官能のサイコ・サスペンス
「わたし」アーニーは成功した宝石商だが、外見には全く自身がない。ある日、唯一の親友レッゾが演劇学校をやめ、女友達のビリーを連れて、彼の家へ転がり込んできた。異様な集中力で戯曲を書きまくるレッゾ、甲斐甲斐しくその世話を焼くビリー、そして美男美女の二人をまぶしく眺めるアーニーの、奇妙な共同生活が始まったー。真実の愛の形を探ろうとする著者の、待望久しい第二作。
墜落事故の刹那に私は私でなくなったー。TVリポーターのエイブリーは辛くも現場から救出されるが、顔に重傷を負ったために、死亡した上院議員候補夫人と取り違えられてしまう。集中治療室で「夫を殺す」と囁かれた彼女は弁明の機会も与えられぬまま、夫人そっくりの顔へと形成手術を施される。記者魂を刺激された彼女は、真相を究明するまで夫人になりすまそうと決意した…。
心優しきアウトローたちの溜り場だったフローティング・ホテル〈シリウス号〉。経営難から悪辣なギャングたちに買取られる当日、船はひそかに朝まだきの海を出航した…。ささくれだった現実を振り捨ててクルーとなった奇妙な仲間たち。追いすがるギャング、迫りくる嵐。黄金のありかを捜し求めて、〈シリウス号〉は今日もゆく-。大人の童心をくすぐる痛快無比の冒険譚。
響子は夜久村の山野を母胎に生まれ出て、自然児として育ち、人間本来の衝動のままに男と交わり、自然と感応して輝いている。子を生んでも結婚はせず、世間の常識や村の掟からはなれて自由に生きる響子は、その凶まがしさを力に心々の心をとらえ、事件をひき起こしては夜久村を揺り動かす-。性愛にも血縁にも縛られず奔放に生きた響子は、死によって生まれない以前の世界「不生」に至り、物語はその娘・風子を介して、「微笑」の世界へと回帰していく…。自然・エロス・生命、待望の四部作完結篇。
セントラル・パークで日本人観光客相手に物乞いをする男は、私の夫だった人なのか…。戦後沖縄に駐留したアメリカ兵と結婚したカナ。出ていったまま帰らない夫の消息を三十年後に聞かされた彼女は、自分自身思いもかけない衝動に突き動かされ、ニューヨークに出かける。沖縄の基地のある町の盛衰を背景に描く悲喜こもごもの人生。短編小説集。
銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。日本推理サスペンス大賞受賞。
人気大関、横綱昇進を辞退。前代未聞の騒動に困惑する角界をよそに、当の大龍は死んだはずの父の姿を求めて街をさまよっていた。彼の身を案じる幼な馴染の恋人、親友。そして彼らの集団就職を世話した恩師の死体がー。貧困の故に薄汚い欲望の犠牲となって翻弄される彼らの悲劇と、未解決事件の犯人逮捕に異常な執念を燃やす老刑事の姿が交錯する、出色の相撲ミステリー。
臨床医として腕を磨きながら大学院に進んだ高村伸夫は、アイソトープを使った骨移植の動物実験に打ち込み学位論文にいどむ。初めて大きな手術の執刀者に指名された日の興奮と緊張。そして死と常に隣合わせている病院で患者達が示す、ほかでは決して表に出すことのない様々な態度に接し人間への理解を深めるとともに、看護婦・土屋和子との愛を育む。希望にみちた日々を描く第三作。
助手として医局で順調な歩みを続ける高村伸夫は、他方で、自分が医師として体験し目撃した事柄を小説に書き表したいと思うようになる。そうして診療の合い間に書いた作品が思いがけなく同人雑誌新人賞を受賞し、続いて芥川賞の候補作となる。周囲の驚きの中で、その直後、伸夫は同期や先輩を飛びこえて母校の講師に任じられる。医学か文学か、再び訪れた戸惑いの季節を描く第四作。
植物状態の患者の病室に、ある夜何物かが侵入し、病人の殺害を計ったが発見され逃亡した。警察の事情聴取は進むが、動機のありそうな人物は一向に浮ばない。病人に「死なれては困る」人間はいても、「殺したい」人間は皆無なのだー死角を突いた巧妙なトリックの表題作ほか、手に負えない乱暴息子を殺された母親の複雑な気持を扱った「酷い天罰」など、現代的な犯罪を描く全四編を収録。
マルタの島ゴッツォで暮らす元傭兵クリーシィの平和は、爆弾テロによって破られた。愛する妻子を乗せたパンナム103便が、テロリストによって爆破されたのだ。クリーシィは復讐に立ち上がった。孤児マイケルを引き取り、自分の右腕にするために人間兵器として徹底的に鍛え上げた。一方、動きを察知した犯人側も、クリーシィ包囲網を徐々に狭めつつあったー。迫真のサスペンス。
二億ドルという巨額の保険金の掛かった競走馬が死亡した。保険調査員ブレイニーは死因確認のため牧場を訪れ、女性厩務員から、見慣れぬ人間が馬の首に注射をしていたという話を聞く。直後、彼女は事故で重傷を負い、ブレイニーも何者かに襲われた。一方馬主の富豪ガラティが資金不足だという噂が…。徐々に正体を現わすガラティの隠された過去と陰謀。大スケールの冒険ミステリー。
コヨーテに襲われた少年を助ける犬、戦闘中にやむなく殺された犬、家族に内緒で捨てられてしまった犬…。現代の英米文学を代表する作家たちによる、犬が登場する物語だけを集めた傑作選。ここに登場する犬は、チワワ、グレーハウンド、プードル、チャウチャウ、ゴールデン・レトリーヴァー、ブルテリア、グレートデーンetc.。犬に対する愛着と人間への愛情に満ち満ちたアンソロジー。
再婚した私に、ゴールデン・レトリーヴァーを連れて会いにきてくれた娘。自分の前世がコリー犬だったと信じている男。プードルのビンキーと暮らす101歳のグレタetc.。ジョーン・アップダイク、レイモンド・カーヴァー、アン・ビーティ、T・コラゲッサン・ボイル、マディソン・スマート・ベル、ドナルド・バーセルミなど、同時代の短編小説の名手たちによる、犬と人との物語。
NY市警麻薬取締責任者のジョーは多忙で、妻のメアリーは満たされぬ日々を過している。ふとしたきっかけで息子の野球チームの監督とかりそめの愛を交わすが、その時思わぬ悲劇が起きた。密会の場に見知らぬ男が闖入し、レイプされたのだ。自責の念と屈辱感に苦しむメアリー、裏切った妻への反感と犯人への憎しみに引き裂かれるジョー。敏腕のレイプ専門女性検事が活躍する問題作。