出版社 : 新潮社
英国の秘密情報部MRUに属するジャックに、奇妙な任務が下された。1970年代初頭、北アイルランドにパラシュート降下した工作員の死体を探し出し、その所持品を持ち帰れというのだ。ただし、目的はまったく明かされない。疑念を抱きながら、自前のトロール船でアイルランドへの航海に出たジャックを、何者かが銃撃してくる!冒険小説復権の鍵を握る、英国推理作家協会賞受賞作。
ツェッペリン型飛行船が、米国レークハースト上空で突然、爆発炎上した。これは単なる事故なのか、それとも何者かによる破壊工作か。この事故で死亡したとされた新聞記者のルントは、実は生きていた。彼は事故の真相を明らかにするため、あるナチス党員を追った。伝説の“ヒンデンブルク”から生還した昇降舵手の息子が、5年の歳月をかけて、綿密な取材を元に構築した驚異の小説。
“ヒンデンブルク”の大惨事をめぐって飛び交う様々な憶測。ルントが白羽の矢を立てたのは、昇降舵を握っていたボイセンだった。ルントは彼がドイツの北にあるフリースラント諸島に住んでいることを突き止める。しかし、そこの島民は驚くほど保守的で、ルントの調査は思うように進まなかった。挙句の果てにボイセンと接触したルントだったが、彼が耳にしたのは驚愕の事実だった。
1918年、「オデッサの星」は革命直後のロシアから出航した。極秘の荷物と乗客を載せてー。一方、現代の合衆国では、メイン州を原因不明の津波が襲う。さらにエーゲ海では、米海軍の小型潜水艦が何者かに乗っ取られ、旧ソ連の潜水艦基地へと運ばれた。すべてをつなぐ線上に浮かんだのは、帝政復活を目論む富豪ラゾフ。オースチンはかつての仇敵ペトロフと組んで、真相を探り始める。
ラゾフの狙いは、世界の海底に眠るメタン・ハイドレートと判明した。この未来の代替燃料を独占し、世界を一挙に支配下に置こうという野望。合衆国東海岸におけるメタン・ハイドレートの鉱床を突き止めたオースチンらは、その位置関係に慄然とする。かくしてNUMAの精鋭はペトロフの部隊と協力し、ラゾフの本拠へと向かった…。好評シリーズ第3弾は息詰まる結末になだれこむ。
夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するためにー。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫るー。
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。-天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて…。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。
父の故郷「南山」、母の故郷「多々羅川」、夫と娘を捨てて出奔した「名古屋駅」、作家としての出発点であり、男との複雑な関係も始まった「三鷹下連雀」そして「西荻窪」「野方」、ついに長年の出家願望を成就させた「本郷壱岐坂」。父、母を育み、様々な波乱を経て一人の女流作家が生み出されていった土地を、八十歳にして改めて訪ね、過去を再構築した「私小説」。野間文芸賞受賞作。
仕事に燃えるママの代わりに、育児に奮闘する洋介。息子を見る妻の眼差しに嫉妬を覚えつつも、平静を装う匡志。血が大の苦手なのに、立会い出産に臨むハルキ。事情はそれぞれ違うけど、子供を愛する気持ちは、みな同じ-頑張るパパの“超現実”を描いたユーモア溢れる小説集。
ライラが連れ去られてしまったことを知ったウィルは、二人の天使を伴って彼女を探しにいく。やがてウィルは森の奥深くで、母親に監禁されているライラを発見。ライラは薬によって眠りつづけていた。ウィルは“別世界への窓”を作ることができる神秘の短剣を使ってライラの救出を試みる。しかし、短剣はあっけなく折れてしまったー。冒険ファンタジーの最高峰、いよいよ完結。
やっと再会を果たしたライラとウィル。二人は黄金の羅針盤を頼りに旅を続ける。そして友達を救うべく“死者の国”へと向かう。しかし、それは最愛の守護精霊との悲痛な別れを意味することに。ライラは苦渋の決断を迫られる。一方、アスリエル卿は地上の楽園を求め、共和国建設の準備をすすめていた。アスリエル卿と“天上の王国”との、世界を二分する闘いが今、始まろうとしていた。
妊婦が惨殺されたー臓器と胎児の脳を摘出されて。ジミー・パス刑事はいきなり壁に突き当たる。押し入った形跡なし。被害者に苦悶の表情なし。犯人を目撃したはずの人物も、いっこうにその特徴を覚えていない。手がかりは、母体から検出された多種多様な化学物質と、現場に落ちていた奇妙な木の実だけだった…。知と血が絢爛に交錯する驚愕のスーパーナチュラル・スリラー、登場。
凶行は繰り返される。その動機も犯人も知っている人物はただひとり。身元を偽った人類学者ジェイン・ドウーいま、彼女が仮面を脱ぎ捨て、犯人の前に立ちはだかる時がやってきた。風がやんだ炎暑のマイアミ。都市機能が麻痺し、警察も市民も奇行に走るなか、呪術師たちの戦いが火蓋を切るー。文化、科学、宗教、人種と、21世紀が抱える難題を巧みに織り込んだ力作に全世界が瞠目。
この俺が、超赤字テーマパークを立て直す?!たとえ何にもしなくても、毎朝デスクにたどり着きさえすれば満点なのが、正しいお役所ライフのはずなのに…。最愛の妻に可愛い子供と過ごす優雅なアフター5はどうなっちゃうんだ?地方都市の村興しと権力闘争に翻弄される公務員の、可笑しくてやがて哀しき奮闘を描く「宮仕え小説」の傑作。
ジュリアは結婚した。贖罪のため想いを捨てて。だが幸福な生活の中、ふと甦る疼き、迫られる決断。コナーとエド、ジュリアが下した決断とは。娘の成長がもたらす嫉妬と煩悶とは。そして、思いもよらぬ死がもたらすものとは…。全世界2500万部のメガセラー作家が問う夫婦の愛、親子の絆、究極の愛のかたち。
愛したことが間違いなんじゃない。ただ少し、愛し方を間違えただけー。完璧に家事をこなす妻を裏切り、若い女と浮気する木島。妻が化粧をするのを許さなかった原田。婚約寸前の彼女がいるのに社内で二股かれた洪一。仕事のために取引先の年上女性に近づく孝次…。裏切られても、傷つけられても、性懲りもなく惹かれあってしまう、恋をせずにいられない男と女のための恋愛小説9篇。
都に異変が起こる。ものみな凍りつき、春が来ない。根の国の主、無明王の仕業らしい。これまで道長を助けてきた、超能力を持つ少年楽師真比呂も、無明王に捕らわれてしまった。そこで道長は海を渡る。変身する白馬にまたがり、猫の化身を供につれて、妖怪どもと対決するために。好評「平安妖異伝」シリーズ、待望の新作長篇。