出版社 : 新潮社
トム・ブッカーは馬の心を知って馬を自在に操れる男、ホース・ウィスパラーだった。雑誌編集長の座を失う危険も顧みず押しかけたアニーの強引さに負け、ピルグリムの治療を引き受ける。モンタナの大自然の中、馬と少女は徐々に心を開いてゆく。アニーはいつしかトムへの激しい愛を感じ、やがてそれは第二の悲劇へとつながっていく…。貴方の心を癒し魂を揺さぶる、真実の愛の物語。
南アフリカの刑務所からテロリストが脱獄した。比類なき有能ぶりから「コードネーム・ゼロ」と呼ばれるこの男は、大富豪ダイスンと共謀し、世界経済を崩壊させる空前の爆弾テロ計画を企てる。一方、離婚後ひとり息子を育てながらFBIの仕事を続ける女性捜査官セーラは、とある娼婦殺害事件をきっかけに彼らの計画を知る。迫り来る爆発時刻ー。ハイテク技術満載の問題作に全米驚愕。
その夜またモスクワの路地裏に転がった死体からは、髪の毛とボタンが奪われていた。民警のダニーロフは、猟奇的な手口から連続殺人犯は異常者だと考える。だが被害者のひとりがアメリカ大使館員の女性だったため、事件にはFBIが介入することになった。風采のあがらぬロシア人刑事ダニーロフと、翳りをおびたFBI捜査官カウリーによる共同捜査が始まったが…。新シリーズ誕生。
七年の服役後、ピアスは最後のヤマを踏んだ。強盗嫁業の誇りを賭けて。襲撃には見事成功するが、最悪の訃報が待っていた。一人娘が、制服の女性を狙った連続快楽殺人の犠牲者になったのだ。ピアスは急いだ、フロリダへ。地元の娼婦を案内役に、灼けつく街をぎらつく執念で、彼は嗅ぎ回った。やがで、被害者の唯一の共通点から、犯人像が焦点を結んだ…。熱き魂が迸るアウトロー・サスペンス。
数々の恐怖と苦労の試練のはてに、子蓉のもとにたどりついた顔回。生命力を蝕む冥界からの一刻も早い脱出が必要だ!冥界の掟に反した、三人そろっての帰還にあくまで固執する顔回に、子蓉は黄泉を欺くための奇想天外な方策を提案する。…。中島敦記念賞受賞。
この世の良識と教養を嗤い、血をわけた子を子と思わぬ、わが父、織田信長-。かくも大きな父に認められかくも大きな存在を越えようと、次男、信雄はひとり煩悶し、ひそかに伊賀忍びに戦いを挑み、初めて心を許せる大人に出会った。その名は明智光秀-。父と子であることの狂気と病、血と血が斬り結ぶ、相剋のドラマ。
なぜ自分にこの親、この兄弟姉妹なのか。いつもやたらとベタベタしているのに、実はバラバラだったりする。「家族」って、よくよく考えてみれば、ヘンなものだと思いませんか?この本には、なかでもきわめつけのヘンな家族が登場します。深夜、息子がいきなり彼女の死体を連れて帰ってきたり、夫婦の寝室に「ママ」がいたり…。これに比べれば、お宅はまだまだ大丈夫でしょう。
夫の態度が急に変わったのは浮気、それとも?美人女優とキスした夢から喜んで目覚めると…!終電間際の駅で連続して死傷事件が起きた理由は?添加物に汚染されていない究極の自然食品を探したら…。ドキドキするような艶っぽい話から、ゾッとするような日常の恐怖まで、それぞれ鮮やかな手品のようにトリックを効かせたショート・ショート集。一日一話で一ヵ月を愉しむ全31篇。
「汚くしてるけどおいでよ、おいでよ」というので、およそ十年ぶりに会ったこの人は、すっかり「おばさん」の主婦になっていた。でも、家族が構成する「家庭」という空間の、言わば隙間みたいな場所にこの人はいて、そのままで、しっくりとこの人なのだった…。芥川賞を受賞した表題作をはじめ、木漏れ日にも似たタッチで「日常」の「深遠」へと誘う、おとなのための四つの物語ー。
当世の流行に逆らい、地味な鳶凧作りにこだわり続ける貧乏凧師、定吉。しかし、女房のおみねはまるで糸の切れた凧のように商売敵の男のもとへ…。定吉は、角凧作りを得意とする花形凧師銀次に、おみねを賭けた喧嘩凧を挑む。喧嘩凧では絶対不利の鳶凧を手にー。凧師をはじめ、化粧師、人形師など、江戸の生活を彩ったさまざまな職人たちの人間模様を丹念に織り上げた傑作短編集。
タフでクールな女コニーと、まじめで理性的な男ハリーは、カリフォルニア警察の特別プロジェクトに携わる警官。ある日彼らが昼食をとっていた店で、突然ひとりの男が銃を乱射しはじめた。ふたりは協力して犯人を射殺、事件は終わったかのように見えた。しかし、それは悪夢の始まりだった。同じ頃、その周辺では人間離れした巨体の不気味な怪物が出没していた。その正体とは…。
おまえを夜明けまでに殺してやる、チクタク、チクタク…。そう脅迫してくるあの恐ろしい怪物は、一体どこから来たんだろう?ハリーとコニー、それから元広告代理店勤務のアル中男と、ぽんこつ車で暮らすホームレスの母子と愛らしい飼い犬。彼らはどうやってあいつの正体を突き止めるのか。夜明けまではあと数時間ー。パワー全開で突っ走る、第一級のエンタテインメント大作。
ロサンゼルス都心部に完成間近の25階建ての「グリッドアイアン」は、エレベーター運行から空調・照明・掃除・警備、尿検査による従業員の健康管理まで、全てをコンピュータで管理するインテリジェント・ビル。だが、その中で技師や警備員の連続変死事件が発生する。しまいには、建築家を始め、建設関係者全員が内部に閉じ込められて…。ビルが人間を襲うパニック・ホラー決定版。
ノルマンディ上陸作戦の最激戦地オハマ・ビーチー。連合軍は、ドイツ軍の激しい抵抗に遭い、甚大な損害を被った。レインジャー部隊のミラー大尉は、部隊の生き残りと共にトーチカを攻撃し、敵陣地を奪取するが、その後、彼は野外作戦司令部に呼び出されて、上官から極秘命令を受ける。それは、敵地の奥深くに降下した空挺部隊の兵士ライアンを捜し出し救出することだった…。
老母と暮していた兄嫁が急死。不測の事態にもめる親族。介護問題は親子の歴史、夫婦の過去をあぶり出す…。老母をひきうけた娘夫婦もすでに60代-老母の介護は自分たちの老後の不安とも重なる。介護者がいなくなったら?介護保険はどうなるのか?老母の現在から老いのプロセスを逆照射して自分の老後、“社会的介護”をともに考えるリアルな書下ろし小説。
ゆすりたかりに押し込み、殺しで、獄門となるはずだった囚人・音次。が、市中引廻しの最中に、なぜか縄が解けて脱走する。牢屋同心は責任をとって切腹、その息子・角之助は、父の仇を討つため、岡っ引の子分となって音次の行方を探す。次々と裏切り者を始末する音次と追いつめる角之助、二人をめぐる女たち。悪の巣と化した邪淫寺を舞台に、江戸の闇を描くピカレスク時代長編。
ウォール街の大手法律事務所。30万ドルを超える年収。妻とふたりの息子。ヤッピー弁護士のベンは、それでも満たされぬ思いを抱いていた。そして妻の不貞に気づき、激情に駆られて凶行に及んだあとで、ベンはそれまでの自分をも葬ることを決意した…。エリートから逃亡者へ、ニューイングランドからモンタナへ。数奇な運命と皮肉な結末をスリリングに描き、全米を震撼させた問題作。