出版社 : 新潮社
海辺の小さな町イーストウィックに住む3人の魅力的な現代の魔女たち。魔女といっても、いずれも30代の女ざかりで、離婚して子供を抱え、彫刻家、チェロ奏者、新聞記者と自立した生活を送っている。時には小さな魔法で恋のとりもちをしたり、意地悪をしてみたり。そんな3人の前に、いわくありげな中年の独身男が現れて…。女性の優しさと恐ろしさを映しだす大人のための現代の寓話。
自分の部下がCIAに駆け込むという致命的失態を演じたKGB第一管理本部長は、亡命者の信頼性を失墜させる起死回生の策として、自ら発案した偽装亡命者となってアメリカに赴いたー。国を裏切り、おのれも裏切られていくスパイたちの、孤独と悲哀に彩られた生と死のドラマ。表題作はじめ、モスクワ、ワシントン、東京、中東を舞台に手練の筆で描いた著者初の短編5作を収録。
父親譲りの刑事魂を持つパーマは、殺人課には珍しい女性刑事。悲惨な死体を見慣れている彼女も、今度ばかりは息を呑んだ。念入りな化粧、縛られた手足、全身に拡がる噛み痕、そして何とまぶたが切り取られている。同様の事件が続き、この種の犯罪の専門家、FBI分析官のグラントと協力して、パーマはヒューストンの上流階級に秘かにはびこる病巣に、足を踏み入れることになった。
ブルザールは裕福な女性ばかりを相手に成功している精神科医だ。患者は皆、幼い時に性的虐待を受け、その心の傷のために倒錯した性の世界に溺れ、苦しい二重生活を強いられている。ある種の先入観から犯人を特定しようとする殺人課の刑事たち、パーマに理解を示しながらもデータ分析の結果から犯人を捜すグラント、パーマは一人、犯人の気持に入りこみ、意外な真犯人を見つけ出すー。
ヨークシャーの農場主が首を切られて殺され、死体の傍らで彼の娘がつぶやいていた。「私がやった、でも後悔はしていない」-村人たちには彼女が犯人とは思えなかったが、娘は固く心を閉ざしたまま病院へ隔離された。その母と姉は過去に家出して消息不明だった…。既存のミステリーを超えて、平和な農村に起こった異常な犯罪とそれをとりまく複雑な人間関係を精緻に描く長編。
一緒に暮すことに限界を感じ、また人生の生甲斐をも見出せないポートとキットは、故国アメリカを捨て、本来の姿を取り戻そうという希望を抱いて、北アフリカへ旅立つ。夫婦と同行者タナーを待ち受ける時のない世界、サハラの砂漠は、彼らをそれぞれの苛酷な運命へと導いてゆく。圧倒的な自然の前に、脆くも崩壊する現代文明への鋭い批判に満ちた、戦後アメリカ文学の代表作。
姉妹のように仲良く育った、いとこ同士の美和子と梢の前に現れた治。治に魅かれつつ地味でおとなしい梢を気づかっていた美和子は、ある日突然、恋の鞘当てに敗れたことを知る。なぜ彼は梢を選んだのか?腑に落ちぬままに歳月を送った美和子はやがて意外な真実に驚愕する…。人生の岐路に立った時の人の心の七色の綾を鮮やかに描く連作短編集。
薬と暴力が疾走する砂漠に、謎の予言者が侵入した。だが、なぜ-。『ノーライフキング』の小説デビューから三年、いとうせいこうが、新しい時空の扉を開ける。
戦後すぐの東京に現れた「青銅の魔人」。その正体は-言わずと知れた二代目・二十面相。師匠の遺志を継いだ平吉の、やはり二代目・明智小五郎との宿命の対決は、クライマックスのどんでん返しへ。平吉を密かに応援するのは太宰治。その太宰の入水の報に、玉川上水に駆け付けた平吉は…。怪盗の側から綴る、奇想天外のニュー・冒険小説。
街も人も変わりつづける東京から、逃れるように渡ってきた南の島-。そこは政情の不安に揺れていた。秘密警察の暗躍、ゲリラの跳梁、そしてうさん臭い日本人の来島…。一触即発の危機的情況のなかで外部との連絡も断たれ、「理想の女性」と2人だけの奇妙で純粋な愛の時が。だが…。太平洋に浮かぶ小国を舞台に、笑いとサスペンスいっぱいに繰りひろげる〈陰謀と熱愛と冒険〉の物語。
道場を出奔し、名を変えて諸国を巡っていた白根岩蔵は、江戸に戻って金貸しの食客となる。折しも、老中・田沼意次邸で催された剣術試合に勝った岩蔵は、見込まれて水野道場の後継者となる。それを機に、岩蔵は秘伝書を成子雪丸に返すのだが、雪丸は岩蔵を恨まず、また秘伝書を見ようとしなかった。二人の青年剣士の対照的な運命を描きつつ、著者の最後の人生観を伝えようとした長編。
屈託のない上海時代に「とうさま」と呼ばれた父は戦後、失職し権威は崩壊した。母の名前を呼び続け父は死んだ…。私にも母にも懐かしいその父はいま山頂の墓地を離れロッカー式納骨堂に静かに眠る。14歳の夏長崎で被爆した私の生と死の現実を描く短編集。
プロ野球史上初、少女監督誕生!普通の女子高生だった由貴が、おじいちゃんの遺言で東亜ホワイト・ウイングスの監督に就任。それも、パ・リーグ万年最下位球団を優勝させなくちゃ球団は身売り。幼なじみで甲子園の優勝投手の柳葉くんが、入団してくれたけど…。強豪オリックス、西武、近鉄を敵に回して由貴の奮闘が始まったー。第2回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。
デビュー前、山の中のミュージックキャンプで出逢った不思議な女性たっちゃん。年下だけどゲーノーカイでの理想の先輩“猫”。人間嫌いだったけれど、ウィズ・ベイビーの幸福をみつけた学生時代の友人フミちゃん。遠い北の外国に暮らすテレサ。中島みゆきがめぐり逢った、優しく、そして逞しく生きる女たちー。彼女たちの奏でる、様々な人生のかたちを描く「女歌」に続く小説第2弾。
ウォール街のM&Aスペシャリスト、ライマンに、全米一の巨大メディア買収の話が持ちこまれた。相手はヨーロッパのマスメディアを一手に握る謎の人物、ブレッソン。莫大な手数料と、アメリカ人の価値観に影響を与え得るメディアを外国人に渡していいかという愛国心の間で、ライマンの心は揺れ動く。東西緊張緩和後の情報活動を扱って、新しいスパイ小説の方向を示す注目作。
冷戦後もソ連経済を監視すべきだという情報員ハイジの意見は、無視されたままだった。部下の死によって疑惑を深めたライマンは、彼女と協力してブレッソンの過去を探るが、家も家族も持たず、資金源さえ明かそうとしない男の謎は深まるばかりだった。一方、買収をしかけられたニューズ・ワールドウィーク社側は、アメリカのメディアが乗っ取られる危機感から結束し、反撃に出たー。