出版社 : 新潮社
ニューヨーク市警のはみだし刑事ニックは、所轄管内で2人の人間を殺害した日本人サトウの護送を命じられる。が、相棒のチャーリーともども大阪空港に着いた早々、出迎えの警官に扮した一味に、まんまとサトウを奪われてしまう。この大失態を挽回すべく、アメリカ人刑事コンビは、言葉もわからぬ異国の大都会で必死の捜査を始める。大阪を舞台に描く異色のポリス・アクション。
泥沼の戦争がつづく近未来の中米。米軍砲兵隊特技士官ミンゴラは、潜在的超能力開発の訓練を受け、特殊部隊に参加する。彼を特ち受けていたのは、悪夢にも似た非現実的な世界だった。ジャングルの奥深く、墜落したヘリの中で息づく人工知能コンピュータ。戦争の背後に蠢く2つの氏族。謎の女デボラ…。現代アメリカ文学の俊英が魔術的リアリズムで描く、21世紀の「地獄の黙示録」。
もしも、あの時、釣りに行くのを中止しなかったら、もしも、あの時、顔見知りに会わなかったら…偶然が重なって、一人の男が死んだ。ごく平凡に見えるこの事件に微かな違和感を抱いた刑事がいた…偶然性を扱った画期的な作品「偶然かしら」の他、一幕サスペンスの「歌で死ぬ」写真トリックを使った「仰角の写真」「印画紙の場面」など、9編収録のオリジナル短編集。
やっぱりあたしがついててあげなくっちゃー不思議な力を持つ少女アナは、スポーツ万能のケン、天才科学少年のロイドといっしょに、地球の危機を救う闘いに立ち上がる。マジカントの国の女王、クィーン・マリーの助力を得るため、世界中に散らばった八つのメロディを探す三人に、宇宙人の魔手が忍び寄る。恐るべき敵の正体とは?糸井重里入魂の超大型RPGを完全小説化。
酒場のカウンターで、年下の男から突然見せられた妻にあてた「ラヴレター」-。結婚十年目をむかえた夫婦の家庭に傍若無人に割り込んできた若者の、ひたむきだが不可解な言動の秘密を描いた表題作の「もうひとつの恋文」をはじめ、すぐには言葉にならない、様々な想いを抱きながら、都会の片隅で生きていく若い男女が演じる〈愛のドラマ〉五編。直木賞受賞作「恋文」の姉妹編。
日露戦争で満州軍参謀として日本の命運を担い、後に昭和の宰相となった田中義一。幕末に駕篭かきの悴として生まれた彼は、立身の手段として軍人の道を選び、近代国家の歯車となって生きることを決意する。義一は軍事大国ロシアの内情を探ることを命ぜられ、ペテルブルグに赴いて情報収集の秘密任務につくが…。明治の男の強烈な上昇志向と自己実現の軌跡を辿る書き下ろし長編小説。
30歳の公証人ローモンは、ひそかに若き美貌の未亡人フローラに恋をしている。しかし、彼女は小作人の息子で文学青年のジルダスに夢中だ。彼は、男たちを魅了している小悪魔的な小間使いのマルトと愛しあっている。そしてマルトの真実の告白が愛の悲劇を招く…。七月王政下の1930年代、フランスの牧歌的なアキテーヌ地方を舞台に、愛に生き愛に死んだ人間模様を描く長編恋物語。
エルサレムの丘でアラブ人らしい少女の全裸死体が見つかった。切り刻まれ、入念に洗い浄められて。一週間後、同じように、もうひとりの少女が殺された。辣腕警部シャラヴィと4人の部下は、全く手掛りを残さないこの犯人を、執拗果敢に追いかける。だが第三の犠牲者がー。想像を絶する異様な変質者の心理と、個性豊かな5人の刑事の艱難辛苦を、重厚な筆致で描いたサスペンス大作。
数々の難事件を解決した聖戦の英雄シャラヴィ警部と、記録あさりの名人シュメルツェル、巨大の中国人リー、アラブ系のダウド、新米のコーヘンーマスコミの妨害や政治的圧力にもめげず、捜査班は辛抱強く働くが、犯人はその輪郭さえ掴ませない。そして、ある日、シャラヴィの最愛の娘がいなくなった!半ば狂ったようにシャラヴィは、目星をつけた場所に突進する…。
かつて戦闘機乗りとして鳴らしたプロスのもとに、情報局からある依頼がきた。中国の特殊任務で潜入した彼の元同僚を、最新型ヘリ・リンクスで救出し、香港まで運んで欲しいというのだ。いやいや承知した彼の補佐には、美人諜報員のローガンが付けられた。香港へと向かう二人だが、その行く手には謎の中国人リンの執拗な妨害が待ち受ける…。高性能ヘリが活躍するシリーズ第一作。
「出張して本を読みます。文学書、ノンフィクション、その他何でも」幻想的熱情、性的憧憬、頽廃的媚薬ーどんな本でも美しい声で朗読するマリー=コンスタンス。車椅子の少年にモーパッサンの官能的な短編を、革命好きの女伯爵にマルクスを、多忙な実業家に愛のレッスン付きで教養書を。だけど老判事が強要した「ソドムの120日」は…。マリーが体験する不思議な危険な《愛の時間》。
アビーは父ディーン・ローソンの葬儀ではじめてレイチェルに出会った。レイチェルはディーンと愛人との間の娘だが、アビー同様、彼女もローソン家特有の鮮かなブルーの瞳を受け継いでいた。ディーンの没後、アビーは莫大な財産を相続するはずだったが、残されたのは借金だった。一方、レイチェルには多額の信託財産が遺されていた。ふたりの異母姉妹の宿命の葛動がはじまるー。
長いあいだ日陰の存在だったレイチェルは、これまでの恨みを晴らすために、競売に付されたローソン家の家屋敷と持ち馬を買い取る。アビーとレイチェルの立場はいまや完全に逆転した。そして、アビーと石油試掘師マックリーとの甘美な恋、レイチェルと実業家レーンとのロマンス。-テキサスの石油産業、アラブ馬の飼育事業を背景に、ふたりの異母姉妹がくりひろげる愛憎のドラマ。
鳥取の砂丘でテレビCM撮影中の舞妓に毒が盛られ、祗園花見小路では同輩が殺された。しかも、事件は意外な方向に飛び火し、俳優の元の妻に続いて、疑惑の俳優自身も、琵琶湖畔の別荘で謎の死を遂げる。それは自らの犯行を侮いての自殺だったのか、それとも他殺か?トリックの女王山村美紗が、舞妓小菊と高名な日本画家沢木のコンビを配して描く、斬新華麗なミステリー・ロマン。
「猫の蚤とりになって暮らせ!」-藩校始まって以来の秀才、剣術の腕前も並み以上、それなのに主君の勘気に触れ、「猫の蚤とり」となって女客めあてに春を売る侍の、奇妙な運命を描く表題作。獄中で一世一代の枕絵に挑む絵師、浮気が露顕して女房に追い出された商家の婿養子、将軍家好物のかれいの煮付けの小骨を抜く侍…。愛すべき江戸の男たちをめぐる6つの物語。
しがない安月給のサラリーマン、ダグラス・クウェールは火星への憧憬を拭いさることができず、架空の記憶を売る会社を訪ねた。クウェールの記憶の分析した担当の技術者は困惑の表情を浮かべた。すでに、クウェールの記憶中枢には火星での生活が刻みこまれていたのだ。さらに、その深層に隠された記憶を探ると…偽の記憶を扱った「追憶売ります」など12編収録のオリジナル短編集。