出版社 : 新潮社
時は戦国黎明期、大航海時代。火縄銃・銀・宣教師…世界につながる薩摩の海には、後の大乱の世の火種が流れ着いていた。島津宗家の四兄弟が、祖父・日新斎から受け継いだ「海内統一」「天下静謐」の大願。その鍵は、失われた明の巨大艦船を甦らせることにある。史実を基に、奇才が圧倒的な想像力で物語を展開。歴史小説の新時代の到来を告げるかつて無い戦国巨編が、いま始まる。
米国 NSA の局員アーヴァインは暗号解読の専門家。中東のテロリストを炙り出すためのプロジェクト「サイバー・シェパード」を立ち上げた。その矢先に世界各地で同時多発テロが発生するが、被害は最小限に止まる。その立役者は英国 M I 5 の諜報員サリーだった。次なるテロを阻むべく手を組んだ二人は、逃亡したテロリストの首魁アスワミーの行方を追ってサイバー空間を渉猟していくが……。
イギリスが検挙したテロリストを訊問したアメリカは、大失態を犯す。国家の思惑を背負いながらも互いに惹かれ合うアーヴァインとサリー。アーヴァインはアスワミ -に がるアドレス「スマートマン」を発見したものの、発信元にはたどり着けない。テロリストたちの真の狙いとは? 緊迫感が募 っていく中、サリーはある符合に気づいた……スパイ小説の巨匠が放つ迫真の電脳諜報サスペンス!
緑の蔦に覆われた大学の古い建物、深い霧に包まれる森。東部ヴァーモント州の大学に編入した主人公リチャードは、衒学的なモロー教授のもとで古代ギリシアの世界に耽 する学生五人と知り合う。そしてある夜、バッコス祭の神秘を再現する熱狂の中で凄惨な事件が起こった。美と恐怖と狂気が彼らを駆り立てる──『罪と罰』を彷彿とさせる傑作長編小説! 『シークレット・ヒストリー』を改題。
事件を知り、農夫の死に疑いを持 った一人の学生が、四月の雪の夜に崖から転落した。音信が途絶えた息子を探す両親。町中が狂奔し、古代ギリシア語クラスの学生たちにもFBIの捜査が入った。密議を重ねながらも、しだいに精神の平衡を失ってゆく四人。そしてリチャードにも危機が……。世界が注目する作家のデビュー長編! 『シークレット・ヒストリー』を改題し、村上春樹「解説」を収録。
いにしえのゲルマン人が育んだ、豊饒なる古典世界への扉を開く。古きゲルマン神話を伝える詩篇「エッダ」では、万物の父オーディン、槌をふるう雷神トール、ひねくれ者ロキといった神々と英雄たちが躍動する。欧州の初期中世文学に冠たる散文芸術「サガ」は、アイスランドの人々の生活や信仰、ヴァイキングの冒険などを生き生きと描く。日本における古北欧文学研究の第一人者が、古典のエッセンスを広く知らしめた名著。
バレエの天才として将来を期待される女子高生の澄乃。澄乃の通うバレエ教室では数年前、生徒が失踪するという事件があった。才能を磨き、一心に舞う澄乃をみつめる人々の心には、憧れや羨望、苛立ちや葛藤、様々な感情が過ぎる。退廃的で耽美な生を描く青春小説。
輪郭を失いながら輝き続ける、記憶の中のいくつもの場面。芥川賞作家、待望の受賞後第一作。旅先の妻の表情。大地震後の不安な日々。職場の千絵ちゃんの愛らしさーー。次第に細部をすり減らしながらも、なお熱を発し続ける一つ一つの記憶の、かけがえのない輝き。覚えていることと忘れてしまったことをめぐる6篇の連作に、ある秋の休日の街と人々を鮮やかに切りとる「文化」を併録。芥川賞作家による会心の小説集。
キミたちはみんな、もっと好きな人に、会えたのだろうか? 糸井重里、大根仁、小沢一敬、堀江貴文、会田誠、樋口毅宏、二村ヒトシ、悶絶! ある朝の満員電車。昔フラれた大好きだった彼女に、間違えてフェイスブックの「友達申請」を送ってしまったボク。43歳独身の、混沌とした1日が始まったーー。“オトナ泣き〞続出、連載中からアクセス殺到の異色ラブストーリー、待望の書籍化。
もしも二人に、別の物語があったなら……一枚の絵をめぐる哀切のラブストーリー。旅先の美術館で突然再会した一枚の絵。一糸まとわぬ姿で軽やかに階段を下りてくるのは、忽然と姿をくらませた謎の女。40年の時を経て、ほろ苦い記憶が甦る。あの日、もし一緒に逃げることができたならばーー。その想いを、物語にして伝える時がやってきた。人生の終局の煌めきを美しく描く、ベストセラー作家の新境地。
朝鮮特需に国内が沸く日々、坂井左織は矢島風美子に出会った。陰湿ないじめに苦しむ自分を、疎開先で守ってくれたと話す彼女を、しかし左織はまるで思い出せない。その後、左織は大学教師の春日温彦に嫁ぐが、あとを追うように、風美子は温彦の弟潤司と結婚し、人気料理研究家として、一躍高度成長期の寵児となっていく…。平凡を望んだある主婦の半生に、壮大な戦後日本を映す感動の長篇。「本の雑誌」2014年第1位。
間口二間の小さな店を開いたお瑛は今年十六。両親をなくし、兄の長太郎と立ち上げた「みとや」は三十八文均一の雑貨店だ。ところが能天気な兄が仕入れてくるのは、いわくつきの品物ばかりで…。不気味な守り刀、恋歌が書かれた五枚の不思議な絵皿、なぜか手に入った亡き父の煙草入れ。山ほどの算盤が意外な結末に結びつく表題作をはじめ、色とりどりの人間模様が心に沁みる情味豊かな六編。
幼馴染の美人双子、優衣と麻衣。僕達は三人で一つだった。あの夜、どちらかが兄を殺すまではー。十五年後、特捜検事となった淳平は優衣と再会を果たすが、蠱惑的な政治家秘書へと羽化した彼女は幾多の疑惑に塗れていた。騙し、傷つけ合いながらも愛欲に溺れる二人が熱砂の国に囚われるとき、あまりにも悲しい真実が明らかになる。運命の雪崩に窒息する!激愛サバイバル・サスペンス。
小学校一年生の時、結衣子の二歳上の姉・万佑子が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微かな違和感を抱き続けている。-お姉ちゃん、あなたは本物なの?辿り着いた真実に足元から頽れる衝撃の姉妹ミステリー。
九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。だがそこは、“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。男尊女卑が蔓延り、美しい遠乃は好奇の目の中、授乳もままならなかった。やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。
南條拓は一家で古河に移ってきた。緘黙症の長女、川崎病の長男の療養を考えてのことだった。技術に誇りを持っていた電気工の職を捨て、配電盤の製造工場で新たに勤めはじめた。慣れぬ仕事を一つずつ覚えていく。人間関係を一つずつ作っていく。懸命に根を張ろうとする拓だったが、妻との仲は冷え切っていた。圧倒的な文学的感動で私小説系文学の頂点と絶賛された最高傑作。伊藤整文学賞受賞。
ノブとハム子は、同じ団地に住む小学六年生。ともに“一人っ子”だが、実はノブには幼いころ交通事故で亡くなった兄がいて、ハム子にも母の再婚で四歳の弟ができた。困った時は助け合う、と密かな同盟を結んだ二人は、年下の転校生、オサムに出会う。お調子者で嘘つきのオサムにもまた、複雑な事情があってー。いまはもう会えない友だちと過ごしたあの頃と、忘れられない奇跡の一瞬を描く物語。
時は元禄、東北の小藩の山村が、一夜にして壊滅した。隣り合い、いがみ合う二藩の思惑が交錯する地で起きた厄災。永津野藩主の側近を務める曽谷弾正の妹・朱音は、村から逃げ延びた少年を助けるが、語られた真相は想像を絶するものだった…。太平の世にあっても常に争いの火種を抱える人びと。その人間が生み出した「悪」に対し、民草はいかに立ち向かうのか。
四月、俺の未来は薔薇色に見えた。浪人覚悟で受験した大学に合格、そこには面倒見のいい先輩と、あわよくば恋人がいて、大好きな漫画の話もできる、充実の日々があるはずだった。だが、漫画サークル「パラディーゾ」に入った俺を待っていたのは、奇人・変人の先輩たちとの日々。違う。待ってくれ。それに俺が気になるあの女の子は…。漫画への熱き想いを描く、切なく甘い青春小説。