出版社 : 早川書房
1985年、パリ。新学期が始まった月のある日、下校途中のアリスが誘拐された。エグゾセを継ぐ新ミサイル開発中のアンドレ・ベルナール空軍中佐の一人娘だった。誘拐犯は軍事科学情報の獲得を目的とする、東側とアラブ人からなるテロ・グループで、人質の片目を針でつぶしてから交渉に入る「シュテッカ」だった。この日から中佐の地獄が始まった。『元首の謀叛』の直木賞作家が、残虐なテロ・グループへの反撃を描く迫真作。
1995年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。マンハッタンの北端、インウッド・パークの洞窟で暮らしていることから“ケイヴマン”と呼ばれるホームレスのロミュルス・レッドベターは、クライスラー・ビルに住む悪の首領スタイヴェサントが世界征服を目論んでいるという妄想に取りつかれている。ある日、洞窟の前で仲間の死体を発見した彼は、犯人を探し出すべく、悪が巣食うダウンタウンへとただひとり乗り込んでいく…。いまアメリカでもっとも注目を集める気鋭の新人が、独創的な人物造形と詩的な文体で描く、話題沸騰のエンターテインメント。
裸の背に白い翼を生やしたゾアたちは、時間流の中を自由自在に飛びまわる。その一人ユリズンは、過去に手を加えて自らの理想郷を創りだそうと企て、18世紀の詩人ウイリアム・ブレイクを巻きこんで大規模な歴史改変を開始した。ブレイクの妻ケイトはこの計画を知るや、愛する夫を取り戻すためユリズンに必死の戦いを挑む。かくして壮大な時間戦争の幕が切っておとされた…謎とロマンに満ち溢れた、時間SFの新たな名作。
暴風雨に襲われたカンザス・シティ空港。乗客を乗せた最新鋭のハイテク旅客機が着陸に失敗、離陸を待っていた別の旅客機と衝突した。事故機には極右で知られる議員も乗っており、破壊工作の疑いもある。国家運輸安全委員会の主任調査官ウォーリングフォードは即座に現地に飛び、操縦ミス、天候など各方向から事故の分析を開始。だが原因究明に必要なヴォイス・レコーダーは、いくら探しても残骸から発見できなかった。
ハイテク機の操縦システムは強力な電磁波を受けると誤動作を起こす弱点があった。事故当時、現場には空軍の高性能レーダーがあったが、惨事直後、強引に持ち去られていた。このレーダーが事故の原因なのか。一方、ついに発見されたヴォイス・レコーダーにより、事故直前の機長と副操縦士の緊迫したやりとりが明らかになるが…。航空機事故の権威がハイテク化の進む民間航空の最前線に潜む危険を描破したベストセラー。
未解決の殺人事件の犠牲者は、生と死の間をさまよい、嘆き悲しんでいる-わたしにはそう見える。ローナ・ケプラーもその一人だった。十カ月前、彼女は死後二週間と思われる腐乱死体となって発見された。警察は殺人事件として捜査したものの、充分な証拠がつかめず、捜査を打ち切ってしまった。が、ローナの母親は娘が殺害されたと確信し、わたしに事件の再調査を依頼してきた。ローナの死後、差出人不明の、彼女が出演しているポルノのヴィデオテープが送られてきたという。調査が進むうち、次々とローナの不可解な面が明らかになってきた。極端な人嫌いにもかかわらず、深夜に男と出歩く癖があったこと。出所が分からない大金を所持していたこと。そして、密かに売春をしていたこと…謎めいた美女は、巧妙な殺人計画の犠牲となったのか。しかも、わたしの身辺にも、何者かの卑劣な罠が迫っていた。女探偵キンジー・ミルホーンの鋭い観察眼が、謎に包まれた事件の裏にある人間心理の暗部をえぐりだす。百万人に愛読されるミステリ界のトップ・シリーズ、待望の最新作。
三月の寒い夜、《ニューヨーク・タイムズ》の記者ムーアは、友人の精神科医クライズラーからの使いに叩き起こされた。呼び出された先は凄惨な殺人現場で、殺されたのは少年男娼。特異な手口の同様の犯行が、過去に何件も起こっていることが判明した。時に1896年。ニューヨーク市警の総監に任命されたばかりの、のちのアメリカ大統領セオドア・ルーズヴェルトは、この連続殺人事件解決のため、画期的な特別捜査班を設置した。「あらゆる人間の行動は、幼時の経験に左右される」という革新的な理論を唱える精神科医クライズラーを長とし、マンハッタンの犯罪社会にくわしい記者ムーア、市警初の女性職員サラなど、異色のメンバーが集まった。心理学を捜査に応用するなど、「殺人者は生まれつきのものだ」と信じられている社会にあっては異端そのものだったが、彼らは少年男娼を血祭りにあげる犯人の生い立ちを犯罪現場から推理し、混沌とした世紀末における異常殺人者の実像に迫っていく。だが、ある謎の勢力が彼らの捜査に妨害の手を伸ばしてきた…。世紀末のニューヨークを舞台にリアリテイとイマジネーションをみごとに融合させた、心理学的プロファイリングの事始めともいうべきサイコ・スリラー。
エキゾチックな顔立ちに小麦色の肌-写真の娘はまるで生きているように美しく見えた。見開かれた紫色の瞳は、なにかを訴えかけるようにカディを見つめている…。保険会社の依頼で人気モデルが絞殺された事件の調査を始めた私立探偵のジョン・カディは、警察で彼女の写真を目にした。どうやら警察は強盗の仕業と考えているようだが、五十万ドルもの保険金が掛けられていたことから、計画殺人の疑いもあった。折しもカディはマフィアのボス、トミー・ダヌッチから接触を受ける。殺されたモデルは実は彼の孫娘で、カディに犯人を見つけだしてくれというのだ。関係者の証言からしだいに明らかになっていく娘の意外な素顔。執拗な調査を試みるカディが突き当たったものは、マフィア一族の隠された過去と錯綜した人間関係だった…。アメリカ私立探偵作家クラブ賞を受賞した筆者が放つ、話題のハードボイルド・シリーズ第七作。
騎士階級の男が殺される事件が続発していた。そのさなか、財務官になった若き貴族デキウスは、神殿の地下室に隠された大量の武器を発見する。相次ぐ事件につながりはあるのか。法務官から特別捜査官に任命されたデキウスは、やがて大がかりな陰謀を探り出すが…紀元前のローマを舞台に、カエサル、キケロら実在の人物を交えて描く冒険歴史ミステリ第二弾。
人類最古のDNAを求める探索行で深傷を負ったマロリーは、海洋生物の形態をしたアガサン人のもとで、半人間半機械として再生した。だが「氷瀑」へ戻った彼は伝説的パイロットであるソリの暗殺計画で無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。はたして悲惨な獄中生活を生きのびられるのか、そして銀河の究極の謎は。全人類の存亡を左右する謎解明に命を賭けるマロリーの、波瀾に満ちた半生を描く傑作長篇。感動の完結。
18世紀、女王アンの命もあとわずかとなり、イングランドやスコットランドでは王位継承者について取りざたされていた。スコットランド高地地方に住む誇り高き男ロバート・ロイ・マグレガー、通称ロブ・ロイは、飢えに苦しむ一族を救おうとモントロース侯爵から千ポンドの金を借りた。だが、そこに思いもよらぬ罠がしかけられていた…おのれの名誉を守り一族を助けるため、雄々しく戦うロブ・ロイの愛と冒険を描く話題作。
連邦が戦乱に揺れるなか、惑星ハイペリオンでは「時間の墓標」が開き全ての謎が解明される時が近づいていた-人気作家シモンズが雄渾の筆致で描く傑作SF叙事詩ハイペリオン二部作の完結篇。1991年度ローカス賞受賞作。
高校教師ブレイン・エイヴァリーの身辺で不可解な出来事が起き始めたのは、夫のマーティンが自殺してから半年後のことだった。教え子の一人が手首を切られて殺され、死体の第一発見者となったブレインのもとに、奇妙なメロディーにのせた犯行声明の電話がかかってきたのだ。だが、警察は彼女の言葉を信じようとはせず、かえってアリバイのない彼女への疑惑を強めていった。やがて同じ手口で第二、第三の殺人が起き、そのたびに深夜の電話が。誰ひとり頼る者もなく不安に怯えるブレイン。ついに犯人の魔手は彼女自身にも…。
あらゆる苦痛が瞬時に癒され、不幸や恐怖の存在しない世界ー少年レアドが暮らすその世界に突如「苦痛」が蔓延した朝、人々の前に不思議な男が現われた。男はジェイスン・ワーシング、伝説の神と同じ名の持ち主だった。その日からレアドは、一万五千年以上にわたるジェイスンの波瀾の人生を何度も夢に見るようになる。夢が進むにつれ、やがて明かされる宇宙創造の秘密とは。人気作家カードの原点といえる傑作SF長篇。