出版社 : 早川書房
独裁政治と貧困にあえぐカリブ海の小国ガナエ。教職にある司祭のミシェルはある日、寒村から一人の若者ジャノーを連れてきた。ジャノーは優秀な学業成績を修めてカトリツクの僧になり、貧しい黒人を救う活動を始めた。そして、圧倒的な支持を得て彼は選挙で大統領に就任、ついに改革に着手する。だが、旧支配層や軍部の反発は激しく、クーデターの危機が!理想の政治をめざす男の熾烈な闘いをサスペンスフルに描く力作。
現代のミステリ界は“女性ミステリの新時代”ともてはやされるほど多くの女性作家たちが活躍している。それでもなお、小説や映画にいちばん多く登場する女性のタイプは、娼婦や残忍な殺人事件の被害者というのが現実でもあるのだ。本書にはそんな間違った認識と闘い、“自分の芸術を愛する”女性作家26人の短篇を収録してある。『ウーマンズ・アイ』に続き人気作家パレツキーが編纂したオリジナル・アンソロジー第2弾。
犬小屋や郵便受けが爆破される事件が相次ぎ、図書館の館長ジョーダンは運悪く腕に怪我をしてしまった。そんな時、土地開発会社に勤めるジョーダンの昔の恋人が上司と一緒に現われ、開発をめぐって町は大騒ぎに。そしてついに殺人が起き、さらに新たな爆破事件で死者が…アガサ賞、マカヴィティ賞受賞作『図書館の死体』に続く人気絶頂のシリーズ第二弾。
マンハッタンの地方検察庁で性犯罪訴追課を率いる地方検事補アレックスは、とある早朝、新聞で自分自身の殺害を報じる記事を読む羽目になった。高性能ライフルで顔面を吹き飛ばされた女性の死体が、アレックスの別荘で発見されたからだ。殺されたのは、アレックスの親友で人気映画女優のイザベラだった。ストーカーに悩まされていたイザベラは、一時的に身を隠すため、アレックスの別荘を借りていたのだ。彼女はアレックスと間違われて犠牲になったのか?だが、殺されたイザベラが別荘に男を連れ込んでいたことが判明し、事件の様相は一変する。事件後に姿を消したその男が犯人なのか?その正体は、別れた夫か、ふられた恋人か、あるいは謎のストーカーか?混迷を深める事件と、山をなす日常業務に忙殺されるアレックスだが、やがて予想外の容疑者の出現で、窮地に立たされることに。犯罪多発地帯マンハッタンで、日夜卑劣な性犯罪と闘い続ける、ニュー・ヒロイン登場。期待の新鋭が自身の体験を生かしてリアルに描く、闘う地方検事補アレックスの活躍。
ロシア・アメリカ初の共同宇宙遊泳を目指すスペースシャトル『アトランティス』の打ち上げが目前に迫っているケネディ宇宙センター。すでに宇宙飛行士たちはシャトルに乗り込み、着々と打ち上げ手順は進んでいく。上院議員ボーアマンとロシア特使トロフキンという大物政治家をも発射管制室のVIP招待席に迎え、発射の緊張感はいや増しに高まる。そんななか、テロリストの一団が発射管制センターを占拠した。しかも発射目前の『アトランティス』の外部燃料タンクの先端にもプラスチック爆弾が仕掛けられている。人質解放のための要求は莫大な量の宝石。アメリカは国の威信をかけ、空軍特殊部隊やエリート憲兵隊など軍の先鋭隊をテロリスト制圧のため、投入した。だが、アサルトライフル、スティンガー・ミサイルで武装し、猛毒ガスまで有する敵の反撃に手も足も出ない。一方、自らの軽率な行動による怪我のため、『アトランティス』司令官の任を解かれ、ひとりケープ・カナヴェラルの沼地で発射を見物しようとしていたアイスバーグは異変に気づいた。恋人ニコールを含む人質救出のため、素手の男の闘いが始まった。
病院のベッドで、もう何日も眠り続けているキャロル・クレイ。31歳になる彼女は、幼いころから「眠り姫」と呼ばれていた。それは彼女が、いつ、どこで、何をしていても突然眠ってしまう原因不明の奇病、睡眠障害にかかっていたからである。その発作によって、彼女はいま深い眠りの底にいた。キャロルが眠っているあいだに、彼女のまわりでは恐ろしい事件が起きていた。娘のエレナが、ボーイフレンドとともに死体で発見されたのだ。その数日後、キャロルは突然、眠ったまま驚くべき物語を語りはじめる。「二人を殺したのは夫のロジャーだ」と。だが、優秀な精神科医アイリーンは、キャロルの言葉に疑いをもつ。精神療法家としての技術を駆使して、アイリーンはキャロルの心に隠された真実を探りはじめたが…。やがて明らかになる、想像を絶する真相とは。
イギリス海兵隊特殊舟艇部隊を退役したハワードに舞いこんだ、極秘の依頼ーそれはイラクの独裁者フセインの暗殺だった。実行チームの編制に着手したハワードのもとに、英米をはじめとする元特殊部隊員、中東の専門家、射撃の名手など、プロフェッショナルたちがぞくぞくと集まってきた。周到な準備工作をへて、チームはいよいよ中東への潜入を開始する!筋金入りの戦闘員たちがくりひろげる、機略縦横の暗殺作戦とは。
イラク内の暗殺決行地点をめざして潜行するハワードらを、予想外の敵がキャッチしていた。アメリカ国家探偵局のスパイ衛星が、彼らの足跡を捉えたのだ。正体不明のイラクへの侵入者を高空から追尾し、その目的を推察したアメリカ側は色めきたつ。国家安全保障会議は彼らの阻止を決断したが?各国の思惑もからむなか、数々の危機を乗り越えてハワードらは標的に肉迫していく。
悪党たちが跳梁跋扈する十八世紀後半のロンドン。盲目の治安判事サー・ジョン・フィールディングは、“ボウ街の捕り手”と呼ばれる警察隊を組織し、犯罪の一掃に乗り出すなど、辣腕判事の誉れ高い人物だった。ある日、発砲事件の報に、助手の少年を従えて貴族グッドホープ卿の邸宅に急行したサー・ジョンは、そこで変わり果てた姿となった卿を発見する。状況から明らかに自殺と思われたが、少年がふと洩らした言葉から、事件は思わぬ方向へ。盲目の判事と、彼の目となり手足となって働く少年が、豪壮な邸宅で起きた密室殺人に挑む時代ミステリ。
フロリダの小島で海洋生物を研究する私は、ある日、天真爛漫な若い漁師ハンナと出会い、そのとりこになった。彼女は失業の危機にある漁師たちの立場を守る活動に熱心で、意気投合した私の友人が手伝うことになる。だが数日後、友人が何者かに襲われ、敵の魔の手は私とハンナの身にまで…海洋生物学者ドク・フォードの活躍を描く、トロピカル・サスペンス。
第二次世界大戦も終局を迎えつつあった1944年、劣勢のドイツ側にとって最大の焦点は、連合軍のフランス侵攻、その時期と上陸地点の特定だった。ドイツのスパイ網は、イギリス当局の手により壊滅状態だったが、国防軍情報部を率いるカナリス提督の手元には切り札が一枚だけ残されていた。戦前からロンドンに潜伏されていた潜入工作員、キャサリンの存在だ。カナリスはただちに機密奪取の指令を飛ばす。狙いは、アメリカの情報源から得ていた有力な情報-「侵攻作戦に関わる、極秘の巨大な建築計画が発動」。この計画こそが、鍵になる!イギリス情報部もドイツの動きを察知した。元大学教授で情報工作担当のヴィカリーは、二重スパイを駆使して、正体不明のドイツ側工作員を追い求める。キャサリンが最高機密をつかむが、ヴィカリーが彼女の所在を突き止めるか。戦争の命運を賭けた謀報戦の幕が上がった…。
ついに、極秘の建築計画「マルベリー作戦」設計図の奪取に成功したキャサリンは、イギリスを脱出すべく、Uボートの待つ北海沿岸へと向かう。彼女の持つ情報がドイツ側の手に渡れば、連合軍の最高機密、ヨーロッパ侵攻作戦の上陸地点が暴露されてしまう。必死の捜査でキャサリンの存在を割り出していたヴィカリーは、脱出を阻止すべく、全力を挙げた捜査網を展開、史上最大のマンハントを開始した。だが、戦争前から六年にも渡って潜伏を続けてきたキャサリンの巧妙な行動は、容易にその尻尾をつかませない。嵐の北海に、脱出時刻は刻々と迫る…。ジャーナリスト出身の新鋭が、第二次大戦史上最大の機密、ノルマンディー上陸作戦の秘話に迫る。雄大なスケール、多彩な登場人物で描く本格冒険スパイ小説の自眉。
パリを拠点に人権保護活動を行なっているアムネスティ組織ABRIに、緊急の暗号メッセージが届く。イレブンはブルーになった。光の水。受信者はアフリカ地区担当のゼイン。「イレブンがブルーになった」とは、アフリカで情報を収集中だった親友のストリートが死んだことを意味していた。ストリートは政情の不安定なアフリカで、反政府主義者に対する拷問に手を貸した謎の医師を追っていた。ストリートは何者かの手によって暗殺されたのか?ゼインは事実を確認すべく、さらなる情報収集に着手した。だが、ストリートが愛人に宛てた手紙を入手した直後から、ゼインは何者かに命を狙われはじめる。さらに、ABRIの情報を漏洩していたとの容疑をかけられ、担当の仕事まで外されてしまう。事件調査の手段を断たれ、孤立無援となったゼインは、コンピュータ・ネットワークを駆使して陰謀の迷宮へと踏み込んでいくが…。
闇を裂く一発の銃弾が、眠っていた記者魂に火をつけた!エイズ患者を扱ったドキュメンタリーでピューリツァー賞を受賞したものの、記事が捏造であることが発覚し、職を追われた新聞記者のジャスティス。今は安アパートで失意の日々を送る彼のもとに、かつての上司が現われ、資産家の息子が射殺された事件の取材に力を貸してくれという。失ってしまった何かを取り戻そうとするかのように、ジャスティスは事件にのめり込んでいくが…。さまざまな哀しみを背負った人間たちが交差するハリウッドのアンダーワールドを舞台に描く、新シリーズ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。
『マルコ・ポーロ』で頻発した怪事は、惑星ファースト・ラヴの謎の“老人”が仕掛けた“資格テスト”だった。その老人はどうやら失われたガンヤス族に深く関わる者らしい。惑星に着陸したオヴァロンとローダンに、“老人”は最終テストを課すと言う。いよいよ過去の秘密が明かされるのかーテラナーらは固唾をのんで経過を見守るが、一方そのころ、タケル人の本拠惑星タケラから1万隻の大艦隊が密かに出撃していた…。