出版社 : 早川書房
惑星マーティンの平和は突如襲来した宇宙艦隊によって破られた。侵略者の名はアーヴ、遺伝子改造によって宇宙空間に適応した人類の子孫だという。彼らの強大な軍事力の前に全面降伏の道を選んだ惑星政府主席の決断は、その幼い息子ジントの将来を大きく変えたー運命のいたずらでアーヴの星間帝国の貴族となった少年の冒険行を、SFマインドあふれる設定と、息もつがせぬストーリーで描いた気鋭のスペースオペラ超大作。
うだつの上がらない弁護士のヘンリーは、ある日、日頃から憎々しく思っている醜い妻を毒殺する決心をした。ところが、妻を狙ったはずが見当はずれの人間ばかりが次々と死んで、のどかな郊外住宅地は一転、上を下への大騒ぎに…。あの『ウィンブルドンの毒殺魔』事件から数年後、ヘンリーは相変わらず妻に頭が上がらず、一人娘との関係もぎくしゃくしている。今年こそはいい年にしようと年頭の誓いをたてるが、雇ったばかりの掃除婦をめぐって騒動が持ち上がり新年早々なにやら前途多難な予感。果たして、山であやうく遭難しかけたり、漫画雑誌の通信講座に加入したために死ぬほどの恐怖を経験したり、老女連続殺人に巻き込まれたりと、さまざまなトラブルが…。妻殺しに失敗し、戦々恐々とする中年男の身辺で起きる一年間の出来事を、ブラック・ユーモアたっぷりにつづった小粋な連作短篇集。
人類は友好的異星人ムルディニと協力して艦艇を送り出し、共通の敵「ハイヴ」の母星探索を続けていた。優れた超能力者ダミアの子どもたちは幼いころからムルディニ人に親しんで育ち、「ハイヴ」探索の貴重な戦力となっていく。ある日、長男ティアンが乗った艦艇が「ハイヴ」の廃船を発見するが…。両親から受け継いだ超能力を生かしつつ、それぞれの個性を開花させていく子どもたちの活躍を描く、人気シリーズ第三弾。
ぼくはロリン・ホウバート、人呼んでヘリクツ屋。ある日突然うさんくさい爺さんに拉致され、やけに三原色が目につく変てこな異世界に連れてこられた。ここでぼくは、まさに怪物に喰われんとしている姫君をヘリクツを駆使して救出したんだが、そのせいで勇者だと勘違いされ、次々に難儀な目にあうことになってしまった…大御所ディ・キャンプの幻の名作とベテラン作家ドレイクのコミカルな短篇を併録した、必笑の一冊。
テレサは、以前に上司ブライスからセクハラを受けたので、彼女を訴えようとしていた。現在のブライスは、連邦最高裁判事ホーナーの首席調査官。裁判になれば、高い地位についていて、大きな組織の後ろ盾もあるホーナーまでも相手にしなければならない。だが、被告となるべきブライスは何者かに殺害され、訴訟準備の調査をしていた私立探偵も殺されてしまう…裁判の関係者に迫る連続殺人の恐怖を描く、話題のサスペンス。
抱腹絶倒のクロス・ジェネレーション・コメディ。怒濤の60年代を生き抜いた男が、90年代のマテリアル・ガールに恋をした。1960年代の後半に“セックス、ドラッグ、ロックンロール”を掲げて、世界中を揺るがしたウッドストック世代の若者-だが、時は流れ、そんな彼も、いまや中年の危機に怯える毎日。しかもよりによって、キュートな女子大生と恋に落ちてしまった日には…。おまけに、前妻との間にもうけた息子まで引き取ることになって、もう、家じゅう大騒ぎ。期待の新進作家がアップテンポに奏でる、痛快ラヴ(&ピース)・コメディ。
若く美しい女性の死体が、ボストン郊外で発見された。捜査の結果、彼女と愛人関係にあった外科医ディラードが、事件の当日に彼女と会っていたことが判明、有力な容疑者として浮かび上がった。野心的な地方検事はディラードの知名度に目をつけ、彼を被告として起訴し、自らの政界進出のためにこの事件を利用しようとたくらむ。窮地に立されたディラードは、敏腕弁護士として名高いダン・シェリダンに自らの弁護を託した。だが、現行の法制度下では、大陪審において、弁護士は異議申立てや反対尋問を行なうことはできない。ディラードの起訴を防ぐチャンスは無に等しいのだ。やがて、シェリダンの事務所に女性FBI捜査官が秘書として送りこまれ、弁護側の手の内は、すべて検察側に把握されてしまう。そして、そのことを露知らぬシェリダンは、天真爛漫にふるまう彼女をいつしか愛し始めていた…。
太陽系の近傍に反テラ連合の一大艦隊が出現した。太陽系を目撃したダブリファ艦が、破壊される直前に緊急信号を発していたのだ。おりからローダンたちは、秘密実験のためコレッロをラスト・ホープに運ぶ必要に迫られていた。だが『インターソラー』でゴースト星系を出れば、反テラ艦隊に発見されるのは確実。秘密情報局長官デイトンは一計を案じ、テラ、オリンプ、ラスト・ホープをむすぶ極秘輸送作戦が開始されたが…。
太陽系の壊滅を察知した人類は、自らの子孫を残すべく、遺伝情報を搭載した自動播種船をつぎつぎと近隣の星々に送り出した。そのひとつ、青い海に囲まれた楽園サラッサでは、何世代かのうちに新たな人類が自由で理想的な社会を築きあげていた。だがその長い平和をうち破るかのように、サラッサの空に謎の宇宙船が…。地球の滅亡から数百年を経た遠未来を舞台に、新たな道を歩みだした人類の姿を壮大に描く傑作長篇。
英国の出版社から「まだ短篇集に収録されていない初期の短篇があればぜひ出版したいのだが」との問い合せがあった。いったんは断ったアシモフだったが、すぐに思い直した。それらの短篇はそれほどわるい出来ではないし、歴史的な価値もあり、さらに自伝的な説明をちりばめれば、よりいっそう興味深いものになるに違いない。本書はデビュー作「カリストの脅威」ほか“SF黄金時代”を髣髴とさせる名品8篇を収録。(全3巻)。
ノース・カロライナ州の小都市ヒルストンに衝撃が走った。警官を射殺、死刑を宣告された黒人青年ジョージ・ホールの刑執行が、執行前夜、突然、延期されたのだ。人種偏見が色濃く残る州では、この処置をめぐって右翼団体が不穏な動きを開始。市の安全をあずかる警察署長のマンガムは、厳戒体制を敷く。だが、その矢先、死刑囚の弟クープが何者かに射殺された。警察小説のスリルと法廷小説のサスペンスを合わせもつ傑作。
弟クープの殺害事件を捜査するマンガム署長は、死体から発見された銃弾が、ある右翼団体メンバーを射殺するのに使用されたのと同じ銃から発射されたことを突き止める。そのメンバーは、死刑囚ジョージに射殺された警官の義弟だった…。一方、ジョージの裁判は、手続きの不備が判明して再審が決定。敏腕弁護士ローズソーンが弁護を担当して、激しい法廷論争を繰り広げる。法廷でやがて明かされる事件の意外な真相とは。
その夜、大学の物理実験室に遅くまでいた大学院生プリシラ・ソンは、何者かの襲撃を受けた。現場に残されたのは、被害者に加えられた凄絶な暴行の跡とコンピュータから発見された謎の7文字。容疑者は逃亡したメキシコ人職員とされたが、被害者がなにか重要な研究に従事していたらしいことから、異なった様相を呈し始める。新署長スコット・パリスは、シャーマンの老女や美人新聞記者アンの協力を得て、難事件に挑むが…。
1944年、重慶。毛沢東とチャーチルの間にかわされる重大な密約書を携えた陸軍少佐キャンベルを乗せ、ダコタは飛び立った。共産軍への英軍の協力の見返りとして、1997年までの香港の租借期限を百年延長する、というのだ。ところが、ダコタは撃墜されて炎上、密約書は行方不明となった。時は流れ、香港返還を目前にして、マフィアが「重慶密約」の存在を知った。香港に多額の資本を投下している組織にとって、返還が延びるのは願ってもないことだ。くだんの密約書は、キャンベルの故郷スコットランドの一族の城に埋もれているらしい。マフィアはドンの姪の息子で実業家のモーガンを、捜索のため城に送りこんだ。一方、その動きをつかんだ英情報機関グループ・フォアの長ファーガスンは、自らスコットランドへ赴く。そして、モーガンの義理の娘アスタに元IRAテロリストのショーン・ディロンを接近させた。やがて、二人の間には危険な火花が散りはじめる…。誇り高きハイランドの地に繰り広げられる、会心の冒険サスペンス。
2038年。若き天才物理学者アレックスはマイクロ・ブラックホールの生成に取り組んでいた。これが完成すれば画期的なエネルギー源となる。ところが思わぬ事故でブラックホールが地中へ落下、このままでは地球は内部から食いつくされてしまう。人口爆発や深刻な環境汚染などの危機的状況に加え、さらなる致命的な壊滅の危機に直面した“母なる地球”を救うべく、アレックスたち科学者チームは絶望的な戦いに乗り出すが。
ドイツの誇る無敵戦艦が二隻の巡洋艦を従えて出撃したーこの情報は英国海軍を震撼させた。折りしもカナダからは、大船団が英国を目指している。また、米兵二個師団を乗せた二隻の豪華客船も洋上にあった。出撃がこのいずれかを狙ったものであることは明白。強敵を捕捉すべく、英国海軍は全艦船に出動を命令。やがてキャメロン指揮する駆逐艦のレーダーに三つの影が浮かび上がった。巨艦との死闘を描くシリーズの白眉。
全米各地で動機のまったく不明な殺人事件が続発していた。被害者は赤ん坊から老人まで多岐にわたったが、手口は共通していた。そんな時、ミネアポリスに住む大学教授のフィルは、旧友サムの招きで孤島を訪れた。だがそこは、サムが指導者として君臨する教団の島で、彼はやがて驚くべき体験をすることに…カルト教団を題材に、気鋭が放つ衝撃のミステリ。
「私は無実です。真犯人を探し出してほしい」夫殺しの容疑で起訴された美しい女性は、元警官の私立探偵フェイガンに訴えた。情況は彼女に圧倒的に不利。だが高額の報酬、それに警官を免職された汚名をそそぐ証拠が手に入ると知り、彼は引き受ける。しかし、事件は驚くほど奥深かった。サンフランシスコを舞台に、意表をつく展開で描く出色のハードボイルド。