出版社 : 早川書房
行方不明になったローダン一行救出のため、グッキーたちはカピンが支配するレムリア大陸に潜入した。だが、手がかりはイホ・トロトの発する微弱なシグナルのみ。ローダンたちはいったいどこに幽閉されているのか。一方、首都にもどったオヴァロンにも危機が迫っていた。かつての部下タラカンがオヴァロン暗殺をくわだてたのである。からくも首都脱出に成功したオヴァロンは、ローダンに協力する決意をかためたが…。
故郷の惑星が帝国の領地となったために、意に反して、強大なアーヴ星間帝国の貴族となったジントは、宇宙港で帝都へ向かう戦艦を待っていたのだが…そこに現れたのはひとりの少女。彼女の名はラフィールという。同じ戦艦に乗りこむ見習い士官だったが、彼女にはもう一つの身分があった。皇帝の孫娘にして帝国を継ぐ王女だったのだ。-王女とジントの冒険行を、SFマインドたっぷりに描く話題のスペースオペラ第2弾。
事故を起こした自動車は道路脇の木に衝突して大破していた。運転していた老人は息も絶え絶えに「あれは事故じゃない…あいつがやらせたんだ」とつぶやいて事切れた。ハロウィーンを間近に控えたブラックウォーター・ベイの町で、一人の老人が自動車事故で死亡した。保安官のマット・ゲイブリエルに打ち明けたいことがあるという電話をかけてきた直後のことだった。未亡人によれば、彼は毎年この時期になるとふさぎこみ、何かに怯えていたという。老人が告白したかったこととは何だったのか。死に際の言葉の謎を探り始めたマットは、やがて三十年前の恐るべき出来事に突き当たる。さらにハロウィーンの当夜、仮装姿の無惨な死体が発見されるに及び、事件は意外な方向へ…。『ブラックウォーター湾の殺人』につづき、風光明媚な別荘地を舞台にサスペンスとロマンスをふんだんに盛り込んで描く、ゴズリング会心の最新作。
メルポメネーは13歳。地球ー火星間を巡る小惑星改造船で暮らしている。文章を書く才能は誰もが認めるところだが、おかげで担任の先生に大変な仕事を頼まれてしまった。地球の人たちにここの生活を紹介する本を書けというのだ。さあどうしよう。とまどい悩みながらも彼女は書きはじめた。ほんの一年前に体験した小さな「戦争」のことを…宇宙育ちの少女の心の成長をみずみずしい筆致で描く、さわやかな青春冒険SF。
宇宙居留地ゴールデン・ルールで気ままに暮らしていたおれは、ある日見知らぬ男から人殺しを依頼された。だが詳しい説明を受ける間もなく、男は目の前で射殺されてしまった。新婚の妻グエンと共に真相究明に乗り出したおれだが、逆に覚えもない殺人の容疑をかけられて逃げまわる羽目に…いったい誰がおれを罠にかけたのか。宇宙居留地から月世界、並行世界にまで舞台を移しながら、スピーディーに展開する冒険巨篇。
パリに住む25歳のネリーは、失業中の夫を抱えて働きづめの毎日だったが、ある日カフェで初老の紳士アルノーと知り合う。アルノー氏は判事から実業家に身を転じた異色の人物で、執筆中の自叙伝の清書をネリーに依頼する。アルノー氏が手書きの原稿を読み上げ、ネリーがパソコンのキーをたたきながら文章をチェックしていくという作業が進むにつれ、親子ほど歳の離れたふたりの間には愛にも似た感情がめばえていくが…。
ペレストロイカによって改革の進むモスクワ。英国主催のフェアの会場に、ソ連の女性編集者カーチャが出版社社主バーリー・ブレアあての匿名原稿を持ちこんだ。なんとそこにはソ連の核ミサイルの欠陥が詳細に記述されていた。この驚くべき情報に接した英国情報部は、原稿の真贋と著者の正体を解明すべく、バーリーにモスクワ行きを依頼する。巨匠が民主化の進行するソ連の取材し、新境地を拓いたスパイ小説の新たな収穫。
原稿の著者ゲーテは、かつてカーチャの愛人であった理想家肌の科学者だった。以前パーティーで意気投合したバーリーを見込んだゲーテは、国防機密を出版して、一挙に世界的軍縮を実現することを望んでいるのだという。だが国際政治の現実はそれほど甘くなかった。カーチャへの恋心を秘めて再度ソ連を訪れたバーリーは、核の主導権争いに執着する英米情報機関の野望によって、カーチャの身に危険が迫っていることを知る。
カリブ海に浮かぶセント・トマス島。海を望む崖の上に、アダムとケイの夫妻とその娘が平穏に暮らす家があった。だが娘の世話係として謎めいた女性ダイアナが来た時から、不可解な事件が…次々と生まれる謎、予測のつかない展開。ロバート・B・パーカー、ローレンス・ブロック、ジョナサン・ケラーマン、ウェストレイクらが絶賛したサスペンス小説の傑作。
近未来のサンフランシスコ。市民はカルマと呼ばれる点数減点法で管理され、感情や記憶に干渉する合法的麻薬が蔓延し、進化療法によって知能が増大した動物が人間と対等の顔をして街を歩きまわっている。メトカーフは街の片隅に事務所をかまえる、しがない民間検問士。ある朝ラジオの音楽版ニュースで報道された殺人事件の被害者は、ほんの二週間まえまで依頼人だった男だった。驚く彼のまえに他ならぬその事件の容疑者という男が現われ、自分は無実だ、真犯人を捜してくれという。気乗りしないまま捜査をはじめたメトカーフは、さっそくカンガルーの殺し屋につけ狙われるハメに…。管理社会の暗黒街をクールに歩く私立探偵ならぬ民間検問士の活躍を描いた話題作。1994年度ローカス賞処女長篇部門、ウィリアム・L・クロフォード賞受賞。
ピットマンはかつて優秀な記者だった。息子の死の傷手から立ち直れず、酒に溺れていたが、危篤の報が入ったある人物の死亡記事を生涯で最後の仕事とし、その後は自殺しようと心に決めていた。その男は、アメリカの外交政策を陰で操る五人の「大顧問」のひとりで、元大物外交官だった。病院から拉致された男の居場所を突きとめた彼は、そこで一堂に会した「大顧問」の姿を目撃し、さらに病床に伏す男が発した謎の言葉を聞いてしまうが、あえなく見つかってしまい、命からがら逃げ出すことになる。翌朝のニュースを見た彼は愕然とした。例の男は殺害され、犯行の容疑者として、自分の名が報じられていたのだ。かくして、ピットマンは「大顧問」たちから追われる身となった。だが、逃避行の中途で助けを求めた看護婦ジルの優しい愛情に触れるうちに、一度は死を決意した彼の心に、今一度、生への強い欲望が湧きあがる。そして、男が残した謎の言葉を手がかりに、歴史の闇に葬られていた「大顧問」の恐るべき過去が明らかになった時、決死の反撃の火ぶたが切って落とされた…。
コネティカットのランディー・ケンブリッジという十九歳の若者からバークに仕事の依頼が入った。ランディーの母親は、昔バークがロンドンで知り合ったクラブのウェイトレス、チェリイだった。バークは若者の話を聞いてやった。彼は最近、自分の周囲で十代の友人の自殺が続いているが、自分も死ななければならないような気がして不安だからボディガードをしてくれという。いまひとつ釈然としない話だったが、バークはコネティカットに赴き、調査をすることにした。母親が海外出張中のランディーの家には、ファンシイという三十代前半の女が出入りしていた。彼女は最初から思わせぶりな様子で、バークをSMプレイに誘うが、バークは肉体は支配できても心までは支配できないことを思い知らせた。そしてファンシイにはチャームという双子の妹がいて、少女の頃、父親からひどく虐待されていた。一方、依頼人のランディーと日を過ごすうちに、バークは気のいいこの若者に好感を抱くようになった。バークの調査が進むにつれ、自殺した若者たちに共通する事実も判明した。それは、彼らが精神科医ドクター・バリモアの診療所に通院か入院をしていたという事実で、背後には残忍かつ非情な秘密が隠されていた。NYのアウトロー探偵バークとその仲間たちが三年ぶりにカムバック。ノワールな味わいを強めて再開する人気ハードボイルド・シリーズ第七弾。
子供は無事だ、きみのキャリアは保証する。ただし、ひとこと無罪といってくれればの話だが-マフィア絡みの殺人事件の公判で陪審員に選ばれたアニーは、ティーチャーと名乗る謎の男から無罪評決を強要される。明らかに有罪である被告人を、残る11人の陪審員を説得して無罪とすることが果たして可能なのか。恐怖におののきながらも、アニーは気力と知力をふりしぼるが…。
スリランカのジャングルで遺跡を捜す日本人「おれ」は、報酬につられて危険な仕事を引き受けた。革命組織の男女をつれて政府軍の包囲を突破し、密林の奥にあるゲリラ基地へと潜入するのだ。しかも男のほうは、なんと日本人だった。ワニがひそむ河をカヌーで進み、野象が咆哮する大地を駆けるーそして襲いくる、謎の追跡者の銃弾。血の民族抗争に燃えるインド洋の島を舞台に、冒険小説の新たな旗手が放つ大迫力の長篇。