出版社 : 早川書房
20世紀初頭のパリ。少女シルヴィーは、厳格なブルジョワ家庭で育ちながらも自由を求めて反抗して生きる、ある少女と出会った。たがいに強く惹かれ合う二人の友愛は、永遠に続くはずだったーー。1954年に執筆されるも、発表される事のなかった幻の小説を刊行。
遠い太陽の光が海辺の1日に降り注ぎ、生まれては消える波のうねりを情感豊かに描き出す。男女6人の独白が物語るのは、幻想のように過ぎた半生の思い出。くり返す描写と語りが重なるとき、意識が風景に打ち解けていく。ウルフの傑作が、45年ぶりの新訳で甦る
果樹園の蜂の巣で、最下層の蜂として生を受けたフローラ七一七。女王を崇めて労働を称える教理により厳重に管理される蜂社会で、フローラはほかの蜂とは異なっていた。育児室の世話をし、花蜜を集める彼女は、女王にのみ許される神聖な母性を手にしたのだ……
18世紀、独立戦争中のアメリカ。記者ロディは投獄された英国兵エドワード・ターナーを訪ねた。なぜ植民地開拓者と先住民族の息子アシュリーを殺したのか訊くために。残されたアシュリーの手記の異変に気づいた囚人エドは、追及される立場から一転、驚くべき推理を始める。それは部隊で続く不審死やスパイの存在、さらには国家の陰謀にかかわるものだった…『開かせていただき光栄です』シリーズ最終作。
あらゆる時間と平行世界の覇権をめぐり争う二大勢力である〈エー ジェンシー〉の工作員レッドと、〈ガーデン〉の工作員ブルー。二 人の女性は幾多の時間線でお互いを好敵手として意識するうち、秘 密裏に手紙を交換する関係になるが……超絶技巧の多世界解釈SF
スノーボーダーたちがアルプスのロッジで再会する。共通の知人が失踪して以来、久しぶりに顔を合わせた一同であったが、そこに彼らの過去の秘密を告発する謎のメッセージが。ゴンドラは動かせず、ここから出ることはできない……雪山を舞台にしたサスペンス!
三体文明の地球侵略に対抗する「面壁計画」の裏で、若き女性エンジニア程心(チェン・シン)が発案した極秘の「階梯計画」が進行していた。目的は三体艦隊に人類のスパイを送り込むこと。程心の決断が人類の命運を揺るがす。シリーズ34万部以上を売り上げた衝撃の三部作完結!
地球文明と三体文明、二つの世界の運命をその手に握る執剣者(ソードホルダー)が下した決断とは!?世界を圧倒した現在中国最大の衝撃作、想像を遙か超えるその結末を目撃せよ。
リーナは死体にポーズを取らせ、肉体に永続性を与える技能で才覚をあらわす。彼女のパートナーで経営者のジョンは、死を克服したいと考えており……。映画化原作の表題作、代表作「紙の動物園」「母の記憶に」など、名短篇9作を収録したベスト・オブ・ベスト
1940年、アメリカ。小さな町のお嬢様ヴィヴィアンは、大学を辞め、NYのショーの世界に飛び込んだ。華やかで刺激的な毎日。だが、それは突然終わる。彼女の過ちが、街中を騒がす醜聞になったのだ。恋人も友達も居場所も失い、彼女は初めて自分と向き合う
1972年、アメリカ。ベトナム戦争中に海兵隊を不名誉除隊させられ刑務所にいた兄と、数年ぶりに再会した弟。しかし、町で起こるある惨殺事件が、彼らを引き離すーー戦争が人々の心に残した傷跡、そして兄弟の絆を描くクライム・フィクション。解説/吉野仁
男らしさと家族のかたちを見つめ直すアイスランド女性文学賞受賞作。母が遺したバラをもって僕は旅に出る。遠くの修道院にある庭園に植えるのだ。ところが、温室育ちの僕の旅は、ままならない。飛行機内で腹痛にもだえ、森でさ迷う。旅で会った女性たちとの関係を妄想しては、空回り。当の庭園は荒れ果てており、手入れを始めたところ、意外な人物が訪れる。かつて僕と一夜をともにした女性が、赤ん坊を預けにきたのだ。こんな僕が父親に!?ゆったりした時が流れる小さな村で、右往左往しながら成長する青年と家族をあたたかく描く長篇小説。
19世紀末、パリ。少女ウジェニーは「霊が見える」と告白したために、家族に勘当され精神病院に入れられた。そこでは女性の苦悩やトラウマが「狂気」と診断されていた。病院で行われた公開講義や舞踏会の史実を元に、社会から排除された女性たちを描いた小説。
ニューヨークの暗黒街で一目置かれる存在となった異色の用心棒、ジョー。彼のもとに裏社会の顔役たちから新たな依頼が舞い込んだ。テロ計画の原資になっているという薬物の供給元を潰すことは出来るのか? 大反響を呼んだ『用心棒』に続く、シリーズ第二作。
1989年パリ。20歳のアメリはヴァンサンに恋をする。だが待ち合わせの日、二人はすれ違ってしまう。再会は10年後、彼は結婚していた。彼女も家庭を築くが、人生を間違えたのではないかという思いが消えず、20歳の記憶は輝きを増す。そんな彼女の前に彼が現れるが
1943年9月。ユダヤ系オランダ人医師であるエディ・デ・ウィンド(ハンス・ファン・ダム)は、ウェステルボルク通過収容所で知り合って結婚した妻フリーデルとともに、アウシュヴィッツ強制収容所に送られた。ナチスによる無慈悲の「選別」を通過した彼は、収容所内の労働に従事することになったが、そこで待っていたのは、抑留者“150822”として過ごす過酷な日々だった。一方でフリーデルは、女性が集められ、教授を自称する者たちが思いのまま人体実験を繰り返す“実験棟”に収容される。彼女がその犠牲にならないようハンスは別棟から手を回すが、看守たちは理不尽にも彼らの交流の機会を奪う。そして、第二次世界大戦が終結する直前の1945年1月。ソ連軍の前線が迫り収容所の撤退が決まると、またしても夫婦に不条理な現実が訪れる…。徹底的に不寛容で非人間的な状況にあっても、人は誰かを愛することはできるか?有刺鉄線の内側で妻を想い続けたアウシュヴィッツの生存者が、一年半にわたって収容所で体験したことを真摯に綴った記録。
天文学者、記録保管人、植物学者、守護者、位相幾何学者、地理学者、氷屋、コックーヨガマットの上で屍のポーズをとっていたわたしたちのうち、ひとりはついに起きあがらなかった。失われたのは誰ー?わたしたちは、この地に至る旅の記憶の断片を思いだす。巡礼路、北へ向かうシルクロード、愛に飢えた子ども時代、近づく世界の終わり…。共に育った家族のような、あるいはひとりの心の内に住むような八つの魂が回顧する過去と未来の寓話。
“ニール号沈没”の悲劇の中で生まれた、国を超えた確かな友情ー明治7年、南伊豆入間村。朴訥な漁師・達吉は命をかけて異人を助ける。それが村を揺るがすことになろうとも…著者渾身の歴史小説。
いま宇宙は真冬であり、わたしは宇宙最後かもしれない星に向かっているーー宇宙を漂う放浪者がその滅びゆく美しさを想う表題作など10篇を収録。『三体』などの中国SF翻訳者・紹介者としても活躍する短篇の名手ケン・リュウが贈る日本オリジナル短篇集第4弾