出版社 : 河出書房新社
生誕百年前のジョン・レノンに出会ったその同じ冬、隼は旅重なる亡命者スピノザの帰還に立会った…ユウラシアの霧に視界を阻まれ…正夢という名の悪夢、孤高のドゥルージアンによる魔術的時空を舞台とする脱領域的物語。第二長篇『ユウラシヤ』(全4部)の第2部。
特別永住者制度の廃止、外国人への生活保護違法化、公文書での通名使用禁止…。排外主義が支配する日本で、在日三世の柏木太一が反攻の計画のために集めたのは、“武闘派”少年の尹信、自殺願望を抱える宣明、帝國復古党の貴島、妹を「在日韓国人であるゆえ」殺された金泰守、そしてー。怒りと悲しみの青春群像。
“男らしさ”“女らしさ”のノリが苦手な大学2年生の七森。こわがらせず、侵害せず、誰かと繋がりたいのに。ジェンダー文学の新星!鋭敏な感性光る小説4篇。ぬいぐるみと話すサークル“ぬいサー”の、生きにくく、どうしても鈍くはなれない若者たちの物語。
「実在しない書物の書評を書くということは、レム氏の発明ではありません」。ゲーム理論を援用して宇宙の創造と成長を論じるノーベル賞受賞者の講演「新しい宇宙創造説」のほか、「ロビンソン物語」「逆黙示録」「誤謬としての文化」など、パロディやパスティーシュも満載の、知的刺激に満ちた“書評集”。
「トップナイフ」とは医師の中でも超一流の技術を持つ者にのみ与えられる最高の称号。東都総合病院脳神経外科に集う凄腕医師たちのまとめ役・深山瑶子、「世界のクロイワ」黒岩健吾、「若き天才」西郡琢磨、頭でっかちの新人・小机幸子。不可思議な病を抱える患者と出会い、彼らの人生も変化していくー。脳外科医たちの苦悩と希望を描く、感動のヒューマンストーリー。ドラマ原作。
馬のことならなんでもわかる男が語る奇想天外の放浪と遍歴ーロシア民衆に深く根ざした言葉の魔術師レスコフがその魅力を全開させた不滅の名作が、新訳で復活。鋼の蚤をめぐる奇譚「ぎっちょ」を併載。
愛する長女のために素敵な誕生パーティを開こうと格闘する父親(「センプリカ・ガール日記」)、人間モルモットとして感覚を増幅する薬を投与される若者たち(「スパイダーヘッドからの脱出」)、中世テーマパークで働き、薬の力で思考も語彙も騎士となる男(「わが騎士道、轟沈せり」)、戦地から帰還して暗い暴力の衝動を膨れ上がらせる若き元軍人(「ホーム」)…ダメ人間たちが下降のはてに意外な気高さに輝く、現代アメリカ最重要作家の傑作短篇集。
大学で非常勤講師をしている小松は、新幹線で知り合った同い年の女性みどりに恋心を抱いたが、この先どう進めていいか分からない。呑み仲間の敏腕サラリーマン宇佐美のアドバイスで、ふたりは少しずつ距離を詰めていくのだが、そこにみどりの仕事を取り仕切るいかがわしい男、八重樫が現れて…。おっさん二人組の緩やかな友情のなかに、人生の切実さを見つめる傑作。
天才詩人アリス・ウォンが謎の存在“忌字禍”に倒れた。その怪物を滅ぼすために、七十三人を言葉の力で殺害した稀代の殺人者が、いま召還されるー星雲賞を受賞した表題作、同賞受賞の「海の指」他、全七編。最先端の想像力、五感に触れる官能性、現代SFが生んだ最高峰作品集。第38回日本SF大賞受賞。
高校時代に永遠の愛を約束したイフェメルとオビンゼ。アメリカ留学を目指す二人の前に、現実の壁が立ちはだかる。オビンゼと離れてアメリカに渡ったイフェメルを待っていたのは、階級、イデオロギー、人種で色分けされた、想像すらしたことのない世界だった。世界を魅了する物語作家が三つの大陸を舞台に描く傑作長篇。
人種問題を扱う先鋭的なブログの書き手として注目を集めるイフェメル。一方オビンゼは、イギリスからナイジェリアに帰郷し、不動産取引で巨万の富を得て、美しい妻や娘と優雅に暮らしている。別々の道を歩んだかつての恋人たちに、再会の時が訪れる。全米批評家協会賞受賞の長篇代表作、待望の文庫化。
「これは、戦争です」12月22日、クリスマスを目前ににぎわう東京・恵比寿で爆破テロが発生。すぐに届いた犯行声明で、犯人は日本国首相との生放送テレビ対談を要求、受け容れられなければ次は渋谷で無差別爆破テロを起こす、と予告する。対する首相はテロには屈しないと拒否。そして翌日、最悪の事態が…!圧倒的なリアリティとスケールでおくる衝撃のクライムサスペンス!映画原作。
創刊以来86年ぶりの3刷となった「文藝」2019年秋季号の特集「韓国・フェミニズム・日本」、内容を新たにした完全版! ベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュによる傑作短編「家出」、シンガー・ソングライターのイ・ランによる初邦訳作「手違いゾンビ」、新世代のフェミニスト作家ユン・イヒョンの代表作「クンの旅」、性暴力をめぐり社会の現実を克明に暴くパク・ミンジョン「モルグ・ジオラマ」など、韓国文学の最前線をいち早く紹介! さらに、いま韓国で最も注目を集め、文学の未来を担う作家ファン・ジョンウンとチェ・ウニョンのふたりによる、本書のための書き下ろしエッセイを収録。 他にも大注目の書き手たちによる書き下ろしと特別企画を加え、「文藝」の特集からさらにパワーアップし、『完全版 韓国・フェミニズム・日本』としてここに誕生!
父による母殺しの十字架を背負い続けるサヤ、性同一性障害のタシケ、そして父親の非業の死で言葉を失ったクチナシ。三人の偶然の出会いから、運命の歯車が動き出す。呪われた境遇からはい出したのちに、夕暮れの駅のホームで彼らが見つけた答えとは?