出版社 : 河出書房新社
「あたし、成仏できないうちはちょいちょい来るよ、他に行くとこもないからね」好きで一緒になった女房のしづ子が死んで一年。新しい女房は貰わないという約束を破った壮太郎のもとに、初夏の宵…。気鋭の女性作家の話題作。
『四万十川』の作者が、二十余年にわたる郵便局勤務をもとに、誰も書かなかった苛酷な労働現場の実態をえぐり出しつつ、そこからの人間的再生を求めて立ち上がる人人の姿を、爽やかに感動的に描き出し、大きな反響を呼んだ傑作。
「ああ、青さん。お前に会うために、わたしはここまで生きてきた気がするよ」-。姉の名は小春、妹は夏子、そこは果たして地獄だったか、それとも桃源郷だったのか。美しい姉妹とその兄と文士が綾なす官能世界の極致を描く絶品。
現役女子大生ミラちゃんが、山桃寺まえみちにある居酒屋のママになった。魅力あふれるミラちゃんを慕って集まる、ちょっと変わった人たちが織りなす歓びと哀しみー。直木賞受賞の話題作『青春デンデケデケデケ』に続く第二作。
水蓮との友情。兄との確執。自動人形と噂される謎の少年との不思議な出会い。そして少年たちをのせた船は、南へと出航したのか。兄を想う少年・銅貨をめぐって、星の少年たちの孤独を描いた、長野まゆみの“星の王子さま”-。
十代で書いた小説が賞を受け、まるで空想か嘘のような環境にいる“私”のもとに、高校の後輩で砲丸投げに凝っていた隆子が転がり込み、奇妙な同居生活を営み始める…。若い女性たちの光りと影をいきいきと描いた話題作。
42歳になる主人公サイモン・ショーは、広告業界で成功を収めているものの仕事に飽き、結婚生活も破綻している。ひょんなことから自由を求めてロンドンを去り、プロヴァンスで小さなホテルを開く計画に携わることになる。仲間は“執事”ともいうべき何でもこなす腹心のアーネスト、そして魅力的なフランス女性ニコル。一方、ジョジョを始めとする南仏人の強盗集団は、地酒パスティスを傾けながら銀行襲撃のプランの仕上げに余念がない…。
天明、寛政、化政期、彗星のごとく現われた馬ヅラの巨人が相撲をかえた。魔物のように相手に躍りかかり、全力で打ちのめす、その姿に、悪政と飢饉にあえぐ民は、自らの運命を託した-稀代の相撲人・雷電為右衛門の数奇な運命とその時代を、後援者・助五郎との交わりを軸に壮大な構想力と考証をもとにはじめて描破した書き下ろし長篇小説。