出版社 : 白水社
大ベストセラーの痛快コミック・ミステリー。苦情処理係を務めるデパートで謎の連続爆破事件が起こり、疑いの目を向けられたマロセーヌ君。かくてはならじと捜査に乗り出すのだが…。
ダブリン、パリ、ウィーンと若き家術家ベラックワがドタバタと駆け抜けてゆく-。「死後しばらくするまでは」出版が禁じられていたベケットの幻の処女作、ついに邦訳刊行なる。
亡命した作曲家の作品を演奏会にのせようとする弦楽四重奏団。だが権力を掌握しつつある右翼勢力にとってそれは許しがたい行為だった。彼らは会場に乗りこみ演奏を妨害しようとする。架空の国シャルムーシュを舞台に、理不尽なテロに対する音楽家たちの悲痛な抵抗のドラマが展開される。
聖ヨゼフの祭りを翌日にひかえ、町中が大騒ぎする前夜、シチリアの小さな町で、殺人事件がおこる。事件を捜査する若い警官の働きによって、その死の裏にはマフィアの影がちらつき、犯人は警察の内部にいることが判明する。真実を追求する警官の身に危険が迫る。その時、一発の銃声が鳴り響く…。
ブラジル熱帯雨林の聖地マタカンで奇跡が起こった。額に浮遊するボールをつけたカズマサ、三本腕のビジネスマンJ・B、乳房が三つある鳥類学者ミッシェルらが、運命に導かれてマタカンの究極の資源に惹きつけられる…。越境する日系作家がスラプスティックに描くエコロジー・ファンタジー。
人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべの無い国。アンナ・ブルームが行方不明になった兄を探して乗りこんだ国はそんな悪夢のような国であった…極限状況における人間の愛と死を描く鬼才の傑作近未来小説。
互いにそれと知らぬまま、莫大な遺産相続をめぐる奇妙な争いに巻き込まれてゆく従兄弟のジョルジュとフレッド。犯罪都市パリに繰り広げられる抗争は、アルプス山中の銃撃戦というクライマックスに向けて加速する。スピーディーな場面転換と全篇を彩るブラックユーモア。鬼才エシュノーズが放つスリリングな物語。
「作家になる方法」、「別の女になる方法」など、ハウツー物の文体パロディで描かれる現代人の孤独な人生。度はずれたユーモア感覚と深い淋しさが絶妙に溶け合うローリー・ムーアのおかしなおかしな世界。
サファイアの青のイメージで彩られた、西欧とオリエントの幻想的なからみ合いを描く表題作の他に、ユルスナールの実父の新婚旅行に想を得た「初夜」、イタリアを舞台に、地中海世界の呪縛からの解放をテーマにした「呪文」の三編を収録。初期の未発表短編を詩人の清新な翻訳でおくる。
若いころは知的でドキドキするような生活を夢見ていたグレゴリオも今や45歳を過ぎ、さえないサラリーマンを続けている。友人を勇気づけるためについた彼のささやかな嘘。嘘は人生を幸福にする安上がりな手段だったはず。それがいつのまにかおそろしい武器に…危険なゲームへと人を駆り立てる。イカロ文学賞、文芸批評家大賞、国民文学賞を受賞。又、地中海文学賞の外国作品部門最優秀作品に選ばれた。
中二階のオフィスにエスカレーターで戻る途中のサラリーマンがめぐらした超ミクロ的考察。靴紐が左右ほぼ同時期に切れるのはなぜか、牛乳の容器が瓶からカートンに変わったときの素敵な衝撃、ミシン目を発明した人間への熱狂的賛辞等々、『もしもし』の著者が贈る、あっと驚く面白小説。
エロスと死、残酷と幻想、毒と禁忌、悪意と愛-マンディアルグの世界は三島由紀夫や谷崎潤一郎との接近によってさらに豊穣な実りをもたらした。神秘的な女主人公の死の儀式を執行する四人の日本女性に捕えられた男の体験を描く「薔薇の葬儀」をはじめとして、作者晩年の傑作を収録した短篇集。
時は現代、英国人女性ドン・キホーテ(66歳)は堕胎により発狂、喋る犬セント・シメオンをお供に果敢に世界へと出撃する。自伝、幻覚、歴史、ルポ、テクストの引用が網の目のように入り組み、お得意の〈剽窃〉がいかんなく発揮されている。マゾヒスティックな愛のなかに性の神話の復権を語った長編小説。