出版社 : 白水社
『インド夜想曲』の作者タブッキが、魔術を駆使してオールディーズの世界をノスタルジックに描く。ものうい夏の午後、ドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」の歌声が、「ヴォラーレ」のメロディーが聞こえてくる。
二十世紀初頭のアルバニアの高地。この地域の人々の生活は、復讐を核とする古い掟によってすみずみまで支配されている。七十年前から連綿と繰りかえされてきた復讐により死を宣告された男と、彼を思う人妻との出会いと別れ。荒涼たる高地を舞台に、錯綜する生と死のイメージが織りなされる。
ロゼッタ石に刻されたエジプト文字の研究に打ち込むシャンポリオンを主人公に、解読という行為に憑かれたひとりの人間の運命を描きだす。ボルヘスの短篇を思わせる不思議な筆致によって浮かび上がるのは、書物に埋もれたエジプト学者ではなく、いわば古代エジプト人の最後の生き残りなのである。
大ベストセラーの痛快コミック・ミステリー。苦情処理係を務めるデパートで謎の連続爆破事件が起こり、疑いの目を向けられたマロセーヌ君。かくてはならじと捜査に乗り出すのだが…。
ダブリン、パリ、ウィーンと若き家術家ベラックワがドタバタと駆け抜けてゆく-。「死後しばらくするまでは」出版が禁じられていたベケットの幻の処女作、ついに邦訳刊行なる。
亡命した作曲家の作品を演奏会にのせようとする弦楽四重奏団。だが権力を掌握しつつある右翼勢力にとってそれは許しがたい行為だった。彼らは会場に乗りこみ演奏を妨害しようとする。架空の国シャルムーシュを舞台に、理不尽なテロに対する音楽家たちの悲痛な抵抗のドラマが展開される。
聖ヨゼフの祭りを翌日にひかえ、町中が大騒ぎする前夜、シチリアの小さな町で、殺人事件がおこる。事件を捜査する若い警官の働きによって、その死の裏にはマフィアの影がちらつき、犯人は警察の内部にいることが判明する。真実を追求する警官の身に危険が迫る。その時、一発の銃声が鳴り響く…。
ブラジル熱帯雨林の聖地マタカンで奇跡が起こった。額に浮遊するボールをつけたカズマサ、三本腕のビジネスマンJ・B、乳房が三つある鳥類学者ミッシェルらが、運命に導かれてマタカンの究極の資源に惹きつけられる…。越境する日系作家がスラプスティックに描くエコロジー・ファンタジー。
人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべの無い国。アンナ・ブルームが行方不明になった兄を探して乗りこんだ国はそんな悪夢のような国であった…極限状況における人間の愛と死を描く鬼才の傑作近未来小説。
互いにそれと知らぬまま、莫大な遺産相続をめぐる奇妙な争いに巻き込まれてゆく従兄弟のジョルジュとフレッド。犯罪都市パリに繰り広げられる抗争は、アルプス山中の銃撃戦というクライマックスに向けて加速する。スピーディーな場面転換と全篇を彩るブラックユーモア。鬼才エシュノーズが放つスリリングな物語。
「作家になる方法」、「別の女になる方法」など、ハウツー物の文体パロディで描かれる現代人の孤独な人生。度はずれたユーモア感覚と深い淋しさが絶妙に溶け合うローリー・ムーアのおかしなおかしな世界。