出版社 : 講談社
生命を礼賛する行為には驚くほどに価値がない、生はどこまでも儚(はかな)く朧(おぼろ)で、死はどこまでも切なく幻だ。そしてそれはただそれだけのものでありそれだけのものでしかなく、むしろそこにそれ以上の価値を見出そうとすることこそが冒涜だ。生きること、そして死ぬこと、その両者の意味を誰よりも理解し、そしてその意味に殉ずることに一切の躊躇がない誠実な正直者、つまりこのぼくは、8月、縁故あって奇妙なアルバイトに身を窶(やつ)すことと相成った。それは普通のアルバイトであって、ぼくとしては決して人外魔境に足を踏み入れたつもりはなかったのだけれど、しかしそんなぼくの不注意についてまるで情状酌量してはくれず、運命は残酷に時を刻んでいく。いや、刻まれたのは時などという曖昧模糊、茫洋(ぼうよう)とした概念ではなく、ぼくの肉体そのものだったのかもしれない。あるいは、そう、ぼくの心そのものかーー戯言シリーズ第5弾 第一章 薄幸の少女(薄幸の症状) 第二章 人喰い(人喰い) 第三章 先立つ不考(裂き断つ不幸) 第四章 実体験(実験体) 第五章 癒えない傷(言えない傷) 第六章 不一致(which?) 第七章 戦場吊(千羽鶴) 第八章 執着癖(終着駅) 第九章 無意識下(無為式化) 第十章 壊れる最悪(喰われる罪悪) 終 章 真夏の夜の夢
「わたしは、情報員(スパイ)である前に人間でありたい」。第二次世界大戦下のスペイン・マドリードで、敵同士ながらも愛し合う北都昭平とヴァジニア。2人をつけ回すゲシュタポ将校ハンセン兄弟の魔の手。2人はその愛を全う出来るのか。そして和平への糸口を見つけ出せるのかーー。愛と諜報の壮大な歴史サスペンス。
「筋のとおった話は虫が好かねえ」旗本の三男に生まれ、先祖も父も「ばか者」と切り捨て家を出た、岡っ引・半介が活躍する表題作。凶作に苦しむ村人を尻目に米をたらふく食らう村役。それに腹を立てた村の男は、驚きの復讐法を考えた「口増やし」他、全7編。
将軍家斉(いえなり)の御台所(みだいどころ)茂姫(しげひめ)の輿入(こしい)れから8年。時ならぬ外様薩摩(さつま)からの大奥女中お抱えの報(しら)せに、奥右筆組頭(おくゆうひつくみがしら)立花併右衛門(たちばなへいえもん)は不審を抱いた。禁制の密貿易発覚を恐れる薩摩藩は、併右衛門暗殺に奔(はし)る。護衛役の柊衛悟(ひいらぎえいご)を襲う無敵を誇る示現流(じげんりゅう)の猛者(もさ)たち! 幕政の闇を衝く人気シリーズ、瞠目の第三弾!〈文庫書下ろし〉 第一章 女の城 第二章 脱藩の忠 第三章 お止め流 第四章 権謀の巣 第五章 大奥の刺客
串中弔士。 彼にとっては全てがゲームーー。 名門女子高校を襲う七不思議殺人事件! 平和だったはずの私立千載女学園で不可思議かつ不可解な殺人事件が起こる。そしてそこに勤務していたのは、こともあろうか倫理教師となったあの串中弔士。病院坂迷路を巻き込んだ事件から14年。探偵ごっこの犯人捜しが再び始動。犯人は一体?!これぞ世界に囲われた「きみとぼく」のための本格ミステリ! なまえ欄 だいいち問 だいに問 だいさん問 だいよん問 だいご問 えんでぃんぐ
この国が戦国で、この世が乱世であった頃ーー。 不穏な気配ただよう歴史の暗がりで、静かに命の火花を散らす者達がいた。その名も、真庭忍軍。“しのび”である彼らが、この時代を生き抜くために選ぶ新たな道とはーー!? 無欲の無頼派ーー真庭蝙蝠。 慈愛の夢想家ーー真庭喰鮫。 不屈の求道人ーー真庭蝶々。 異端の実力者ーー真庭白鷺。 人外にして埒外の異能集団・真庭忍軍の伝説はここから始まる! これぞ豪華絢爛戦国図屏風、真庭忍軍ただいま見参! 第一話 初代 真庭蝙蝠 第二話 初代 真庭喰鮫 第三話 初代 真庭蝶々 第四話 初代 真庭白鷺
夏休み、友だちが次々と姿を消した。 懐かしく新しい、森ミステリィの快作 もう少しで夏休み。新太は公園で、真っ黒な服を着た不思議なおじさんと話をする。それが、ちょっと変わった探偵伯爵との出逢いだった。夏祭りの日、親友のハリィが行方不明になり、その数日後、また友達がさらわれた。新太にも忍び寄る犯人。残されたトランプの意味は?探偵伯爵と新太の追跡が始まる。
タイタニア一族に傷をつけた男、ファン・ヒューリック。彼ただ一人の行動と知力で歯車が狂いだしたのだ。宇宙を放浪するファン一派を駆逐せんと、タイタニア一族は威信をかけ、「タイタニアの五家族」の当主の一人である猛将ザーリッシュ・タイタニアを派遣したが…!?日本が誇る宇宙の叙事詩、待望の第2巻。
九つの子が、拾った生首を写生した。その絵を瓦版にして売ったところ江戸中が大騒ぎに。北の御番所の名誉にかけても生首の主を探せと、またまた無理難題が半次に持ち込まれて…。
“ある難事件”を解決し、安住できる住処を探していた名探偵の兄弟二奈と参たち二人が見つけた激安物件-それは曰く付きアパート青薔薇荘だった。ワケアリの理由は、アパートで起こった怪事件。過去に同じ部屋で、二度も未解決の殺人事件が起きていたのだった…。誰がどうやって、そしてなんのために!?本格ミステリを愛する著者が仕組んだ驚愕の結末とは。
「奥さんから頼まれごとしてますねん。わしと一緒に出かけはりませんか」亡き妻の遺言を携えてやってきたのはワンボックス・カーに乗ったおっちゃんだった-。古美術、骨董、山野草。稀代の数寄者、佛々堂先生が繰り広げる一期一会の「夢まぼろし」の世界。
芸人として成功する近道は、相方になる予定の宇治原を京都大学に入れること。 高性能勉強ロボ・ウジハラの京大合格大作戦が始まった! 高学歴コンビ・ロザンの菅が、芸人になるまでを爆笑の連続で描く自伝的小説。 第1章 「高性能勉強ロボ」との出会い 第2章 芸人なれへん? 第3章 宇治原独自の勉強法 第4章 夏期講習とゴールドカード 第5章 マークシート必勝法 第6章 センター試験で壊れたロボ 第7章 京大合格、サクラサク 第8章 浪人生になった僕 第9章 怖そうなおっさんと不思議な6畳間 第10章 友達からコンビへ
誰もが不安を抱えて歩き続ける、未来への“道”。子どもが感じる無力感、青春の生きにくさ、幼さゆえの不器用…。それぞれの物語を、優しく包み込んで真正面から描いた珠玉の三編を収録。涙がこぼれ落ちる感動の欠片が、私たちの背中をそっと押してくれます。はじめましての方にも、ずっと応援してくれた方にも。大好きな“彼ら”にも、きっとまた会えるはず。
日本一アンラッキーな男・鮎太に襲いかかる不幸の連続!25歳で人生が決まってたまるか。鮎太は、オネエ言葉の大道寺、ナマ脚自慢のナオたちとともに、幸せになることに図々しく生きていく。
江戸・向嶋で種苗屋を営む若夫婦、新次とおりんは、人の心を和ませる草木に丹精をこらす日々を送っている。二枚目だが色事が苦手な新次と、恋よりも稽古事に打ち込んで生きてきたおりんに、愛の試練が待ち受ける。第3回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
地獄に堕ちた女郎の願いは、蜘蛛になること。代わりに閻魔が命じたのは、鬼の御用聞きと地獄の見回り、そして日誌を書くこと-。鬼蜘蛛と変化した女郎が見つめる、怨むこと怨まれること、許すこと許されることの意味。第三回小説現代長編新人賞作品。
スイーツ文明開化は酸いも甘いも運んでくる 西洋菓子屋を起こした皆川真次郎が、愉快な仲間・元幕臣「若様組」の警官達と、日々起こる数々の騒動に大奮闘。スイーツに拠せて描く文明開化・明治の青春。