出版社 : 講談社
明治中期、土佐・火振村の名家、道祖土家に十八で嫁いできた蕗。その容貌のため“猿嫁”と陰口をたたかれるが、不思議な存在感で少しずつ道祖土家に根を下ろしていく。近代化への胎動の中、時代は大正、昭和と移ろい、多くの戦の火の粉が火振村にも容赦なく襲いかかって人々の運命を弄ぶ-。すべての日本人が得たもの、失ったものを見据え、百年のタイムスパンで壮大に描きあげた、著者の新境地を拓く前人未到の野心作。
兵吾少年は奇妙な枡形の屋敷に住む老婆に助けられた。その夜、少年は窓から忍び入ろうとする鬼に出くわす。次々と起きる奇怪な事件。虎の彫像の口にくわえられた死体や、武者像の弓矢の先にぶら下げられた死体が発見される。真相は五十年の時を経て、「推理嫌いの探偵」の手により明らかとなる!本格超巨編。
うち捨てられた病院で起きた荒唐無稽な不可能犯罪-収容されていた院長の娘が密室で刺殺され、凶器の短剣も“三重の密室”から持ち出されていた。彼女が遺した奇怪な小説『迷宮Labyrinth』は何を語る?不吉な紅姫の伝説とは?混沌のなか惨劇はエスカレートし、悪魔的終局が現出する。これぞ鬼才の精華。
「桜島」「日の果て」などの戦争小説の秀作をのこした梅崎春生のもう1つの作品系列、市井の日常を扱った作品群の中から、「蜆」「庭の眺め」「黄色い日日」「Sの背中」「ボロ家の春秋」「記憶」「凡人凡語」の計7篇を収録。諷刺、戯画、ユーモアをまじえた筆致で日常の根本をゆさぶる独特の作品世界。
夫はなぜ消えたか?突然の失踪を契機に、前妻、娘、老母、再婚した妻、孤立していた四人の女の心は微妙に波立つ。男を失うことで呼び醒まされる女としての官能。体の内奥に潜むエロスが、しだいに女たちの心を結びつけ、不思議な絆と連帯感を生んでゆく。女の生と性、愛のかたちを精緻に描く高樹文学の真髄。
隋を建国した楊堅、晩年には酒色に溺れ、なんと息子の楊広に謀殺されるという憂目。ところが楊広もまた即位し煬帝となるや、全国から千人を超す美女を集め、遊びにふける始末だ。当然、その隙をついて在野の英雄たちが動きだす。皇帝と盗賊、英雄と悪女たちが入り乱れ隋末唐初への歴史ドラマが幕を開ける。
煬帝は各地に起こった叛乱をおさえることができず、ついに自殺した。そこを狙いすますように李淵が都の長安に侵入し唐を建国する。だが群雄は服するどころか、覇を争って戦乱はますます拡大していく。権謀術数が渦巻くなか、天下統一に向けて秘策が練られる。武将たちが繰りひろげる波乱万丈の大活劇。
唐の高祖李淵は、やっとの思いで天下を統一。それも束の間、今度は息子たちが帝位をめぐり争いだす。次男の李世民が太宗に即位、以後、華やかな大唐帝国へと歩みだす。女帝武則天の活躍、玄宗と楊貴妃の熱愛、安禄山の反乱など、心を熱くする大ドラマが展開。だが、隆盛もついに閉じる日がきた。全三巻完結。
1880年モスクワに生まれたベールイはモスクワ大学理学部に入学するが、象徴主義や神秘主義に傾倒して世紀末から革命に至る時代をひたすら文学に没頭する。1916年に刊行されたこの『ペテルブルグ』は、幻影の都市ペテルブルグで繰り広げられる緊迫したテロを描き、ナボコフも『ユリシーズ』『変身』『失われた時を求めて』と共に、二十世紀初期を代表する傑作と絶讃した。