出版社 : 講談社
アフリカの小国にボランティアとして派遣された産婦人科医・間野祥一は、現地の悠久たる時の流れと不可思議な部族風習の中で次第に自分を見失っていく。やがて帰国した間野の身辺で次々と起こる奇怪な出来事-。これは現実か、それとも妄想なのか?世界で爆発的に流行するインターネットゲーム「ゴスペル」がパンドラの箱を開け、巨大な脳へと人類を導いていく。著者の新生面を拓く、壮大なラビリンス世界の誕生。
現役自衛官殺人事件の捜査本部が、何の手がかりすらつかめぬまま、解散同然となった。以後の捜査は自衛隊の警務部が行うという。自衛隊は捜査状況の一切を秘匿する。あきらめる報道陣の中で、ひとり事件を追う決心をする男がいた。警察すら手出しできない殺人事件の謎に、何の力も持たぬ男が迫ることはできるか。
19世紀末、封建的時代のスウェーデン。貧しさゆえに12歳で農園に奉公に出されたハンナは主人の息子に強姦され、13歳で母親になる。苛烈な差別と過酷な労働にも耐え、息子を明るい子に育てるハンナ。彼女が産んだヨハンナも、奉公先の医師一家に虐待され社会主義に傾倒しながら、豊かになっていく社会と女の地位とのギャップに苦しむ…。-あまりに残酷な運命を生きた、北欧の美しい大地の女たち。母娘の、夫婦の、気高い愛が激動する時代を背景に光を放つ「希望の書」。
最先端の技術、知識をもってペルシャから日本に渡来した工匠の末裔・司堂家。おだやかに暮らしていた彼らの築城技術と驚異的な正確さで完成していた日本全図に、乱世を統べんとする戦国武将たちが目をつけたことから悲劇が始まった。著者自らの祖先をモデルに描く歴史ロマン。
高級クラブでVIPの接待係をしていた幼なじみの美女・麻利が失踪!新聞記者平野は家出人捜索所の片山と共にその行方を追う。武器商人、米国将校、元首相と、クラブの客を探るうちに、思いもよらぬ資料を手中にする。そこには核武装した新兵器の概要が!社会派推理の巨匠が、日本の腐蝕を抉る問題作。
武器商人や大物政治家が集う高級クラブの失跡した接待係を追っていた平野と片山は、要人抱きこみを狙う秘密接待所に辿りつく。核燃料再処理と新兵器への陰謀を操るのは誰か。南海の孤島へ飛んだ二人の前に、日本軍細菌部隊の亡霊が現れる。日本を覆う「恐怖の容器」を描き出した社会派巨編、堂々の完結。
14世紀のヨーロッパを襲ったペストがフィレンツェにもたらした死の影の下で、ボッカッチョは完全な精神の自由を獲得し、過去のくびきから解き放たれて、10日10話、100篇からなる多種多様な物語を書き上げた。ルネサンスの息吹きを伝え、近世小説のさきがけとなった屈指の古典『デカメロン』を見事な日本語に移しかえた名訳。(第7日、第8日は省略)
’98年に小説誌等に発表された約800篇もの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が厳正な審査を経て選んだ20の日本で唯一最高のミステリー傑作集。
ヨハンナに続くアンナは、学歴と名声と豊かさを手に入れた。しかし、夫の不倫に悩み、ついには別居を決意する。自分自身を取り戻すため、母親と祖母の生きた時代を旅してみようと決意するアンナ。そこには信じられない事実と、連綿と続く愛の系譜があった…。「母の不幸は愚かだったことではない。言葉を持っていなかったことだ」。時代と運命の渦に翻弄された3世代の女たちが、断絶と和解を繰り返しつつ、心のなかに安息の地を見つけ出すまでを描いた「現代人必読の書」。
日本を、世界を闇で支配する鳥玄坊一族に襲いかかる未曾有の危機。深海に眠る神獣は魔物と化して目覚め、米韓連合軍は日本殲滅に出動し、日本を地上から消しかねない巨大地震は目睫に迫った。さらに鳥玄坊に匹敵する力を秘めた、狐寿琳の子・義円の覚醒も近い…。地球の誕生より古い巨大な神殿群がそびえる“大和空間”にくりひろげられる新創世記。人間・神・宇宙誕生の真実を明かし「永遠の今」を封印した鳥玄坊三部作ここに完結。
七つの短編全てが読者への挑戦!周到極まりない殺人者の犯したたった一つの過ちとは?あるべき場所に死体がなかったのはなぜ?最有力容疑者を潔白であると探偵、信濃譲二はいうが?あらゆる角度から「推理小説」の醍醐味を味わってください。袋綴じの中に入った解答編を読むのは全ての謎を解いてから。
怪盗アルセーヌ・ルパンの淡い恋と冒険を描いた「ルパンの慈善」。アリバイ崩しの名探偵・鬼貫警部が活躍する「風邪の証言」。ヘンリー・メリヴェール卿が密室に挑む「赤死荘の殺人」。名探偵の華麗な推理に挑戦した贋作3篇を含む5作品に、敬愛するJ・D・カーについて芦辺拓氏との熱血対談、随筆を収録した新本格作品集。
闇の世界の支配者となるべく謀略を巡らせ、暴力とカネで禿鷹のごとく敵を食い尽し、のし上がっていく加賀篤。だが、大金と権力を手中に収めたとき、悲劇と崩壊は始まり、この世界を支配する真実の「闇の貴族」が姿を現す!金融と裏社会の修羅を生き抜いた著者が、世紀末に贈る悪漢小説。驚愕の破壊的一作。
三人姉妹、新しい神話の誕生。静謐な秋の湖にとどろく雷鳴。魂の成熟と再生、思寵の美しさ!男は水際の砂場に立っていた。風はないのに水際にはひっそりと漣が寄せている。異常なほど透明な水。だが湖の表面は両側の山陰部分だけを除いて、一面赤っぽい黄色に、ほとんど金色に染まっている。その光のきらめきの中に、女は後姿だけ見せていた。肩の広い長身の後姿が、影絵のように水から浮き出している。女がいまここに連れてきてくれたことよりも、前もって話さなかったことに、そしていまも黙って離れていることに、男は女の配慮を、彼女もこの世のものならぬこの光景を大切に思っていることを感じた。魂が不意に真空に晒される思いだ。知覚だけが異様に冴えて、感情の領域より一段下、普段は静まり返っている体の芯に近い暗い領域がひとりでに疼いて、自然に体が内側から開いてくる。
逃げる猫と岳飛軍の遺児の運命は?胸のすく痛快武侠活劇の秀作。桂花かおる港市、臨安(杭州)の二貴公子。巨魁秦檜に挑む!臨安は刺激の強い街だった。白日賊といわれる詐欺や盗賊が常に横行して、扇情的な話題には事欠かなかった。「猫を、外へ出すんじゃないよ。絶対に、出すんじゃないよ」その老人は、毎朝家を出る時に、かならず奥に向かってそう念をおした。杭州が臨安と呼ばれるようになってしばらくたつが、住宅事情は悪くなるばかりで、その日暮しの庶民が城内に一軒家を持つなど、夢のまた夢。その老人も数階建ての家の一階の一部を借り、妻とふたりで暮していた。最初、同居人たちはその女を、老人の娘だと思っていた。それほど年齢が離れていたのだが、狭い家の内のこと、ふたりの会話は自然にはいってくる。女が北から避難してくる途中、家族と生き別れ、老人に救われて妻になったということまで、ひと月たたないうちに、その家の全員が知るようになった。