出版社 : 講談社
「父を売る子」他、肉親を仮借なく批判した〈私小説〉を執筆、一族の血の宿命からの脱却をギリシャ的神話世界に求めた異色の作家牧野信一。処女作「爪」を島崎藤村に激賞され、空想と現実の狭間で苦悩し自死した先駆的夭折作家の、12篇を収録。
京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城を彷彿させる館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇の幕はすでに切って落されていた。首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人、2人の名探偵の火花散る対決そして…。島田荘司、綾辻行人,法月綸太郎三氏の賛辞を付して刊行された著者21歳のデビュー作、ノベルス化になる。
春の訪れを待ちのぞむ二人の少女-。桜の花のように儚げな晴美と、蘭の花のように艶やかな美春。漆黒の髪と、その黒い瞳で少女たちの心を虜にする、弓削家の当主、葉月。亡霊のように現れては、晴美の心を見透かすように語りかける謎の庭師。四季の庭に、季節おりおりの花が咲き乱れる旧い館を舞台に、狂気の美が彩る殺人交響曲。新進気鋭が、華麗なる筆致で描く幻想耽美ミステリ。
大東京を恐怖のどん底につき落とす連続殺人が発生。犯行は金槌によるメッタうちと絞殺が交互する。犯人は一人か、あるいは別人か。現場には常に謎の数字を記したメモが…。被害者たちを結ぶ“失われた環”を探せ。ご存知速水三兄妹がつきとめた驚愕の真相とは?奇想天外な推理の新旗手の長編第三作。
日本のVIPの乗った航空機を墜落させた巨悪組織は、通信網の中枢を怪電波を使ってコントロールし、日本政府をパニックに陥れた。日本でただ一人、国家安全委員会から「殺しのライセンス」を与えられた世界最強の男・黒木豹介は、美貌の秘書・高浜沙霧と共に組織壊滅のため出動する。待望の黒豹シリーズ。
「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて相手を刺殺、自らは死を選ぶー、という手記を残していた。手記を読んだ名探偵法月綸太郎が、事件の真相解明にのりだすと、やがて驚愕の展開が。精緻構成が冴える野心作。
二十数年にわたって、養父殺しの尊属殺人罪で獄窓につながれた美女が再審を請求する。司法界の名物老弁護士・猪狩文助は、不幸な女・香奈子を救うため、弁護に乗り出す。そして彼女が殺したとされる養父の遺体を土葬された棺の中から取り出し、再鑑定するように請求した。猪狩文助シリーズの長編傑作。
鋭く周密な観察で幼年期を綴る「千年」、漠然として白く燃え上り落着の悪い記憶の断片に纏る不安、恐怖・なつかしさを語る「桃」。心弱い父が美しく描かれ父と子の屈折した心情溢れる「父と子の夜」など、仄暗く深い記憶の彼方の幼年時代を、瑞々しく精緻に描出する阿部昭の秀作群。毎日出版文化賞受賞短篇集『千年』に「あの夏」「贈り物」を併録。
ある時は“コケティッシュ”な女、ある時は赤い三年子の金魚。犀星の理想の“女ひと”の結晶・変幻自在の金魚と老作家の会話で構築する艶やかな超現実主義的小説「蜜のあわれ」。凄絶なガン闘病記「われはうたえどもやぶれかぶれ」、自己の終焉をみつめた遺作詩「老いたるえびのうた」等、犀星の多面的文学世界全てを溶融した鮮やかな達成。生涯最高の活動期ともいうべき晩年の名作5篇を収録。 陶古の女人 蜜のあわれ 後記 炎の金魚 火の魚 われはうたえどもやぶれかぶれ 老いたるえびのうた
対馬近海の小島「二宝島」における軍事的緊張は、ついに日中の戦車戦へと発展した。国内でも各地で、空港統制の混乱や銀行オンライン妨害によるパニックが発生。内外の緊張状態を利用し、権力集中を目論む、時の首相、矢神の乗る政府専用機に、かつて“ナイトダンサー”と呼ばれた男は機銃の照準を合わせた。
闇の中で大きく目を開けて、目の前の光景を想像した。二メートルを超える太った雌の大蛇が、ゆっくりととぐろを解いている。骨まで凍りつき、身体に氷の芯ができたようだ。部屋は不気味なほど静かだった。-悲惨な死を遂げた父の謎を追う美人犬訓練士キャサリンの身に危難が…。アガサ賞受賞の傑作。
伝説のピアニスト、バローは生きていたのか?40余年ぶりの新録音がCD化され、話題を呼んだ。奇跡の楽壇復帰を仕掛けたのは、スイス在住の島村夕子であった。しかし、ベストセラーを続けるCDに疑惑の影が。美に憑かれた女のゆくところ、謎また謎。最終章に衝撃的ラストが待ちかまえる音楽ミステリー。