出版社 : 講談社
総合商社で展開される人員削減計画の中で、同期入社の2人を襲った苛酷な運命の行方は?鉄鋼第1課長から通称“植物園”に左遷された北野一生と、“企業内職安”の設置を特命された人事課長の早川浩が、それぞれに抱く葛藤と友情の機微に分け入り、最後に下した商社マンの決断を爽やかに描く経済小説。
関東平野の片隅の、とある山麓の町。そこには夢もチャンスもなかった。東京にはそれがあると思ったー。都会の喧騒のさなかに、ひっそりと花開いては消えていく、さまざまな愛のドラマ。スポーツ小説の俊英海老沢泰久が、誰もが味わう青春の喜びと痛みを鮮やかに定着した珠玉の13編。新感覚恋愛小説集。
不思議な物語は、イスタンブールのトプカピ・サライ博物館から始った。中国陶磁器の前に佇む奈美に、端正な紳士が話しかけてきたのである。夫の急死から立ち直ろうと、実家に伝わる青花(染付)の謎を追う奈美に、その男林輝南は、清朝末期の青花にまつわる愛の秘話を教え、2人は調査を進めてゆく。
一対の壷と皿を発端に、瓶、大陶板と発見されてゆく一連の青い波涛模様の焼物は何?大戦のさなか、日中両国に激しく生きた男女の愛の物語を綯いまぜにして、奈美と林輝南の前に明らかになってきた美しい磁器との縁。民族の叙事詩を背景に、人間の運命を世界的なスケールで描く、感動の大河小説。
NHKのロングラン・ドラマ『中学生日記』の青春群像は、小説として鮮やかに再現。最も傷つきやすく、いまだ将来の姿が見えない成長途上期の中学生たちが、悩み、怒り、悲しみ、さまよいつつ生きる日々の光と影を生彩に描き、保護者や教育者への指針にもなる感動のドラマ。長・短編計4編を同時収録。
EC委員会ーそれはタフな男たちが国家の利害を賭けて血みどろの闘争を繰広げるジャングルだ。西ドイツとラテン諸国の相互不信、イギリスと大陸諸国の覇権争い、さらに雑多な民族と宗教が牙を見せ合う。名門ながら冴えない英下院議員モートンがブリュッセルに出向を命じられた時から彼の運命は歴史の歯車に巻き込まれはじめたのだった…。
世界の一流アーチストが描くイラスト742点と、NHK放映の英国テレビ「シャーロック・ホームズ」シリーズ59場面をカラーで収録。ホームズ・ファッション満載のイラスト・写真800点を収録。
女たちの身と心がつぐなう戦争の雄叫びの後の深い嘆きの声。明かるい社会の到来と一時は思われたが、傷を受けた女たちを打ちひしぐ社会の圧力!死に場所をさがして街をさすらう染代。進駐軍兵士のオンリーからパンパン、そしてホステス。戦争乙女たちを描く長篇小説。
すでに日本の敗色の色濃い狂乱の第2次大戦下。その厳しくも空しい自分なりのありのままを生きた一介の元、指物師の遊び人、政っつぁんこと荒巻政五郎なる人物を主人公とした、ある種の小説的(?)画文集とでもいっておこうか…。限りない郷愁をこめて贈るご存じ泥鰌庵こと滝田ゆう書下し画文集。
鯉師・戸村吾一が秘かに育てあげ、次期全日本グランド・チャンピオンをねらう〈稲妻〉。この名鯉にかかわる人々に次々と起こる不可解な事件。錦鯉に寄せる鯉師の執念と、権力・権益を追い求める政治家の妄執が、メビウスの環の上を果てしなく走り続ける。書き下ろし本格ミステリー。
起死回生の新作で存在を世に問うべく、秩父の山荘にこもった老作家のもとに美貌の女性が訪れる。書き上げたばかりのミステリーの原稿を持って…。すべての謎はここからはじまった。殺人、惨劇、犯人はおろか、見えかけた真相まで罠にしてしまう、驚倒の多重トリック。注目の新鋭、傑作長編ミステリー。
愛する息子ニッキーが自殺した。それも何の前兆もなく。私がジョギングから上機嫌で帰宅したとき、夫のベンがうつろな顔で私に悲報を告げたのだ。ニックの命を奪ったのは、クロムウエル大学の古色蒼然とした権威の陰に蠢く、何か恐ろしい秘密ではないかー。母として女性検事として、私は単身大学に乗り込んだのだった。そこで見たものは。
悪魔のウイルスを撒きちらしながら、決死の逃亡行を続けるテロリスト。世界の難病に向けて宣戦布告した癌病船北斗号の白鳥船長以下選りすぐりの医療スタッフは、謎のウイルスを解明すべくアフリカ奥地へと踏み込む。が、ウイルスの正体は杳としてわからない。テロリストとウイルスから地球を救おうとする癌病船スタッフの崇高な聖戦。
死をたじろがずに見つめ、みずからの宿命をいさぎよく受け容れる。冷徹な眼で築き上げられた吉村昭の短編小説の魅力。軍用機を爆破して元脱走兵を取材する「私」と、家族にも過去を語らず、苦悩の歳月を生きてきた男との魂の交流を、一夜のうちに咲き散る月下美人の花に託して描く表題作など、8編を収録。
クラスでふたりは際立った。英語をきれいに発音できる少女と、訳出が上手な少女。ふりたの奇妙な友情は、大人になり、互いの社会的条件がちがってきても、表向き続いていたが…。洗練されたセンスと鋭い感性に裏うちされ、優美と毒とを巧みに織りまぜる秀作12編。惜しまれつつ急逝した著者の“忘れがたみ”というべき作品集である。
或る日突然変貌し、異常なまでに猛烈に働き出す男(「聖産業週間」)。会社を欠勤し自宅の庭の地中深く穴を掘り始める男(「穴と空」)。企業の枠を越え、生甲斐を見出そうとする男(「時間」)。高度成長時代に抗して、労働とは何かを問い失われてゆく〈生〉の手応を切実に希求する第一創作集。著者の校訂を経て「花を我等に」「赤い樹木」を加えた新版・六篇。芸術選奨新人賞受賞。
父と、黒川先生とが、あの日道後の茶店で行き会った、酒飲みの乞食坊主は、山頭火だったのではなかろうか。横しぐれ、たった1つのその言葉に感嘆して、不意に雨中に出て行ったその男を追跡しているうちに、父の、家族の、「わたし」の、思いがけない過去の姿が立ち現れてくる。小説的趣向を存分にこらした名篇「横しぐれ」ほか、丸谷才一独特の世界を展開した短篇3作を収録。 横しぐれ だらだら坂 中年 初旅 文庫版のためのあとがき 解説池内紀