出版社 : 講談社
美人宝石デザイナーの死を、警察は自殺と断定したが、義理の息子・俊彦は死因に疑問を持ち、独自に調査を始める。俊彦は義母と不義の関係があった。嫉妬に狂った父の犯行か?調査を進めると、義母が莫大な借金をしていたことや有名俳優との不倫の関係が明らかになる。バイオレンス・エロスの輪舞劇。
“生と死”とドラマチックに描く短編小説集。処刑を目前にした死刑囚と面接委員との心の交流を鮮やかに描いた「メロンと鳩」、毎月数十数人もの自殺者が飛びこむ断崖をひかえた村を舞台に、“その瞬間”を警察官の子供の眼からとらえた「島の春」など、吉村昭の多彩な小説世界のエッセンス10編を収録する。
初期作品世界デビュー作「ガラスの靴」芥川賞受賞「悪い仲間」「陰気な愉しみ」他、安岡文字一つの到達点「海辺の光景」への源流・自己形成の原点をしなやかに示す初期短篇集。幼少からの孤立感、“悪い仲間”との交遊、“やましさ”の自覚、父母との“関係”のまぎらわしさ、そして脊椎カリエス。様々な難問のさなかに居ながら、軽妙に立ち上る存在感。精妙な“文体”によって捉えられた、しなやかな魂の世界。 幼少からの孤立感、“悪い仲間”との交遊、“やましさ”の自覚、父母との“関係”のまぎらわしさ、そして脊椎カリエス。様々な難問のさなかに居ながら、軽妙に立ち上る存在感。精妙な“文体”によって捉えられた、しなやかな魂の世界。出世作「ガラスの靴」をはじめ、芥川賞受賞作「悪い仲間」「陰気な愉しみ」ほか初期名品集。 ●ガラスの靴 ●ジングルベル ●宿題 他
打倒平家の旗のもとに鎌倉を進発した源氏軍と、意気あがらぬまま東下した維盛ひきいる頼朝征討軍。両軍は、富士川をはさんで対峙する。“水鳥の羽音”で敗走した平家には、著者一流の解釈がある。黄瀬川の陣で、末弟義経と初の対面をした頼朝。いよいよ活気づく源氏勢に手を焼く平家は、腹背に敵をうけた。木曽義仲の蜂起は平家一門の夢を劈き、北陸路もまた修羅の天地であった。
寿永二年は、源平それぞれに明日の運命を賭けた年である。ひとくちに源氏といっても、頼朝は義仲を敵視しているから、三つ巴の抗争というべきであろう。最初の勝機は義仲がつかんだ。史上名高い火牛の計で四万の平家を走らせた倶利伽羅峠。勝ちに乗じた義仲は、一気に都へ駈けあがる。京洛の巷は阿鼻叫喚。平家は都落ちという最悪の事態を迎えるが、一門の心と心は決して同じではない。
囚われの身ながら潯陽楼の風光に見惚れた宋江は、即興の一詩をそこに残したが、謀反人の烙印を押され、あわや刑死という寸前、晁蓋をはじめとする梁山泊の面々に救い出された。二丁斧を使う李逵や姦婦巧雲を成敗した楊雄も仲間に加わり、梁山泊の勢いは、日に日に旺となる。ここにその動きを警戒するのが、地元豪族の祝氏一族。ついに両者は激突し、悪戦苦闘の末、泊軍は勝利を収める。
最晩年の著者が、心血を注いで築きあげた壮大な中国絵巻!一騎当千の豪雄がそろい、民衆の与望をになって起つ梁山泊軍は、野火のごとく勢いを増す。権勢の人、高〓@42C6は、一万四千の大軍をもよおして泊軍を討たんとする。その秘密兵団こそ、連環馬軍であった。さしもの泊軍も色を失い、梁山泊始まって以来の大損害をこうむる。しかし梁山泊の智恵者は王手を逆にとり、難局を乗り切った。
奥信濃の秘境・秋山郷と東京六本木の2ヵ所で続けざまに起った美人姉妹殺人事件!両方の殺人には、伝説の鬼女が出現していた。探偵事務所のアルバイト女子学生の私は、一緒に殺された犬のゼウスに犯人を示す鍵があると気づき、第三の殺人を阻止しようとするが…。鬼女の魔手は、容赦なく私に向ってくる。
寝台特急「さくら」で射殺死体が発見された。車内に残された5千万円の札束は、少女誘拐殺人事件で支払われた身代金と判明した。一人娘を殺された及川俊郎が誘拐犯をつきとめ、4年前の復讐を遂げたのか?しかし及川には「さくら」の前を走る「あさかぜ82号」に乗車していたという鉄壁のアリバイがあった。
レジャーライターの釣部渓三郎は、初夏の笹子奥野沢では女の全裸死体、また寸又峡の栗代川では身元不明の男の死体を発見する。二つの事件の関連は?男の所持品の中に渓流用の珍しい毛バリが1本。毛バリが語る男の隠された素顔。おなじみ釣部と上条アキのコンビの推理が冴える渓流ミステリー。
昭和57年9月ー東京・荒川の河川敷で、関東大震災直後に故なく虐殺された朝鮮人を慰霊するための遺骨発掘作業が行なわれた。だが、遺骨は見つからず、3年後、別の白骨死体が隅田公園で発見された。身元捜査が開始される…。過去と現在が交錯する二重、三重の深い謎を描く、本格社会派ミステリー。
独身実業家沖邦彦の花嫁公募に殺到した若い女性の群れから最後に4人が選ばれた。平凡なOLの中山美佳もそのうちのひとりである。4人は沖と京都へ旅する。第1夜に美佳は沖と結ばれ、幸せにひたるが、他の花嫁候補の身に惨事が起きていた。そしてまた、次の犠牲者が…。華麗トリックをちりばめた秀作集。
第二次世界大戦でアメリカが誤って撃沈したとされる補給船大阪丸。だがこの船にはアジア諸国から収奪された巨額の金が極秘に積みこまれていた。いまこの黄金が引き揚げられると、各国経済は大打撃を受けかねない。所有権の問題と引揚げの是非をめぐって各国の国際戦略がからみ合い、南シナ海は緊張に包まれた。長編海洋スパイ小説の傑作。
世界の金相場を壊滅しかねぬほどの膨大な黄金を積んで沈んだ「大阪丸」。その測り知れない財宝を、3人の男の、どす黒い野望が狙っていた。国益よりも自分の利益が優先のCIAコンサルタント、日本財界の大物、台湾の将軍。舞台はラングレー、丸の内、基隆の軍港、さらに海中深くに目まぐるしく移動し、国際緊張は一気に高まっていく。
“戯作者”の精神を激しく新たに生き直し、俗世の贋の価値観に痛烈な風穴をあける坂口安吾の世界。「堕落論」と通底する「白痴」「青鬼の褌を洗う女」等を収録。奔放不羈な精神と鋭い透視に析出された“肉体”の共存ー可能性を探る時代の補助線ー感性の贅肉をとる力業。
原爆投下から30数年、〈女〉は長崎を訪れた。坂の上の友人の家で、人々と取止めない話を交しながら死んでいった友たちや、14で被爆した自らの過去を回想する。日々死に対峙し、内へ内へと篭り、苦しみを強いられ生きる被爆者たち。老い。孤独。人生は静まり返っているが体験を風化させはしない。声音は低く深く響く。原爆を凝視する著者が被爆者の日常を坦々と綴る名篇。