出版社 : 講談社
日本のなかば以上を所領した平家が、いま寸士も失って、水鳥の如く波間に漂う。思えば、入道清盛逝きて、わずか4年後の悲運である。最後の夢を彦島のとりでに託して、一門の船団は西へ西へと向う。史上名高い那須余一の扇の的、義経の弓流しなど、源氏がわの武勇をたたえる挿話のみが多い屋島の合戦。著者は眼を転じて、追われる平家の厳島祈願に込められた、惻々たる心情に迫る。講談社創業80周年記念出版。
平家には、もう明日はなかった。さかまく渦潮におのれの影を見るごとく、壇ノ浦に一門の危機感がみなぎる。寿永4年3月24日の朝、敵味方のどよめきのうちに戦は始まった。だが、単なる海戦ではない。海峡の戦である。独特の潮相と風位の戦である。潮をあやつり、波に乗るもの、義経か知盛か。その夜の星影も見ず、平家は波騒に消えた。波に底にも都の候う、との耽美的な一語を残して。講談社創業80周年記念出版。
「花まつりを見に行きます」という絵ハガキを遺して死んだ姉・直美。その足跡をたどって岡田美沙緒は北海道を訪れる。冬の花まつりとは一体なにを意味するのか?そして人妻の事故死との関係は?すべての謎が解け、姉の愛した男をさがしあてたとき、美沙緒を待っていたのは、想像を越える慟哭の真相だった。
東京近郊の高校を卒業した男たちの数奇な人生。周辺住民に追い立てられるメッキ業者、サラ金に迫われて非道な取立人に変身した男、怪しげな技でくいつなぐ大道芸人、強運に妻に救われる元博奕打ち等、中年男たちの、怨念、反骨、乱暴な友情、切ない恋愛を、辛辣にユーモラスに描く、新風都会派傑作短編集。
パレスチナ解放勢力とイスラエル軍がきびしく対峙するレバノン南部ー、日本人ジャーナリスト峯元彦は、PFLPのコマンド隊の軍事行動に参加。火を吹くカラシンコフ自動小銃、轟く対空砲火。戦争の悲惨と人間解放の困難さを目の当りにした峯は、それでも戦火の中で真の自由を獲得する道を探し求めた。
「忘れられないわ。素敵だったルート19、そして、あなたも」ほんもののツーリングを教えたくてタンデムランに出たぼくと彼女。雨あがりのルート19、ぼくはマシンを止め、彼女の手をとるー。表題作をふくめ、メカニックと女とバーボンと、ちょっとセンチメンタルな関係をみずみずしく描いた六編を収録。
後の世、名奉行といえば第一に名前をあげられる大岡越前。だが、彼の前半世は決して人に誇れるものではなかった。元禄の悪風に染まり、水茶屋の女お袖との間に一女までなしたが、一緒にはなれない。やがて、彼が江戸町奉行へ抜擢された時、お袖の復讐が彼を待っていた。-みずから蒔いた種をみずから裁く人間大岡越前の苦悩。著者が戦後の混乱した世相に、深い想いを託して描いた意欲作。
平家追討の院宣ならびに朝日将軍の称号を賜わり、生涯最良の日々を味わう義仲。だが、彼の得意満面の笑みも次第に歪みはじめる。牛車の乗りかたひとつ知らない田舎そだちだから、殿上づきあいは苦手だ。相手は老獪な後白河法皇。義仲の凋落は水島合戦から始まった。反撃の平家、背後から襲いかかる鎌倉勢、加えて院方ーーと義仲は四面楚歌。さすがの一世の風雲児も、流星の如く消えてゆく。 一代の風雲児義仲も、流星の如く消えてゆく。平家追討の院宣と朝日将軍の称号を賜り、得意絶頂の義仲に訪れた落日は意外に早かった。反撃の平家、背後から襲いかかる鎌倉勢、加えて院方と、義仲は四面楚歌。
源氏の内輪もめが幸いして、都落ちした平家は急速に勢力を挽回していた。西海は一門の軍事力の温床、瀬戸内には平家の兵船が波を蹴たてて往きかい、着々と反攻の秋(とき)を窺っていた。わけて一ノ谷は天険の要害、平家自慢の陣地だった。加えて兵力では、平家は源氏の何倍も優位にある。しかし、地勢と時と心理とは、まったく平家に不利だった。義経軍の坂上からの不意打ちに算を乱して敗走する。 都落ちして半年、急速に勢力を回復する平家。西海は一門の軍事力の温床、瀬戸内には兵船が波を蹴てて往きかい、着々と反応の秋を窺っていた。わけて一ノ谷は天険の要害、平家自慢の陣地だったが……
一ノ谷の合戦から屋島の合戦までには、1年の月日が流れている。さきの合戦に大功をたてながら、なんら叙勲の沙汰もうけぬ義経。そしていったん任官後は、鎌倉に断わりもなく、と不興を買い、平家追討使の大役も範頼に奪われた義経。鎌倉どの差向けの花嫁も、彼の心を暗くする。だが、源氏は義経をまだ必要としていた。-西国攻めの範頼軍は備前児島に立往生し、平家軍が猛威をふるう。
カナダを訪れたアンジェリクは、30年ぶりに長兄ジョスランと再会した。だが、その喜びもつかの間、ケベック警察の執拗な追及の手が彼女に迫る。しかも、3年前アカディアの森で殺された筈の魔女モードリブール夫人が今も生きているという新しい疑惑が、アンジェリクを恐怖におとしいれた…。
あの信濃譲二が劇団〈神技〉に参加したとき、「殺人者」が緻密にそして大胆に作りあげた「仕掛け」はすでに作動していた。劇中で三人の命を奪うために用意されたナイフが、公演初日、本物の血を吸ったのだ!作中に巧妙に隠されたダイイングメッセージが信濃によって解読されたとき、読者は言葉を失うことだろう。
超能力ジャズカルテットが活躍するライブハウスの傍で殺人事件発生。カルテットのメンバーのひとり比嘉隆晶は、何かに怯える金髪の少女に助けを求められた。少女の持つ超能力を軍事利用して、世界制覇を狙う国際テロリスト団の存在を知った若きジャズメンは、敢然と彼らに立ち向かう。痛快アクション小説。
現存世界の背後に潜む幽冥な魔窟シャンバラに謎の女・紅孔雀を捜しに火雷厳道が現われた。この地で春をひさぐ女たちの魂を救う火雷厳道の底知れぬ熱力に、シャンバラの支配者や魑魅魍魎は怯えた。妖しい美女との淫楽、羅刹の座をめぐる凄惨な戦い!官能とバイオレンスが噴出する傑作シリーズ第1弾。
岩手県で1年間にわたり、UFOの目撃者が続出、そして奇怪な焼死体さえも!だが、このUFO騒動には黒い魔手が存在するらしい。疑惑を抱く超能力者霧神顕たちは、怖るべきパワーの魔手と闘い、傷つきながらも、ついに魔の本拠・総門谷に潜入した。そこで目にした驚愕の光景とは?構想15年を費したSF伝奇超大作。