出版社 : 集英社
25歳のサチコは、不条理な派遣労働から逃れるように亜熱帯の台湾に渡り、偶然再会した在日コリアンのジュリと、台北の迪化街で暮らしていた。誕生日の晩、サチコが古物商の革のトランクのなかに日本統治時代の台湾を生きた女学生の日記をみつけたことから、ふたりの生活は一変する。普段は引きこもっていたジュリだったが、その日記を書いた女学生の行方調査に夢中になり、やがて大きな謎につきあたった。それは、70年以上前、深山に囲まれた日月潭という湖で起こった、ある少女の失踪事件だった。遠い昔に姿を消した少女を探す旅は、いつしかふたりのアイデンティティを求める旅につながってゆくー。
昭和29年に大阪の待兼山駅前で父と母が始めた書店と喫茶店。1階の書店を兄が、2階の喫茶店を弟が継いだが、時代の流れもあり、65年続いた店の歴史の幕を閉じることに。残された数ヶ月間、月に一度開かれる「夜会」で、街にゆかりの人々が語るとっておきの思いがけない体験、生涯最高の思い出とは…。誰の半生にも忘れられない出来事が起きている。閉店の決まった喫茶店が主催する“待兼山奇談倶楽部”。そこで語られた、せつなく、美しく、不思議な物語。あなたに届ける7つの連作短編集。
超人殺人、再び!知の惨劇が熱海で起こるという手紙を受け取ったミートとキン骨マン。訪れたホテルでは7人の悪魔超人が宴会を開いていてー!?ほかにも激辛グルメフェスや巨漢超人の集う宿など、二人の行く先々で怪事件が続発!驚愕の本格超人ミステリ!
ビーバーイーツ配達員として日銭を稼ぐ大学生の僕は、注文を受けて向かった怪しげなレストランで、オーナーシェフと出会う。彼は虚空のような暗い瞳で、「お願いがあるんだけど。報酬は1万円」と、嘘みたいな儲け話を提案し、あろうことか僕はそれに乗ってしまった。そして気づいた。どうやらこの店は「ある手法」で探偵業も担っているらしいと。空室に届き続ける置き配、火災現場に突入した謎の人物、なぜか指のない轢死体…。オーナーはどんな難問も華麗に解いてしまう。そして、配達員にこう伝えるのだ。-「もし口外したら、命はない」。
1619年、アルサは魔女裁判にかけられていた。 1942年、ヴァイオレットは、望まぬ妊娠と婚約に人生を奪われていた。 2019年、ケイトは恋人のDVから逃れ、大伯母の遺した屋敷に隠れていた。 身体を、運命を、自由を、取り戻せ。 「魔女」と呼ばれた一族の女たち。暴力と不条理からの解放を求めた彼女たちの戦い。時代の異なる三人の女性の視点で描かれた絆の物語。 英国で25万部超の鮮烈なデビュー長篇。 (原題 Weyward) 【著者略歴】 エミリア・ハート (Emilia Hart) オーストラリア、シドニー生まれ。ニュー・サウス・ウェールズ大学で英文学と法学を学んだのち、シドニーとロンドンで弁護士として働く。2023年に本作『ウェイワードの魔女たち』でデビュー。ニューヨーク・タイムズのベストセラーに入り、同年Goodreads Choice Awardsの最優秀デビュー小説賞と最優秀歴史小説賞をダブル受賞。 【訳者略歴】 府川由美恵 神奈川県出身。主な訳書にR.A.サルバトーレ「アイスウィンド・サーガ」シリーズ、C・ボグラー『作家の旅 ライターズ・ジャーニー 神話の法則で読み解く物語の構造』、C・マッキャリー『上海ファクター』、B・ハーパー『探偵コナン・ドイル』など。
大ヒット歌劇SLG『ジャックジャンヌ』本編最終公演でのメインキャラクターそれぞれのエピソードが小説化ー!!ユニヴェールの舞台を夢見た少女と、その傍に立つ少年のつかの間の安らぎ。数多の選択の先にある、希望と決意の七つの物語。
「立派なお坊さんになるのですよ」。母の願いを受けて、安国寺で修行する幼い千菊丸だが、禅寺は腐敗しきっていた。怠惰、折檻、嫉妬、暴力。ひたすら四書五経を学び、よい漢詩を作らんとすることをよすがとする彼の前に将軍寵臣の赤松越後守が現れ、その威光により、一気に周囲の扱いが変わっていく。しかし、赤松が帝の血をひく千菊丸を利用せんとしていることは明らかだった。周建と名を改め、建仁寺で詩僧として五山の頂点が見えたものに拘わらず、檄文を残して五山から飛び出し民衆の中に身を投げる。本当の救いとは、人間とは、無とは何なのか。腐敗しきった禅を憎み、己と同じく禅を究めんとする養叟と出会い、その姿に憧れと反発を同時に抱えながら、修行の道なき道をゆくのだった。己の中に流れる南朝と北朝の血、母の野望、数多の死、飢餓…風狂一休の生そのものが、愚かでひたすら美しい歴史小説の傑作。
東京・虎ノ門の企業に勤める桐人は、希望部署に配属されるも、同期の直也と仕事への向き合い方で対立し、息苦しい日々を送っていた。直也に「真面目な働き方」を馬鹿にされた日の昼休み、普段は無口な同僚の璃子が軽快に歩いているのを見かけた桐人は、彼女の後ろ姿を追いかける。たどり着いた先には、美しい星空が描かれたポスターがありー。都会に生きる人々が抱える心の傷と再生を描いた、優しさ溢れる連作短編集。
鳴り響くアメリカ国歌、まき散らされる炎、光る銃に流れる血。崩壊する町で逃げ惑う住民たちが辿りついた先は、元大統領邸宅だったー。“現代アメリカ”の極地を描く近未来ディストピア作品集。秘密裏に息子をサンプルとした社会実験をおこなう教授、世界滅亡前に家を買おうと奮闘するシングルマザー、白人至上主義者たちが暴徒化した世界で立ち上がる、偉人と奴隷の子孫の女子学生、これはSFなのか?それとも現実なのか?衝撃のデビュー作。表題作の中編ほか5作品を収録。
「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまいー「竜舌蘭」。「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由はー「グリフィスの傷」。「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜けるー「まぶたの光」。…ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。
人気アイドルグループ“カラーナンバー7”の新曲を研人が手がけることに。なぜか堀田家にメンバーが来て作業を進めるという流れで…。浮足立つなか“東京バンドワゴン”の隣地への“クリエイターズ・ビレッジ”の準備は進んでいく。そして、夏に迫る堀田家の新たな生命の誕生や結婚式!今年も堀田家は賑やかで温かで、「LOVE」に包まれている。人気シリーズ待望の第19弾!
京都の大学に入学した数学好きの田辺朔。大学生活に馴染めず、漫然と授業を受け、バイトをしているうちに一回生前期は終わってしまった。後期に入り、旧文学部棟の地下、通称「キューチカ」でひっそりと営業されているバーのマスター夷川と出会い、朔の大学生活は一変したー。まぶしくて、切ない。20代の日々。
太陽と六美が世界一周クイズ大会に参加したり、七悪とりんねが文化祭に紛れ込む未知の生物を捜索したり、嫌五がこっそり猫を飼おうとしたり…小説だけの物語を全5編収録!描き下ろしピンナップもあり!
涙はしょっぱい、お菓子は甘い。親戚が営む小さな製菓会社に転職した茉子は、コネの子と呼ばれながらも、会社の古いルールを変えようと格闘するが…。あなたが生きる“今”に光を灯す、希望の物語。
かつては最愛の姉であった生きる屍のこともその手で貫き、姉の伴侶であるバーナードへの復讐を果たした元勇者ラウルは、今度こそ国王との決着をつけるため、この地上に残る最後の復讐対象のもとへと向かう。そのころ、クルツ国は魔族とラウルによって主要都市を半数以上失い、王都は崩壊して戦力も乏しくなっていた。それでも、ラウルに許しを請う行為など認められるわけもない国王は、手立てもなく崖っぷちに追い詰められてしまっていた。そこへ、主要都市バールにラウルが現れたとの知らせが届き、怒りに震えたクルツ国王は、ブラッカム将軍にラウル討伐作戦の練り直しを叫ぶー。