出版社 : 風詠社
新宿歌舞伎町。二日酔いで事務所に現れた竜次は、今日も事務員の頼子に咎められている。ワイルドターキーとジャズを愛する男の日常だ。指定された喫茶店で客を待っていると、やって来たのは大物代議士の秘書だという男で、首筋と額に脂汗を浮かべながら何かに怯えるようにガタガタと体を震わせていたー。過激なアクションを数多く経験してきた役者、工藤堅太郎が描く探偵小説の快作!
1981年、大学のキャンパスで出会った三人。永遠だった筈の友情は、雪乃の唐突な失踪により崩れてしまう。それから三十余年が経ち、彼女から届いた一通の手紙。そこに書かれていたこととは…。封印されていたあの頃が蘇り、托された想いを道標に、初老を迎えた「若者たち」が再会へと動き出す。切ないほどに純粋な約束が三人の心を繋ぎ、其々の人生を温かく包む感動作。
風間徹治は高校ラグビーの指導者として強豪ラグビー部を預かるが、自身の起こした体罰事件を端緒に挫折。その後は他校に転任。そこにも弱小ラグビー部があったものの、教育とラグビー指導への情熱を失った風間は一切関与しようとしなかった。だが、類稀なラグビーセンスの持ち主である草薙透が入部。草薙は風間に監督就任を要請した…。再びラグビー指導者としての歩みを進める風間。強豪チームから弱小チームへと環境が激変した中、風間の真の再生はなるか。
大塩平八郎の乱で生存が不明だった格之進が、隠密廻り同心の亮之介とそっくりだったら…、そんな想像から生まれた物語。命を吹き込まれた登場人物たちの躍動感と息もつかせぬ展開に、いつしか筆者の創造した迫力ある世界に引き込まれていく。芸歴60年の役者、工藤堅太郎が描いた痛快時代小説!
小説を“家”に喩えれば、この物語は家を美術作品で飾った“文学の家”です。ある経緯から花にされたマキカは惑星で井戸の管理人・ヒーローの世話を受けますが、突然ヒーローが旅に出てしまい、花は枯れ、花のチリは宇宙空間を漂い、地球に到達して花として蘇り、一本脚のマキカはインドをスリービートで跳ねて歩き、つらい旅路で心も体も揺れながら不思議な声に導かれて旅を続け、煙の中から人間マキカが現われ、戦争の砲火と軍靴の音の中から英雄が生れたように、マキカには救世主の期待がかかります。マキカはヒーローの正体を見破り天国から幸せのしずくを地上に落としてくれるようにねだります。この物語は地獄のような戦場やつらい社会の上にヒーローが落としてくれた幸せのしずくかもしれません。花通信によってバスルームに描いた絵で綴った物語全十五話。
小倉藩の根底を揺るがした「白黒騒動」。その首謀者として処断された上原与市は本当に反逆の大罪人だったのか?事実を調査し、歴史を繙き、そして明らかになる事件の顛末とはー日本最大級の御家騒動の真実に迫る、入魂のノンフィクション歴史小説!
レジ係の頼子、トラック運転手の孝夫、ギョーザ屋の敏明、ストッキング工場の義男、犬のコタロー。“おばんざい屋くるくる”を訪れるお客さん達が出くわした人生ギリギリの「事件」とは?ハラハラドキドキに季節の味も合わせて楽しめる極上のグルメ&オムニバス小説。
中学三年生、西澤浩志の心の中には、幼い頃から「ゼル」という小生意気な悪魔が棲んでいた。いじめられっ子の西澤はゼルにそそのかされ、学校中で人気のある美少年の同級生、北城翔一に対して魂交換の儀式を行うが…。果たして、本当に魂は入れ替わったのか?やがて起こる凄惨な事件。異世界に棲息し、人の意識に寄生するゼルの正体を追う催眠療法士黒川美希と新聞記者瀧口勇介の壮絶な末路は?最新の脳科学で、魂の存在や意識の正体を極限まで突き詰めた衝撃のホラー小説。この本を読み終えた時、あなたは自分のアイデンティティを保っていられるだろうか?そして最後には、あなたの予想を裏切る結末が待っている。
「人は、正しさの中でしか生きられない」古き教えが揺らぎ虚無の蔓延る古代インド。生きることの苦を悟り人々の救済を目指したガウタマ・シッダールタ=仏陀の大願と挫折を誕生から入滅まで描く長編歴史小説。
昭和の戦争が終わって5年。時代に呑まれて零落した川舟屋「大洲屋」から新興の造り酒屋「相垣」へ嫁いだのは幼い頃から「井筒」と言われた人への想いをいまだに断ち切れない柚子だった。母から子、そして娘へと続く火宅の日々それでも前を向いて生きる柚子の姿を描く半生記。