出版社 : 鳥影社
谷戸、切通し、やぐら、古刹と地蔵。 喧噪の都市の奥深く透視される悠久の中世の時間。 魔術たる作家の筆が、もののふの声を呼びおこす。 観光地カマクラの白日の下に、屍の蔵たる鎌倉の、幽玄なる景色がここに現われる。 (富岡幸一郎) 扇ガ谷、十王岩、袖塚、唐糸、飢渇畠、太刀洗、腹切やぐら、化粧坂……鎌倉の地に現存する「八景」は古の戦いと悲哀の歴史を今日まで伝えている。 付録 文学における土地の力 対談 藤沢 周×佐藤洋二郎 「季刊文科」連載作が待望の単行本化! 扇ガ谷 十王岩 袖 塚 唐 糸 飢渇畠 太刀洗 腹切やぐら 化粧坂 付録 文学における土地の力 対談 藤沢 周×佐藤洋二郎
勝の姓をもつ者が言うておる。和気清麻呂様も弓削道鏡様も善き人であらせられたと。 和気清麻呂が朋友とともに、歓喜し絶望し、苦難を乗り越え、深い想いに明日へ向かう力を得た、生涯でもっとも波瀾に満ちた冒険の日々を追体験してみましょう。 きよまろ すぐり 神託記 プロローグ 第一章 再神託を奉上す 第二章 流され和を知る 第三章 恩に報いる 美夜古巫女連 赤組 七人衆 神託記 紡ぎ人奇譚 主な参考文献 あとがき
ちょっとおしゃれで心温まる二つのお話 旅するコートは、それを着る女性たちに寄り添う、人生の伴走者。 メロンパンの詩 1 みーつけた、と思ったら 2 メロンパンの昔に 3 オレオレ詐欺をしてみたら 4 四人で渡れば怖くない 5 さくらはどこへ行った? 6 名付け親になるんだ トラベリング・コート 1 1 トラベリング・コート 2 ショッキング・ピンク 3 コーラル・レッド 4 ブラック・コート インターバル(すこし長い幕間) 2 5 スノー・ホワイト 6 カラフル・ワールド 7 イーチ・カラー 8 フロム・ナウ・オン ア・ブック(思いのたけの一冊)
リオ五輪女子体操ヘッドコーチ初の小説登場!「この作品は、私が体操コーチとして経験した事を基にフィクションとして書きました。倉本コーチが私で、神代茜は体操の寺本明日香さんです。」
今、五つの衝撃が波紋となって心を揺らす ひたむきさと憎しみが交差する怖くて切ない五つの物語 一、空白の時間 二、殉愛 三、淑女の告白 四、執炎 五、大御所様、吐露する 一、空白の時間 二、殉愛 三、淑女の告白 四、執炎 五、大御所様、吐露する
フィレンツェで初めてフラ・アンジェリコの『受胎告知』を見た南実子はその美しさの前に立ちつくした。想像していたより遥かに大きなそのフレスコ画は隅々まで丁ねいに描かれている。そしてその画の前で始まった出会いと別れ。南実子は自分が真実の愛を掴むのはいつのことか、と胸の奥に微かな震えを覚えるのであった。
七代目小川治兵衛ー屋号「植治」(1860-1933)。平安神宮神苑、無鄰菴、円山公園を手がけるなど、近代日本庭園を先駆し、自然の景観と躍動的な水の流れを組みこんだ作庭で名高い植治。いまにつづく、その時代と生涯を丹念に描く、長編小説1700枚。
この一冊には作者の現在がよく表れていて興味が尽きない。一途な恋に燃えた若き日の甘美な回想、七十五歳、初めて体験した入院生活から得た、自分を含めた様々な人間的発見、そして女学校の庭園に住みついた亀の物語。読者は語り手としての亀に驚くが、この亀こそは作者の思想の代弁者、もう一つの自画像に他ならないだろう。(文芸評論家 勝又 浩) 華やぎと哀しみと マイ レスト タイム オレの歳月 ─親愛なる人間たちへ あとがき 初出一覧
失われた足跡を求めてー。90年代後半の東京。築20年の庭つき古アパート。そこには内と外を行き来する猫たちがいたー。町から猫が消えた時代に、かつて3匹の猫と暮らした日々がよみがえる。失われた足跡をたどりつつ、猫と芸術をめぐる「ボイオティアの山猫」ほか「光の猫」「ベンガルの飛び猫」全三篇。著者初の小説エッセイ・エッセイ小説。「まれにやってくる」猫たちへの愛惜にみちた物語。
脳卒中で倒れた洋服仕立職人の父と、その父の喜びを一番の喜びとする息子との、十四年間にわたる濃やかな情愛に満ちた生活と死別の慟きとを、簡潔にして清楚な筆で描いた、表題作を含む心に沁みる二十九の連作短篇に併せ、市井の悲惨な一事件に取材し、生の哀しさを浮き上がらせた「夕雲」等、前著『冬晴』以後の作九篇を収める。著者文章修業二十五年の精華を示す作品集。
その花は 救済か… 禍か… 東京豊洲の高層マンションで見つかったミイラ化死体。 不可解な点がある……三日もしない間にミイラになったのだ。これに続き発見されていくミイラ化死体。その近くには決まって薄緑色の葉をした植物があった……。 バイオテクノロジーとその裏に潜む人間の闇を融合させた 近代的SF小説 プロローグ 第一章 ミイラ 第二章 葉 第三章 エアープランツ 第四章 荒れ地 第五章 姉 礼六章 暴走 第七章 植物園 第八章 花
大切な人を失い、痛みに堪えて生きる主人公を描く表題作や、交通事故に遇い再起不能と思われた男が一人の女性の出現によって立ち直っていく姿を描いた『蕎麦の花』など、折々の作句が強い彩りを添える、著者渾身の短編集。
昭和36年に一途な恋を実らせて結婚してから約半世紀の間、子育て・仕事etc.に奮闘してきた日々を、その時代の出来事とともに振り返る。著者持ち前の明るさと生きる姿勢が、読む者を幸せな読後感へと導いてくれる、平凡で非凡な女性の物語。