出版社 : 鳥影社
理由などない。大好きなんだ。本当のことなのに、秘密だ。-わたしの秘めた思いは、いけないことだろうか。これは物語である。だが、かつてどれほどの若い男女が愛を求めそして秘めたまま…青春の只中に消えていったのだろうか。戦時を生きた筆者の綴る、十代の短い初恋物語。巻末資料「国民抗戦必携」収録!
68歳、妹尾の前に現れたレッスンプロは何者なのか?「おれのドリルは、スイングを変えるのではなく体を変えるやりかたなんだ!」妹尾の250ヤードは実現するのか?型破りのゴルフ文学。ゴルフを愛し過ぎた男の悪戦苦闘ファンタジー。
ーー愛そのものは人生が続いていくようにとぎれないーー 人と関わることの真摯さが洞察と優しさを育んで、アナイス・ニン の物語は齟齬や間違いさえ生の糧になることを伝えつつ、心の襞を どこまでも証していく繊細さの現在形である。 詩人・松尾真由美 第一部 第二部 訳者あとがき
トーマス・マン研究に新たな地平をひらく。マン自身が「さまざまな音色を奏でるヴァイオリン」という『ブッデンブローク家の人々』を、ニーチェ著『悲劇の誕生』のパロディとして、芸術論の観点から読み解く画期的論考。
戦前から戦後を生きた父と、戦後70〜80年代に青春時代を生きた息子。介護の現実の中でその関係を見つめ直した表題作と、「エヴァモア」「息子たちへの手紙」を合わせた本書は、著者渾身の三部作であり、同時代を生きる者たちへの応援歌とも言えるだろう。
信州の高原別荘地で見つかった男の焼死体。現場から見つかる特殊防火液体…。事件の真相に迫るいま、大東亜戦争の闇が浮かびあがるー。聞いて欲しい命の叫びを。戦争に便乗して最大の殺戮事件を実行したのは誰だ。忘れてはならない時代の慟哭を綴る社会派ミステリー。巻末資料「国民築城必携」収録!
この一冊には、大人が楽しむ〈旅行小説〉三編とプラス・アルファー一編が収められている。そのアルファ一編が、この作者が何故〈旅行小説〉にこだわり、書き続けるのか、その隠れたモチーフを明かしていて、それにもまことに興味が尽きない。(文芸評論家 勝又 浩) 表題作「シャラの花咲く家」のほか、「その秋の日に」「チュニジアにて」「夢去りやらぬ」の4作品を収録した作品集。
幻想文学の鬼材E.T.A.ホフマンの数奇な生涯を描く伝記小説。約200年前のドイツで、作家、音楽家、画家として多彩な才能を発揮した彼は法律家でもあって、当時の社会情勢に翻弄されながらも先駆的生き方を貫いた。
若くして亡くなった友達への思いをこめて、実際にあった受験生をめぐる朝の電車内の出来事を簡潔にして清楚な筆で活写した表題作外、著者多年の修錬の結晶がキラリと光る短篇(学習院輔仁会雑誌賞準入選の処女作「不昧公の小箱」を含む)と、昭和の情緒溢れる幼少期の思い出等を綴った随筆を収める。
われわれは今、「悪魔の黙示録」の世界を生きているのか? ドストエフスキー生誕200年をすぎて、21世紀の今日また切実さをもって甦る名作を、長年ドストエフスキー研究・比較文学に携わってきた第一人者が徹底解析する。 これは「悪魔のヴォードヴィル」を内包する黙示録的世界なのだ。(本文より) スタヴローギンは何故自殺したのか? ピョートルはメフィストーフェレス? ドストエフスキー版『父と子』の物語。
文芸誌『季刊文科』連載作が待望の単行本化。 壮大なのに全てが身近な感じで、夢中で読み進んだ。争乱を生き延びる女性たちの美しい呪術と鎮魂のお話です。政彦くんはあいかわらず文章がうまいなあ!(吉本ばなな) 誰かの家の二階に集って織物、刺繍、縫い物、布鞋作りなど女紅と呼ばれる手仕事に従事する。そこで女書によって詠んだ詩を歌い、年配になれば自伝を書いて詠じた。女たちは、文字によって現実とは違う世界に遊び、苦しみや悲しみを発散した。彼女たちは苦しみや悲しみで縒った糸を文字にする。文字は涙である。詩や自伝という形式は、その涙を溜める袋である。彼女たちは、女書を習得することで涙の袋を抱え、そこに涙を捨てていたのだ。そして涙は笑いに変えられた。これは男性や親から抑圧され、不自由な身の上をかこつ彼女たちにとっては少なからぬ救いだった。(本文より)
31年の短い生涯を青春から「冬の旅」まで駆け抜けたシューベルトのすべてがここに。シューベルトの音楽、それは彼の人生そのものの流露であった。(明治大学教授・伊藤氏貴) 第一章 教師の家 第二章 城壁の中 第三章 萌芽 第四章 僕らのフランツ 第五章 林檎の実 第六章 革命家 第七章 エデンの園 第八章 ケルビムの剣 第九章 嵐と凪 第十章 神の宿る地 第十一章 ケルビーノ 第十二章 冬の旅 第十三章 ヨゼーファ 終章 ミサ
発禁作家になった。 「何も変な事も書いていない」 「自分が女である事を、医学、科学、唯物論、現実を守るために書いた」 多くの校閲を経て現行法遵守の下で書かれた難病、貧乏、裁判、糾弾の身辺報告。 「群像」「季刊文科」に掲載された作品を中心に再構築。 書き下ろし作品「ハイパーカレンダー1984」のほか、著者自身による自作解説なども随所に盛り込む。 前書き 発禁作家になった理由? 女性文学は発禁文学なのか? 九月の白い薔薇 -ヘイトカウンター 返信を、待っていた 引きこもりてコロナ書く #StayHomeButNotSilent 難病貧乏裁判糾弾/プラチナを売る 質屋七回ワクチン二回 古酒老猫古時計老婆 ハイパーカレンダー1984 初出一覧