1981年発売
二重人格二重人格
主人公は小心で引っこみ思案の典型的小役人。家柄も才能もないが、栄達を望む野心だけは人一倍強い。そんな内心の相克がこうじたあまり、ついにもう1人の自分という幻覚が現れた!精神の平衡を失い発狂してゆく主人公の姿を通して、管理社会の重圧におしひしがれる都市人間の心理の内奥をえぐった巨匠(1821-81)の第2作。
創世記機械創世記機械
【星雲賞受賞作】 若き天才科学者クリフォードは、政府機関で統一場理論の研究を進めるうち画期的な成果をあげた。物質、電磁気力、重力の本質を解き明かしたのだ。この理論を応用すれば、宇宙のエネルギーを自在に操ることができる。これを究極兵器に利用できると判断した軍部は、非協力的な彼を辞職に追いやった。彼は私的研究機関で細々と研究を続けるが。巨匠作家の本格SF大作。星雲賞受賞。
大本営が震えた日大本営が震えた日
昭和16年12月1日午後5時すぎ、大本営はDC3型旅客機「上海号」が行方不明になったとの報告を受けて、大恐慌に陥った。機内には12月8日開戦を指令した極秘命令書が積まれており、空路から判断して敵地中国に不時着遭難した可能性が強い。もし、その命令書が敵軍に渡れば、国運を賭した一大奇襲作戦が水泡に帰する。太平洋戦争開戦前夜、大本営を震撼させた、緊迫のドキュメント。
竹光始末竹光始末
世の中変っても、変らないのは男の心ー。一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向う浪人の心意気『竹光始末』。口喧しい女房を尻目に、藩の危機を未然に防ぐ一刀流剣士の手柄『恐妻の剣』。他に『石を抱く』『冬の終りに』等、小説巧者藤沢周平が、世の片隅で生きる男たちの意地と度胸を、ユーモラスに、陰翳豊かに描く傑作時代小説全6編。