1987年10月1日発売
休暇旅行でイギリスへやってきたソールター警部夫妻。レンタカーで各地を見物し、時に理解し難い英国人気質に戸惑いながらも、美味い料理や美しい風景を楽しむのんびりした旅だったが、ソールターの身にしみついた警察官根性が事件を呼び寄せたのか、とある田舎町で投宿した宿屋の主人が殺された!地元警察の要請もあり、そろそろ物見遊山にも飽きてきていたソールターは、気軽に調査に手をつける。が、事件の根は意外に深かった…人間味豊かなカナダの窓ぎわ刑事が、父祖の地イギリスで展開する悠然たる捜査。カナダ推理作家協会賞受賞作品。
ニュース、ニュース、大ニュース!あの貧乏学生のロジャーが、とつぜん大金持ちに変身だって、信じられる?お母さんがなくなったとたんに明るみに出たロジャーの出生の秘密ーじつはロジャーはブルースといとこ同士だったの。かくしてロジャーはパットマン屋敷に移り住んで、スーパーリッチな生活のはじまりっ!でも、ガールフレンドのオリヴィアは、なんだか心配そう。ロジャーはなれない生活で失敗の連続だし、ふたりの仲もどうなることやら…。
浮世絵の祖は、菱川師宣といわれている。しかし、近年の研究によれば、岩佐又兵衛こそ桃山期の風俗画と江戸期の浮世絵の橋わたし役をはたした可能性がきわめて高いとかんがえられるようになった。いや、浮世絵そのものの元祖かもしれぬのだ。又兵衛は信長に反逆した武将荒木村重の遺子である。母は京の六条河原で信長に磔にされたが、又兵衛はあやうく難をのがれ、本願寺教団にかくまわれて絵師として成長する。のちに越前北ノ庄の藩主松平忠直に招かれ、ここに定住して数々の傑作を生む。
大草原(パンパ)よ、血の旋律が聴こえるか。誘拐された恋人・柊子を追って、ブエノスアイレスにやって来た隆治。彼を待ち受けていたのは、ナチの亡霊による第四帝国建設の陰謀だった!
取調室で刑事の執拗な追及を受けながら、私は2度と百花双瞳はつくるまいと思った。そもそも14歳で広州から神戸の華僑宅に奉公に出され、主人から「あんなに美味いものはなかった」と聞かされたのを職人気質の料理長に洩らしたのが始まりだった。しかし、彼に手伝わされて料理法も材料も分かぬまも分らぬまの名点心が、こんなにも恐ろしい結末を呼ぶことになるとは…。人間の宿業に迫る傑作推理集。
〈私〉はサンフランシスコの私立探偵。猛烈なヘビー・スモーカーで、喀痰検査の結果が不安だ。そんな折、戦友のハリーから電話があった。自分の経営するキャンプ場で何か事件が起こりそうだという。その後彼の予言通り断崖からヴァンが転落。だが乗っていた男は転落前、既に殺されていた。現場付近には、なぜかクジャクの羽根が…。これは新しい事件の単なる幕開きなのか。“名無しの探偵”シリーズ、得望の新作。
スタッフは長身で美貌の戸川弥生局長と、助手の近藤則子の二人だけという東京・原宿の竹の子探偵局。各国要人の子女で構成される竹の子族『世界席捲』のメンバーをしたがえ、知性と大胆な行動力で難事件を解決している。ところが最近、釣りにからむ犯罪が続出して困惑ぎみ。今日も、組織の分裂抗争に歯止めをかけるため、2団体の親分同士が石鯛釣りで決着をつけるので、その秘策を授けてほしいという“極道の妻”が…。
長野県戸倉上山田温泉付近の千曲川にかかる大正橋に立っていた河口日奈子は、水銀灯めがけて襲ってきた蜉蝣の大群に巻き込まれて死亡した。-1年後、フランスから帰国した日奈子の愛人、高比良亮は、彼女の事故死に疑惑を抱き、上山田温泉を訪れて事故当夜の状況を調べだした。そして、日奈子の死の直前まで橋の水銀灯が消えていたことを知った…。事故から1年、亮の調査に触発されたかのように連続殺人が!
高崎のリゾートホテルに潜伏していた強盗殺人犯が逮捕された。そして、犯人の隣りの部屋に宿泊していた櫛田という男が、藤岡市郊外で殺されていた。しかし櫛田には、死亡推定時刻に、部屋で電話をかけていたという厳然たる事実があった!?さらに櫛田は、4年前に起きた謎の焼死事件に関与していたことがわかる。一方、かつてこの焼死事件にかかわっていた推理作家の浅井は、櫛田の死を契機に再び事件の真相を追う。浮かび上がってきた奇怪な事実!そしてまた新たな殺人が…!?アッと驚くトリックの数々!作家生活20年間に蓄積した全てを注ぎこんだ、鬼才渾身の書下ろし長編本格推理小説の傑作!
詐欺商法でのし上がった悪徳会社「シルクハウス」の会長・碓井宗晴が絞殺された。碓井と対立する同社専務・工藤博幸を捜査陣はマーク、殺人の動機をつかんだ。が、工藤には鉄壁のアリバイがあった!有罪を信じる沢月刑事は執念の末アリバイを破り、工藤を逮捕、事件の舞台は法廷に…。さらに公判中、工藤は愛人・篠原紀絵の意外な証言で窮地に追い込まれる。若き美人弁護士・槙村ゆり子と工藤の無実を証明するため、検察側と真っ向から対決するが…。二転三転と息づまる展開のなかに秘められた真実は?アリバイくずしと緊迫の法廷シーンとを見事に融合させた、気鋭の書下ろし本格長編推理の秀作!
「スラヴォニア国王と結婚せよ」女王陛下の命令はあまりにも突然に、ジオーナの将来を決定するものだった。会ったこともない、しかも52歳の相手との政略結婚!猶予はたったの3週間だけだったが、見知らぬ国へ、何も知らないまま嫁ぐことは、ジオーナの自尊心が許さなかった。そこで、スラヴォニア語の勉強を始めるのだが、大使をはじめ、周囲はあまりいい顔をしない。一体、スラヴォニアで何が待っているのか?ジオーナの好奇心は募っていく。やがて、イギリスを旅立ったジオーナはスラヴォニア国内で反乱が起きていることを知る。先頭に立っているのは、前国王の息子で、“見えないひと”と呼ばれている男だった。
教会でたまたま落ち合った男3人、女7人が、毎日1人1話ずつ10日間話した100篇の物語。中世の終末と近代の人間解放を告げる最初の作品の一つといわれる。上巻では精力絶倫の修道士が自分の不行跡に修道院長を引きずり込んで罪をのがれる話、恋多き女が修道院を舞台に巧みに思いをとげる話など、人間本能を哄笑の対象として描く。
〈七領土〉の法の及ばぬ地,ドライ・タウン。血の色の夕陽を背に、野営する一団の姿があった。彼女らーフリー・アマゾンがアーデス家のロアーナから受けた密命とは、13年前この地の暴君ジャラクに連れ去られた従姉妹メローラを救出することだった…。はたして襲撃は成功するか。運命の子、メローラの娘ジュエルは、このときまだ12歳である…。