1987年10月1日発売
子供ごころに両親の不仲を感じとっていた瑶子は、父の愛情に育まれ、工芸デザイン科に進んだ。大学卒業と同時に母は弟をつれて家を出た。それから10年、父と娘の生活に終りがくる。複雑な過去をもつ彫刻家の作品に圧倒され、いつしかその男の生き方を愛した瑶子。父を捨てたように、愛する男から今捨てられようとしている…。愛情と芸術の間で、自立してゆく女流彫刻家を描く長編小説。
あたしの名前はキラキラヒメ。ニューヨーク・ジャイアンツのエースを目指す9歳の女の子。パパと別れてブロードウェイのスター女優を夢見るママ・ガールに連れられて、ある夜突然、カリフォルニアからニューヨークへやってきたの。気まぐれなママ・ガールは、興奮したり悩んだりで大忙しだけど、あたしはそんなママ・ガールが大好き。この街で一緒に、夢を追いかけてゆくの…。
〈将軍〉と呼ばれたレイルトン一族の首領が死去した。各地から集まってきた一族の者たちは、草創期にあったイギリス情報組織の密謀によって、諸国へ散ってゆく。いっぽう、ドイツでは、イギリス軍下士官に片脚を奪われた男が〈漁師〉という暗号名を持つスパイとなり、イギリスへの復讐の刃を研ぎ澄ましていたーボンド・シリーズの著者による、爆発的スリルに満ちた大河スパイ小説。
第一次世界大戦、アイルランド独立運動、そしてロシア革命ー。揺れるヨーロッパで任務に就くレイルトン一族の者たちの運命は、忠誠と流血、そして裏切りに彩られてゆく。血を分けた人々がつぎつぎと倒れてゆくなか、チャールズはついにグラスゴーの駅で目指す〈漁師〉を発見した。同じ列車に乗り込んだふたりは、コンパートメントの中でいよいよ生命を賭けて対決するのだがー。
韓国訪問を予定しているローマ法王を密かにKGBが狙っているー。法王を守るためその側近たちが出した結論は、アンドロポフ書記長暗殺だった。〈法王の使者〉として選ばれた男は、亡命したポーランド秘密保安機関のエリート少佐。妻を装った若く美しい修道女を道連れに、クレムリンへの長く危険な旅が始まる!大胆な構想で展開する、息もつかせぬポリティカル・サスペンス。
巡回中のパトカーの前に、突然女が飛び出した。倒れた彼女を助け起そうとした警官は、思わず悲鳴をあげた。女が頬に噛みついたのだ!二人がかりでやっと押えつけた時、女は痙攣し息絶えた。彼女は名を知られた高級娼婦だったが、続いて三人もの娼婦が不審死を逐げ、ヒューストン警察の捜査はまったく行き詰ってしまったー。不気味で特異な犯人像を描くサイコ・スリラー。
純文学から大衆文学に転じ、「文芸春秋」の創刊、映画会社大映の初代社長就任、衆議院・東京市会両選挙出馬など、旧来の反俗的文士像に抗し、あえて「文壇の大御所」となった、最初の市民的作家の生涯。
「庄助とアビアは、17世紀の歴史が裂けてゆく時期にいた」-主従のような異国の男女の間に芽生えた愛の行方を軸に、九州から朝鮮半島、中国東北部にいたる海陸に展開される雄大なロマン。世界史の一大転換期に切りこんだ平戸武士の物語。
万年夜勤刑事から失踪人課の長へと変ったパウダー警部補だが、状況の悪さはそう変らない。公私ともに山積する難問に、不屈の熟年刑事パウダーは真正面からぶち当る!『夜勤刑事』で鮮烈な長篇デビューを飾った信念の男リーロイ・パウダーが新天地で見せる活躍!実力派リューインが、警察小説に新風を吹き込む、注目のシリーズ第2弾。
路地から表通りに突き出ている足は、オズの国で家の下から出ている“東の魔女”の足そっくりだ。だが、そこはオズではないし、倒れている女性も魔女じゃない。エマの体を汗が流れる。背中に小さな穴を開けられて横たわる女と、エマは2週間前にレストランで出会ったばかりだった…。殺されたジュリー・アービダーは、勤務する倉庫会社で過激な組合運動を行っていた。組合つぶしを画策していたらしい経営者側に消されたのだろうか。が、ふとしたことからボストンの社交界に足を踏み入れたエマの調査は、思わぬ展開を見せはじめた…!スペンサーの街ボストンに、話題のヒロイン登場。ハードボイルド界に大きな衝撃を与えた、レズビアンの女探偵エマ・ヴィクター・シリーズ第1弾!
5万年もの過去で、現在に戻る道を模索するローダンは新たな手を打った。ハイパー波であろうと、エネルギー・ビームであろうと、その他あらゆるエネルギー流を利用して移動することができるミュータント、パラスプリンターのウールヴァ兄弟を出動させたのだ。彼らがめざすのは、カハロに駐在する島の王たちの時間エージェント、フラスブール。彼を捕えれば、現在へ帰還する方法を探りだせるかもしれない。さっそく警戒厳重なカハロに潜入した兄弟は、フラスブールの秘密司令部を捜しはじめた。だが、そのときすでに彼らを待ちうける罠がしかけられていたのだ!
1974年、世界はかつてない暗黒時代を迎えていた。第二次大戦で圧倒的勝利をおさめたナチス・ドイツが、ヨーロッパはおろかアジアやアフリカ、さらには南アメリカまで支配していたのだ。ナチスの魔手は次第にアメリカ合衆国へと伸び、ふたたび戦争が起こるのは必至だった。そのアメリカに唯一残された最後の希望が《プロテウス作戦》だ。-過去の世界に選りすぐりの工作隊を送りこみ、歴史の進路をねじ曲げて、いち早くナチスの野望を叩きつぶすのだ!かくして《プロテウス部隊》は勇躍時間の流れに飛びこんだが…。人気絶頂のホーガンが時間テーマに挑んだ雄渾のSF大作!
1939年の世界に無事たどりついた《プロテウス部隊》だったが、その前途には暗雲がたれこめていた。アメリカは不況に悩み、ヨーロッパ諸国は、領土拡大の野心に燃えるナチスを見くびって、なんの対応もできないありさまだったのである。《部隊》はまず政界の第一線を退いたチャーチル議員に協力を要請、さらにアインシュタインをはじめとする当代一級の科学者たちと接触して新兵器の開発をいそぐが、ナチスを裏であやつる謎の存在が、次第にその姿をあらわしつつあった…。現代ハードSFの旗手たるホーガンが徹底した調査と大胆な仮説で描きあげた、もう一つの第二次大戦!
名高き老魔法使いプロスペロは、空気の中にただよっている漠然とした不安を感じとった。何かが潜んでいる。憎しみに充ちた悪意のようなものが…。やがてその重苦しい不安感は、確固たる恐怖に変じた。-古びたマント、巨大な蛾や鳥がプロスペロを襲いだしたのだ。!あまつさえ、老魔法使いの家の周囲にはなにやら不気味な人影がいくつも見え隠れしている。はたして、こうした怪異は何を意味するのか?プロスペロは、盟友の魔法使いロジャー・ベーコンと連れだって、事件究明にのりだすが…。ゴシック・フンタジイの金字塔、遂に登場。
サバン城陥落。帝国軍の殺戮の嵐が去った後には、レヴィ王女以下わずか5百人の市民将兵が生き残るのみ。フォルタ団長はモルティーギ将軍への臣従を装い、ひそかに5百人救出の機をうかがうが…。一方、師スパドゥロスと共に修道僧軍団に捕われたタリオンは帝国の神都スメラルドに連行される。テラノーヴァ神を祀る邪悪と淫風に満ちた大寺院の内でタリオンの前についに姿を現わす教皇ゲミロウス。この、恐るべき帝国の妖花との間に交わされる熾烈な戦いは、やがてタリオンの身に驚くべき変化をもたらすのだった…。白熱のシリーズ第3弾!
連合軍のシチリア島上陸が迫る1943年7月、アイゼンハウアー将軍は、ある秘密作戦を打ち立てた。シチリア島で強大な力を持つマフィアー彼らを味方に引き入れて、同島のドイツ、イタリア軍を骨抜きにしようというのだ。任務を受けたのは、英国特殊作戦執行部のカーター大佐ら5人の男女。その中には、刑務所で服役中のニューヨーク・マフィアの首領ラッキイ・ルチアノがいた。彼らは偽装したユンカース機に乗り、遂にシチリア島への潜入を果たすが…!伝説的なギャング、ルチアノの秘話をもとに、巧みなプロットで描く戦争冒険アクション。
妊娠は正常だった。お腹の子の父親とは別れることになったが、産まれてくる子の将来を思い、サマンサは充実した気持になっていた。この子のためにも自立しなければーだが、なんでもない睡眠実験の被験者となった時、異変が始まった。体調がくずれ、些細だが奇妙な事件がたびたび起こるのだ。お腹の子に、何かが起こっている…コンピュータ管理の総合医療センターで発生した想像を絶する怪事件の結末は?新鋭がサスペンスフルに描く、傑作メディカル・ホラー。
ベルファストの朝のしじまを破って、1発に砲声が轟いた。IRAのマクナリーがロケット砲で治安判事ら3名を殺害したのだ。全ては計画通り運んだかに思えたが、英軍のフェリス中尉が逃走を目撃、その証言でマクナリーは治安当局に逮捕された。起訴されれば終身刑は必至。際限なきテロに倦み渡れた彼は、同情的なフェリス中尉に支えられ、全てを終らせる決意をする。IRA幹部の名を明かし、法廷で証言するのだ。だがIRAが裏切り者を見逃すわけはなかった!硝煙の街を舞台に、テロリストの孤独な戦いと、英軍将校との友情を描く力作サスペンス。