1987年6月発売
高2の街子と沙保里は、水泳部の仲よしふたり組。もっとも街子が色黒ボーイッシュなのに、沙保里は色白の美形で性格もA、トーゼン男の子にもてるのは沙保里なんだけど。でも、街子は夏休みの合宿が楽しみ。だって憧れの新見先輩がコーチに来てくれるんだもん。サッカー部の和哉なんてケーハク男を沙保里が好きだってのはしゃくだけどね…。恋と友情にゆれる少女たちの、夏物語。
諸岡喬が勤務する相互製薬は癌攻撃因子COFを研究開発中だったが、ライバルの三和化薬はTOFを開発、臨床試験に入っていた。あせる相互製薬の上層部は一刻も早くCOFの臨床試験に入るよう諸岡に命じた。そんな折も折、諸岡の義母が胃癌で入院。こともあろうに義母にTOFが投与されると知ったとき、彼の脳裡に恐るべき考えが浮かんだ…。
史上最強の怪盗が現れた!全世界を股にかけ、これまでに盗んだ額は一国の国家予算をはるかに超える。南海の孤島のヤシの実から共産圏の金の延棒まで、盗めるものは何でも盗む。48を越える国語を自由にあやつり、老若男女どんな人間にも姿を変え、その正体は誰も知らないージェームズ・ボンドや明智小五郎もお手上げの、「怪盗ジバコ」のユーモアあふれる活躍を描く連作8編。
人生のさまざまな分岐点を、その都度どちらへ行くか決断しながら通過してきた男と女。湖畔で偶然出会った二人は、またもやある決断を迫られる…(「Y字路の街」)。おとなしい新妻は、しかし閨房に入るとかたくなに夫を拒んだ。彼女の精神外傷とは…?(「無邪気な女」)だれかに似ているが、だれとは特定できない男女の物語。短編の名手による精妙なトリック・ミステリー10編。
血の繋がりのない養父裕平との禁忌の愛に翻弄される娘誓子。不治の病に侵された母やよいの過去に秘められた秘密とは…母の死を契機に解き明かされてゆく意外な事実に立ち竦む2人。家族という強い絆に結ばれた3人のそれぞれの愛の行方をミステリータッチで描いた異色の長編小説。
勉強好きの学校嫌い、少年時は「天狗」、長じては「歩くエンサイクロペディア」と称された、天才・南方熊楠。明治19年渡米、曲馬団助手として南米旅浪後、ロンドン大英博物館に勤務、数多の論文は学界に旋風をまきおこし、革命家、孫文と親交を結ぶ。破天荒のめくるめく生涯を、同郷和歌山在住の著者が愛情こめて描く!
由緒ある大寺の坊守りとして人々の尊敬を受ける祐子。その一人息子をめぐって起る、女子高校生と美貌の女祈祷師との恋の鞘当て。親鸞の説く「弥陀の願海」を常に心に図りながら、若者の恋争いにまきこまれるように祐子にも思わぬ試練が…。何時の世にも変らぬ煩悩を因襲と新時代との交錯の中に濃密に描く。
ニューヨーク北郊にあるモネコワ空軍基地。5000人の訓練兵が詰め、武装哨兵が門を固める。マーティー・フスコがパーカーに持ち込んだ計画は、そこから兵士の給料をいただこうという途方もないものだった。後に『掠奪軍団』『殺戮の月』で活躍するディヴァーズとパーカーとの出会いを絡め、アメリカ空軍を相手に回した困難な給料奪取作戦の意外な展開を描く好篇。
時は21世紀。かつて栄華を誇ったアメリカは、あとかたもなく消えていた。広大な国土には葛がおい茂り、大都会のあった場所には巨大な人工ドームがそびえるばかり…。〈都市核〉と呼ばれるこうしたドームが今や独立した国家となっているのだ!ジョージア州アトランタも例外ではない。だが宗教的独裁政権に支配されるこの街に、白鳥座からエーリアンが訪れて、ひっそり暮らしていた。市民には彼らの目的も、真意もわからなかったが、エーリアンの存在自体が、やがて〈都市核〉を根底から揺るがしていくのだった!米SF界きっての技巧派が鮮やかに描き出す近未来SF登場。
銀河辺境にある灼熱惑星の安宿で惰眠をむさぼっていた元宇宙海軍写真兵曹パイクは、絶世の美女からつまらない仕事を依頼された。だがそれが恐るべき秘密をめぐる陰謀にパイクをまきこんだのだ。突然マッシャー・ビームで狙撃されたのを手はじめに、わけもわからぬうちに殺人の容疑者にされ、警察とギャングどもの両方から追いまわされるはめに陥ったのだ…!
異世界ケレワンとの大戦争終結後1年、今やクロンドル公となったアルサとアニタ姫との結婚式がとり行なわれようとしていた。だが時折しも、アルサの命を狙う男がいた。その名は邪悪な魔道士マーマンダス。彼は「西部の支配者ーアルサが死ぬ時こそ権力が蘇る」という予言を信じ、暗殺者を用いて結婚式の最中のアルサに矢を放った。ところが、こともあろうに矢はアニタ姫に命中。しかもその矢には黒魔術で調合した毒まで塗ってあった!刻一刻と死に近づく姫を救うため、アルサとその仲間は解毒剤シルバーソーンを探し求めて旅に出るが…。
アルサ暗殺に失敗したマーマンダマス率いる一団は、再び不穏な動きを見せ始めた。この邪悪な集団の背後にもっと大きな魔力があることを察知した魔術師パグは、異世界ケレワンにこれを解く手掛りがあると考えた。だが、今やケレワン人にとってパグは裏切り者。おいそれとは彼らの前に姿を現わすことなど出来ぬ。ケレワン人に見つかれば、その場で処刑されることは必至。そんな危険もかえりみず、パグは異世界へと飛んだ。そして彼はマーマンダマスの背後にいる怖るべき敵の正体を知るが…!?大好評『魔術師の帝国』に続く壮大なサーガ第2弾。
顎に冷たい物を感じて目がさめた。ぬるついた物体が唇に這い上がり、口の中に滑り込んでくる。頭の傷に手をやると、何かが傷口にしがみついていた。粘液にくるまれた生物が温かい肉をむさぼっているのだー悲鳴をあげて飛び起きたときは手遅れだった。部屋は、うごめき這い回る食肉虫の群れに覆われていた。彼の肉体を喰い尽くそうとする大群に…異常発生したナメクジの群れが、食糧を求めて人間に襲いかかる!気鋭の若手がおぞましき恐怖を描く傑作スプラッター。
十二月のパリ、雪の夜。いつものように78番線のバスは市内を北上している。乗客十六人を乗せてカルポ公園の停留所に停まったとき、三人の男が乗車してきた。一瞬の出来事。機関銃が掃射され、バスの中は肉片飛び散る血の海と化した。-この残忍無比な無差別テロにパリ中が凍てついた。警察内では司法警察局のヴェルネ警視を中心に特別班が犯人逮捕に全力をあげ、一方、大手新聞のニューズ紙もいち早く事件をスクープすべく独自の捜査をはじめる…。現役ジャーナリストがテロに怯える現代社会と警察の実像を描き出す衝撃の犯罪サスペンス!