1987年7月発売
警察の追及をなんとか逃げのびた革命家たちだったが、なぜかビィが忽然と消えてしまった。ネコは彼女の行方をさがしてシティに入り、神殿へ潜りこんだ。殺人につぐ殺人。ネコは支配者が作りだした対人用殺人生物兵器なのだ。そんな彼の心を開かせたのはカラスだった。一方、革命家も困難な依頼を受けた。神殿に入り、コンピューターに閉じこめられた友人を解放してほしいというものだった。
あたし、夕花子。バニーガールのバイトしながらひとり暮らししてたけど、冬が来たからウサギをやめてネコ(無職)になったの。時々「来いよ」とTELかけてきてSEXするおとこ(28歳・放送作家)がいるのだけど、彼はデパートガールと同棲中なんだ。そんなある日、葉介という純情な(?)予備校生と知りあった。彼ったら、大学やめてケーカンの試験を受けるといいだしたの…。
大正の末ごろ。秋田県・大館から東京・渋谷に住む大学教授・上野秀次郎博士の家に、1匹の秋田犬の子犬がもらわれてきた。「前肢をぐっと八の字に踏んばっているな。ハチと名づけよう。どうだね?ハチ公」その日から、上野先生とハチは、熱い信頼で結ばれることになったのだった…。秋田犬・ハチの生涯を通して、愛とは?信頼とは?と問いかける涙の感動物語!
「もう檻の中の運動会はやめだ」-全共闘高揚期、茶番劇に飽きた4人の男たちが本物の銃と弾丸を用意して起ち上がった。活動家たちに、いささかヒステリックなジャーナリズムに、そして運動会そのものに“一杯食わせて”やるために…。遊びでもなく、気晴しでもなく、本物の戦いに命をかけた男たちの鮮烈な思いを描く衝撃のネオ・ハードボイルド。
戦争の火の手は、つまらぬことをきっかけに燃えあがる。-ここロンジュヴェルヌ村とヴェルラン村の子どもたちも然り。武器は棍棒、パチンコ、石を手に、家や学校や教会の偽善的世界を抜け出し、幼い戦士たちが勇躍出陣する。素朴さと無邪気さの中に大人の世界を風刺し、生命力と活力と情熱に溢れた児童文学の名作。名画「わんぱく戦争」の原作。
この社会は腐り、尊敬に値する人間は、どこにもいない。老人はCMの甘ったるいささやき、クイズ番組のあほらしさに怒って、ついにテレビをショットガンでぶち抜いた。…「いいかげん、くたばっちまえ」青年は世界に向って吐き捨てるように言った。だが世界はだらだらと尾を引いていく。自殺するしかない。青年は金門橋の橋げたにぶらさがった。…コレハ我ガ肉体デアル…。取ッテ食ベヨ…。ジェインは一方の手でひとりの男の巨大な背り返ったペニスを、もう一方の手で、もうひとりの男のものをそっと握りしめた。彼女は自分の肉体がグランド・キャニオンのように開くのを感じた。…全米批評家賞受賞、現代アメリカ文学の最高傑作。
広島カープの強さの源は〈モミジマンジュウ〉で、〈ヤキュウ〉のルーツは柳生一族にあった!自称“日本通”アメリカ人W・C・フラナガンの誤解とコジツケの処女作「素晴らしい日本野球」。そして、ソ連に占領された戦後日本の姿を描く「サモワール・メモワール」など、微妙な違和感を、大胆なフィクションをテコに極限まで拡大して笑いのめす異常発生作品群10編。
プロの当り屋、赤木圭一郎は、今を去ること10年前、当り屋専門学院の講師、当り屋文左衛門が言った言葉を思い出した。「幻の少年カスパー・ハウザーを見た日、あんたは当り屋をやめなあきまへん」。そして圭一郎は見た、幻の少年が、車の前へ身を躍らせるのを…。場外馬券売場のガード下からアンスバッハのしらゆきつもる公園へ。母と子の愛憎が交錯する悲しくも美しい妄想の純文学。人気ナンバーワン戯曲「小指の思い出」原作。
西ドイツの民間会社が中央アフリカのチャドに、第三国へ貸与するためのスパイ衛星基地を建設した。情報を得たCIA長官ピーターソンは現地で工作を開始するがことごとく失敗。同じころ、あいつぐ工作員の死にKGB議長ペトロフも焦躁を深めていた。このまま事態を放置すれば、世界情勢に重大な変化が及びかねない。CIAとKGBはついに、協同で妨害工作に当たることを決意する。
スパイ衛星打ち上げを阻止すべく、CIAとKGBの混成部隊は3班に分かれて工作を開始した。西ドイツ政府派遣の視察員として基地潜入に成功したボウラーとリンツは工作の機会をうかがうが、実行できないまま時が過ぎてゆく。打ち上げは秒読み態勢に入り、CIA長官ピーターソンは窮地に追いこまれていた…。前代未聞の共同作戦を息づまる筆致で描く、華麗なスパイ冒険小説。
アンドロメダ星雲の惑星ヒストリーには、ネアンデルタール人から現代の太陽系帝国の軍人まで、ありとあらゆる年代の地球人が集められていた。特殊なエネルギー・フィールドに包まれたこの惑星の住人は永遠の若さを与えられているのだ。だが、そのフィールドが突如消失してしまった。真相を解きあかすべく、ただちにスナイダー少尉がヒストリーに派遣されたが!?
シルヴァー・イオナイズド・自動制御・人間型・エレクトロニック・ロボット。-エレクトロニック・メタルズ社が試作した精巧仕様型ロボットのひとつ。とび色の瞳に赤褐色の髪、銀色の膚をしたシルヴァーはギターをつまびき、ありとあらゆる歌を紡ぎだす。ひとびとはデモンストレーション中のかれの歌をきそって聴きたがった。だが、たったひとつだけ、エレクトロニック・メタルズ社にとって誤算が生じた。人間そっくりのシルヴァーに恋する少女が現われたのだ…。近未来を舞台に、物語の名手タニス・リーが情感豊かに描きあげる、少女とアンドロイドとのSFラブロマンス!
地球上空に忽然と謎の小惑星が出現した。直径100キロ、長さ300キロにもおよぶこの物体は〈ストーン〉と名づけられ、アメリカを中心とする調査隊が派遣された。調査隊の報告は驚くべきものだった。-〈ストーン〉は巨大な宇宙船であり、しかも内部に保存されていた資料から見て、“未来の地球人”の手になることが明らかになったのだ!しかもその資料には、これから起こる熱核戦争の結果までもが詳細にしるされているという。だが、〈ストーン〉が秘める謎は、それだけにとどまらなかった…。『ブラッド・ミュージック』で話題の著者が壮大なアイデアで描く力作SF巨篇。
〈ストーン〉をめぐって、国際情勢はいよいよ緊迫してきた。情報の公開をもとめるソビエトが、宇宙軍をくりだして〈ストーン〉に迫ったのだ。それと前後して、アメリカの天才美人物理学者パトリシアが、調査隊によって〈ストーン〉に招かれた。彼女がそこで見たのは、内部の空洞から無限の彼方へと一直線にのびる超空間通廊だった!パトリシアは調査隊と協力して精力的に研究をつづけたが、一方ソビエトは、〈ストーン〉、地球相方でついに大規模な軍事作戦に踏みきったのだ!期待の新鋭グレッグ・ベアが、無窮の時の流れを背景に、雄大に描きあげたSFスペクタクル!
悪霊に取り憑かれた男爵が、ダマール国の王権を握ろうとしている。この噂を耳にした国王は、この男爵に立ち向かうべく作戦会議を開いた。その時、会議に少女が現われた。王の一人娘イーリンである。しかも、あろうことか姫は自ら王の軍勢に加わりたいという。が、臣下の反応は冷たかった。真偽のほどはわからぬが、魔女の娘と噂される姫とは行動を共にしたくないというのだ。今は亡き母の秘密を探るイーリン姫は、幾多の試練ののちに意外な事実に出会った!ニューベリー賞受賞!
星涯星系の高級住宅地にある一軒の邸に生まれながら寝たきりの少年がいた。折り合いの良くない継母と留守がちの父親ー少年は孤独だった。だが、この少年こそ、自分の頭の中に多次元空間をイメージできるという、何億人にひとりいるかいないかの稀有な能力の持主なのだ。看護婦として邸に入りこんだ〈銀河乞食軍団〉のユキは、孤独な少年の心を捉え縮圧されて四次元的に切り離されてしまったタンポポ村の位置割り出しを依頼したが…少女パムの「両親とタンポポ村を探して欲しい」という頼みに〈銀河乞食軍団〉は応えることができるのか?
外惑星動乱。航空宇宙軍史上、最も華々しく語られ、語られぬ哀しみに満ちた時代。-ダンテ隊長率いる外惑星連合のコマンド部隊は離反したタイタン軍の研究所を急襲する。接収を命ぜられた新開発の戦闘艦の制御機構には、人間の脳が使われていたのだ。一方、シャチのジョーイは青く暖かい海から暗く冷たい宇宙へ追いやられる。その訓練された脳を航空宇宙軍の戦闘艦に組み込まれて…。そして戦後40年。相前後してサルベージに赴いたトランパーたちが遭遇したものは、いまだ宇宙を漂う、非情な兵器開発の犠牲者となった彼らの怒りと哀しみだった!
数ある物件の中から、このコテージを選んだのはミッジだった。彼女の同棲相手マイクには、それがどうにも腑に落ちなかった。なぜ、このコテージでなければないけないのだ?彼女はこの家と何かつながりがあるのか?だが、実際に住みだすと、その家はマイクの懸念に反し、ミッジの想像どおり快適で暮らしやすかった。いや、それどころか、そこへ引っ越して以来、2人にはすばらしいことばかり起こり始めたのだ!まるでその家には魔力があるかのようだった…。