1987年7月発売
天下統一の野望に賭けた雄将・武田信玄と、その子勝頼の主戦力、勇猛をもって鳴る武田軍団の底辺を支える無名戦士たち…山容険しい甲斐の地に生をうけた雑兵群の、戦渦に蹂躙されながらも力強く生きつづける愛と哀しみの日々。歴史長篇。
科学捜査研究所の敏腕次長・近江小四郎は、久しぶりの休日に部下の浜松技官に誘われてのんびり東北への旅へ。沼田駅に降り立った二人を待っていたのは、縄文時代の古墳から出土した美女の死体…。この事件に端を発した連続殺人は、意外な展開となって二人に迫まる…。本格推理長編!
不思議な商売もあったものだ。美女が床に臥す病人の顔に跨り、女陰を近づけ「お立ちーい」と呼ぶ(表題作、床あげ屋異聞)。他、14作品を掲載。時代のエロティシズムを軽快なタッチで描いた掌篇小説集。月刊カドカワ掌篇小説大賞受賞作。
大阪は通天閣の下、しがない芸人の集り住む一郭があった。時代の波にとり残され、二度と陽の目を見ることのあろうとも思われなかった82歳と55歳の漫才コンビに、一度だけ華やかなテレビのスポットが当てられる。身を寄せあって生きていく善意の人々の哀歓をしみじみと描いた第91回直木賞受賞作。
「おまえ俺の嫁にならんか」が仙作の口癖だった。北海道の過疎村に生まれ育った仙作は何事にも真直ぐな生き方を好んだ。たった一度の契りを交わした栗子を求め東京のウズの中にまき込まれた。栗子がくれた1枚のハガキをたよりに…。歯切れよい文体の中に濃厚なエロティシズムが勾う長篇力作。泉鏡花文学賞・北海道新聞文学賞受賞作。
「これまでにいくつか恋をして、いくつか恋を失って、そのたびに3日で立ち直ってきたじゃないか。しっかりしろ!」ジョン・レノンが死んだ日にふられた男の消すに消せない恋の記憶…。以来、すっかり落込んだ日常と輝やかしい甘美な過去を交錯させて、男に再び訪れた新しい恋の季節を、ホロ苦いユーモアで描く青春小説。
学生の透、コンピュータ・システム・エンジニアの明、駈け出し少女漫画家のあすか、長田オートの老ライダー、純正右翼少年の仁等々が、著者の豊かな感性で都市を駈け回る。十代で作家デビューした川西蘭の感受性と想像力のすべてを傾注した都市小説。
奥州街道沿いで、柳生の嫡流、権右衛門の死骸が打ち捨てられていた。胸をひと突きにした傷口は異様に丸く、左手の小指は砕かれていた。何者の仕業なのか?柳生十兵衛は、父、宗矩の命令で狭間新三郎を連れて、みちのくへ旅立つ。白石城下へ向かう途中、柳生の諜者、道哲の出迎えを受け、風流な家に案内される。だが、それは罠だった!火薬が床下に仕掛けられており、家はふっとんだ。道哲を装った男は、十兵衛もろとも死のうとしたのだ。それは真田者のやり口だった。伊達藩に真田の残党が入り込んでいる!彼らが死を覚悟で守らねばならない秘密とは、何なのか?伊達政宗の青葉城、西ノ館で驚くべき秘事が繰り広げられる長編時代小説!
20世紀も終わりを告げるころ。凄まじい超能力を秘めた竜堂家の4兄弟に魔の手が迫っていた。彼らの力をわがものにして、地球支配を企らむどす黒い巨悪。だが、彼ら4兄弟には屈伏という言葉はない。そして、最大の潜在パワーを秘めた末弟・余が覚醒したー。想像をはるかに超えるスケール!待望の書下ろし巨篇!
ときめく心を持ち続ければ、年とることなど怖くない!若き日に苦労した分思いきり楽しまなけりゃ、いったい何の人生か。年寄りは年寄りらしくの声にもめげず、思う存分老後をエンジョイする77歳歌子サン。1人マンションで優雅に暮す歌子サンの周りには、今日も様々な出来事が持ち上る…。いつまでもときめきを忘れずに生きる歌子サンの大活躍を描いた連作短編シリーズ第2弾!